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チェルノブイリ✖10/THE DAYS

Netflixで2023年6月1日に世界独占配信された「THE DAYS」

事実に基づく淡々と進んでいくシリアスドラマである。楽しさはゼロ。ただ未曽有の被害をもたらした東京電力福島原子力発電所の水素爆発からメルトダウンに至った作業員の過酷な当時の日々の仕事について記録した一見の価値がある連続ドラマだ。ただただ暗く絶望的である。

世界でも通用する稀有な日本人俳優・役所広司演じる東京電力福島原子力発電所所長・吉田昌郎の東日本大震災発生から原子力発電所の水素爆発までの経緯を当事者の証言に基づき映像で表現した作品である。

ドラマのエンディング最後のテロップに参考図書として掲載されていてびっくりした。門田隆将の文字。関西系の読売テレビ・そこまで言って委員会でよく見かけた関西の一芸能人だと思っていたがジャーナリストだったとは。知らなかった。。。。

なんとこの「THE DAYS」の原作が、門田隆将が徹底的な取材に基づき完成させた「死の淵を見た男」なのだ。

文庫本で約500ページほどあるがとても読みやすく一気読みした。まさしくこの「THE DAYS」は、この本をそのまま映画化したような作品となっていた。


ピッタリ度99%といってもよいくらいそっくりだった。


ドラマでも政治(官邸)中枢機関の混乱、東京電力(本社)の混乱が克明に表現されているが、被害を最小限に食い止めた、いわゆる「フクシマ50」の存在は物凄いことを実感できる作品だ(実際は69名の模様)。

当時の所長・吉田昌郎は最悪のケースとして『「チェルノブイリの10倍」の被害が出る可能性があることを常に念頭に置いて陣頭指揮を執っていた』と記録されている。そして吉田本人が最後まで当該発電所の収束に尽力することを決意したとも。

当時物議を醸した原子炉建屋への「海水注入」。

官邸は一時「海水注入を躊躇した」が、吉田所長は、1秒でも2秒でも早く原子炉(格納容器)の冷却が必要だと判断し、吉田所長決裁にて人海戦術で「海水注入」を実行(凄まじい困難を極めた)。これが当該原子力発電所の被害を最小限に食い止めたことはあまり知られていない。

爆発などの危機的状況から「東京電力社員がフクシマから完全撤退する」。


そんな報道があったかと思うがそれは完全なデマである(朝日新聞も誤報)。

上述のように吉田所長以下「フクシマ50」は原子力の暴走を阻止するためにフクシマに残ることを決意し「死」を覚悟の上、「冷却」のため、尽力している。


地元・フクシマを救いたい。
母国・日本を守りたい。


その一心で過酷な状況で昼夜作業をおこなった「フクシマ50」は一生忘れてはいけない日本の英雄である。


政府・東京電力は当時の状況について隠蔽・情報操作していることは自明だが、吉田所長の「当時自分が経験したこと、したこと、見たことを後世に残したい。それがフクシマ50が勇気をもってとった行動が将来日本の役に立つと信じているんだ。」との言葉は嘘ではないはずだ。

吉田所長は門田隆将の最後のインタビューから約2週間ほどで帰らぬ人となった。


吉田所長の存在なくして今の日本は無かった・消滅したと考えざるを得ない。

いろいろ考えさせられる本・ドラマである。

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