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人脈なんでクソだ。---変化の時代の生存戦略 を読んで 人生を俯瞰してみる

今回は前回のnote記事の最後でも言及しましたように、「政治学者、PTA会長になる」の著作内で触れられていた著作について書評を書いてみたいと思います。

今回もなかなかの書名です。
著者はミネラルウォーターの「い・ろ・は・す」のブランディングにも関わっていたようです。

では、書籍のメタデータを貼っておきますね。

今回も読書ノートからの書評ですので、小理屈野郎の読書ノート・ローカルルールの凡例を以下に示しておきます。

・;キーワード
→;全文から導き出されること
※;引用
☆;小理屈野郎自身が考えたこと


書名 人脈なんでクソだ。---変化の時代の生存戦略
読書開始日 2022/05/16 12:54
読了日 2022/05/17 18:58

読了後の考察

まだ社会人になってあまり時間がたっていない人に対しての指南書と言う感じの部分もあれば、社会を俯瞰して、トレンドの流れを非常に冷徹に見ているところもあります。視点が色々なところに置かれている所に著者の洞察の深さを感じました。
著者は、特に古典などを読んでいなくて、漫画などから人生のエッセンスを得たようです。その知識や考え方等はうならされるものが多飼ったです。
教養を付けたり、知識を付けるための読書としては古典でなければダメ、と言うわけではなく読むものではなく、読む姿勢で色々な知識がつく のではないかな、と考えた。
著者の発想は一件突飛もないようには見えるが、実際は非常に良く世間や状況を観察し、その中から得られた結論でした。

概略・購入の経緯は?

「政治学者、PTA会長になる」、で話題に出た本なので購入してみました。
この時代、どのようなことが不要でどのようなことが必要なのかをもう一度棚卸ししたいな、と思い購入しました。

本の対象読者は?

人生の指針を考えたい人
社会人になってそれほど時間はたっておらず、自分の仕事について考えるところのある人。

質問3 著者の考えはどのようなものか?

・大きく変化する時代の渦中で、働いている人は考え方・働き方を変えていく必要がある

☆これはこの頃あちこちでいわれていることですが、以下に著者は一般的な出来事を例示しながらその必要性と、著者なりの方法論について述べていくことになります。

・現代社会を動かすもの

現在はそれは「勇気」
リスクをとってチャレンジする人間にとっては追い風。

・これからの企業の方針立案を考える

以下のようなポイントから企業の方針を考えていくといいと考えているようです。

ユーザーの満足度を上げるだけでなく、そのサービスをつくっている社員のモチベーションも上げないと、企業の成長はあり得ない

理想があるから現実を変えようと思える

生活に困っていない人たちに対して、何を以て幸福を提供できるのか?それは「行動の意味」


・「500キロ先に行こう」ではなく「京都に行こう」

これを具体的に解説しています。


具体的な目標をみんなで共有する。その目標はみんなの共感を得るものにする。説明が重要なポイントとなる。

昭和は規模と国家の時代、平成は機能と企業の時代、令和は思想と個人の時代;思想に準じて個人が仕事や生き方を選び、そのことが人や社会の幸福に寄与すると考える。


「HOWは状況によっていくらでも変えたっていいけど、WHYは絶対に変えるべきじゃない」。WHYは「なぜ、何のために自分が存在しているのか」を語るものだから。

かなりわかりやすい比喩を交えながら論点を展開していると思います。キーワードだけではあまり理解できなかった項目もあるのですが、比喩の話で一気に理解できたものも多かったです。
著者のストーリーの巧みさを感じました。

・これからの企業の変化の3つのポイント

  1. 「売り上げ規模」から「社会的影響力」へ

  2. 「社員数」から「関係人口」へ

  3. 「問題解決力」から「課題設定力」へ

  4. 「競合優位性」から「変化の可能性」へ

・これからのリーダーとは

最初に問いを立てた人は、リーダーになれる。リーダーとは上に立つ人間のことではない。誰よりも先に課題に立ち向かう、前に立つ人間のこと。

今までのリーダーとは全く違う観点になっています。確かに「政治学者、PTA会長になる」の著者が言っていたリーダー論にかなり近いですね。氏も、ここに一番感銘を受けた、と言っていたと思います。
☆一般企業も含めた社会は最終的にこのように変化していくのかもしれません。

・リスクとは

避けるものではない。マネジメントするもの。リスクが降ってきた時に対応できる足腰を鍛えておくことが必要。
→何も悪いことをしていなくても、真面目に頑張っていても、災厄がくるときは、くる
→どんな業界であっても、海岸沿いの土地に居を構えている(いつでも津波はくる)という意識でいた方が良い

・ピンチとは

→ピンチはチャンス、とよく言ったものだが、わかりにくい。
ピンチはクイズ、と考えればもうちょっと頭を使おうという気になる(ピンチの時にこそ頭を使う必要あり、もちろんその前からしっかりとリスクをマネジメントする必要があるが)

・ヒットをつくる

→現在においては特定のコミュニティにきちんとはまっていることがヒットするかどうかの鍵。そのコミュニティのサイズが大きければ大当たりする、と言うこと。
細分化された特定のコミュニティの全員が熱狂的に好きになってくれるものと考える。
→最先端技術・新しい発想などを組み込んだ新商品をつくるということではヒットは得られる可能性が極めて低くなっている。
→☆ある意味、「内輪受け」するものをつくるということが大事。
→社会との関係性をおろそかにするとヒットをつくることが出来ない

・ヒットの3要素(人が好きになる要素)

  1. 人格

  2. 物語

  3. デザイン

→「スペック」が含まれていないところがポイント!
→帰属意識をかき立てることも大事
→反発のないものはうまくいかない。反発があってようやくスタート

・分断される社会

世界は距離や空間で分断されていた時代から、「価値観」で分断される社会になりつつある。

☆インターネット、SNSなどでリアルで会うことのない人とコミュニケーションが取れるようになってきているのが一番大きなポイントと考える
そうなってくると、社会の区分方法が変わってくるということ。これからは言語も垣根ではなくなってくる可能性が高くなる。AI翻訳のおかげだ。もちろん、感情の機微などに関わる非常にデリケートなところまではなかなかうまくいかないかも知れないけど、ある程度表層的な社会の出来事には言語の相違は関係なくなってくるのではないか

・働き方改革

→労働時間のみに焦点を当てているのであれば、かなり問題。
→ワークとライフの配分比率は人によって大きく違う。
→同じ職場でずっと働く、と言うことについて確たる覚悟か、何らかの意味が無い限り、例外的な選択肢になってくるはず。
→もし転職するなら、時期がある程度問題になる。早く決断すれば、失敗しても早くリカバリーが出来る。
食事はたとえあまりスキなものでなくても熱いうちに。冷めてしまうとますます食べられなくなったり、完全に召し上げられてしまう事も。
→ここ3年ぐらいの課題は、「女性」をどれぐらい活用し、自社で価値化できるか。その前は「アクティブシニア」の扱い。現在は、さらに、組織が「天才」を捨てないためにどうすればいいか、を考えていかなければならない

働き方改革でかえって働きにくくなる人についてはどのように考えるのか? と思っていたこともありました。そして働きにくくなると思う人も結構いるのでは無いかなと思っていました。
それに対する答えが上記の中にはいっていると思います。これらを法規を守りながらどのように達成していくかを考えていく必要がありそうです。
また、いい人材にいかにやめないでもらえるか、と言うことを考えることがこの頃は多くなってきたような気がする。

・ビジネススキルとは

「高さ(専門性)」×「広さ(担当領域の広さ)」×「深さ(人間的な強さ、魅力)」
→身につける順番は上記の通り。

・失敗の原因

→情報が足りないか、努力が足りないかのどちらか

・人脈について

→最初から損得で付き合う人を決めるなんて愚の骨頂。無駄な人間関係なんて一つも存在しない
→パーティーは呼ばれるものではなく自ら開くもの

・アウトプットについて


仕事のアウトプット量をSNSの発信量が上回ったらヤバい。
能力に見合わない影響力が膨れ上がり続ければ、何らかの不測の事態、何らかの炎上をきっかけにその人は一気に潰れていく
十分実力がつくまでは、あまり熱中してSNSはやらない方がいい

・炎上について

→☆炎上という言葉はキャッチフレーズとして秀逸だと思われるが、その内容を精査してみると、単に有意義な議論のきっかけに過ぎないことも多い 。その議論を炎上という言葉が封じてしまっている嫌いがあるし、炎上した人が自分で蓋をしてしまっている というところもある。

・思考するときのポイント

→「なんかちょっと嫌だなぁ」「何でこうなんだろうな」くらいの問題意識を持ちながら生きる(違和感を大切にする、と言うことだろう)
→あらゆる物事を4象限で区切る
☆簡単に言うが縦軸と横軸を何に設定するか、と言うのが非常に難しく、これが問題を考えるに際しても一番重要なポイント である。ともあれ、常に問題を見つけたら、縦軸、横軸は何にしたらいいかを意識して考えるようにしてみよう

・「思想」・「美意識」・「理想」

☆つまり、「物語が語れるような人や物」ということだろう。ストーリーが重要。
このような観点に立地したのが「ストーリー経営」というやつなのかも知れない。

・言葉とは

人を動かす際には、言葉こそが最もコストパフォーマンスが高い。

→ビジネスにおける最大の武器
→意見を真っ向から否定するのではなく、例え話で逃げる
→違和感を必ず言語化する(違和感の因数分解)

☆違和感を必ず言語化するという点において、アウトプットの一環として現在思索をしている理由のうちの一つが、ズバリこれ。方向性としては間違っていなかった。何の気なしにやっていたが結構的を得た行為をしていたのだ

・企業におけるチームワークとは

→☆違和感を気軽に表出できる環境でしかチームワークは育たない。
チームメンバーとの「気持ちのパス回し」(忙しそうだったら手伝う、落ち込んでいたら声を掛けるなど)がチームワークというもの。

・人間とは

人のためにしか本気を出せない

☆これ、すごく言えていると思う。他人に貢献できるような行動が企業活動と一致するようにしていく必要があるということ。それが現在は価値観の変化とともに変わっているので生きづらい世の中になっているのかも知れない。

・著者の考える「コミュ力」

著者は以下のようにコミュニケーション能力を定義・分類しています。

A聞く力
1.相手の話を聞いていると思わせる力(相手がそう感じるような行動)
相手の真意を押しはカルチから(しゃべっている表層の裏に隠れている含意2.をとる)
B.話す力
1.意思を的確に点立つする力
2.自分のいっていることに相手を従わせる力(妥協案や折衷案を見つける力や事例を聞かせることによって自分の結論に相手を引っ張ってくる)

細かく分類しており、どこまでが達成できていて、どこからが努力目標か、等と考えるときに便利な分類だと考えました。

その考えにどのような印象を持ったか?

どれも平易な言葉で語ってはいるが、納得のいくものでした。
小理屈野郎もアウトプットをしながらもがいているわけですが、その方向性としては決して間違っていないことを確認できたことは大きな収穫だった。

類書との違いはどこか

かなり平易に書かれているところ。理論はあるが、普段の生活の中からエッセンスをとりだしているところ(理論をこねくり回した印象がほぼ皆無)。

関連する情報は何かあるか

ヤンキーがなぜうまくいくか、等結構見落としがちな情報があった

まとめ

「政治学者、PTA会長になる」の著者が一気読みした、と言うのがよく分かる内容だった。
さっと読めたがなかなか頭に刺さる内容が多かったような気がする。
思索を面倒くさくてもやめずに、思考を深める努力を続けていきたい


ここのところ皆さんにお伝えしたい本が次々と出ています。
もう少し書評の記事を続けさせて下さいね。

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