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「『サル化』した人間に支配される惑星=地球」と映画「猿の惑星/キングダム」

写真:左=映画「猿の惑星/キングダム」ポスター、右=Wikipediaより

 2024年5月10日、シリーズ10作目となる映画「猿の惑星/キングダム」が封切られるのだそうだ。
 それは、ずっと後になってからコロナウイルスに擬せられたりもしたウイルスの作用で起こったとされる地球の支配者の人間と猿との間での交代劇の結果、高い知能と言語を持つ猿が文明的コミュニティを築く一方、人類は野生動物のような存在になった世界の物語にほかならない。
 
 ただ、最初に注意すべきは「猿の惑星」という映画の邦題である。というのも英語の原題は「Kingdom of the Planet of the Apes」だからだ。
 ここでいう「ape」に対応する日本語は「類人猿」であって、その動物学上の分類は「ヒト科」に属している。原生の動物としてはヒトのほか、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、オランウータンなどから構成されるという点で「猿=monkey」とは明らかに異なる存在なのである。
 
 そこで現在の地球という名の惑星に展開する人間社会に視線を転じてみよう。そこでは「サル化した人間」とでも呼ぶほかない面々が政治的支配者として君臨していることに気づかされる。あえてここで氏名を列挙したりはしないが、彼らの特徴は、
 「自分自身の利益以外は顧みない利己的な動物」
 という一点では共通するように思えるのだが、いかがであろうか。
 
 こうしてみると、映画「猿の惑星/キングダム」は、猛威をふるったウイルスによって激変した300年後の地球を舞台に、知能を持った猿と後退した人類の衝突を描くという設定になってはいるが、すでに焦眉の現代の、
 「『サル化』した人間に支配される惑星=地球」
 のメタファー(隠喩)としての意味をはらんでいる
という見方もできないわけではないような気がするのだが、いかがなものであろうか。
 
 もっとも、この映画の封切りは今日(5月7日)より後の10日ゆえ、ぼく自身は未だ、それを見たわけではない。ただ、前評判が非常に高いので、映画の中身から現実の地球社会に思いを馳せて、こんな文章を書いてみようと考えた次第である。
 映画「猿の惑星/キングダム」を見たあとにもまた、多分なにがしかの感想などを書いてみるだろうと思いつつ、この小文をnote上にアップしておくことにする。


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