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ほんの感想です。

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おもしろいと感じた日本近代文学の作品を、多少くどめに紹介しています。 魅力をお伝えしたいのに、言葉が足らずが、つらい、「ほんの感想」です。
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記事一覧

謎は謎のままが美しい。でも、解かずにはいられない。

ほんの感想です。 No.54 谷崎潤一郎作「秘密」 明治44年(1911年) 発表 ある早起きした日…

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彼の中の「好き」と「嫌い」のせめぎ合いは、あまりにピュア。

ほんの感想です。 No.53 里見弴作「銀二郎の片腕」大正6年(1917年)発表 あなたは、「大好…

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お鮨を食べて、私を慰めたい。

ほんの感想です。 No.52 岡本かの子作「鮨」 昭和14年(1939年) 刊行 岡本かの子の「鮨」…

6

ある母と子のそれぞれの旅立ち

ほんの感想です。 No.51 林芙美子作「水仙」 昭和24年(1949年)発表 林芙美子の「水仙」は…

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「林檎の樹」と「夏の葬列」

ほんの感想です。 No.50 山川方夫作「夏の葬列」 昭和37年(1962年)発表 「国木田独歩がゴ…

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醜悪な世界だけれど、彼は、そこで生きていくと決めた。

ほんの感想です。 No.49 梅崎春生作「蜆」 昭和22年(1947年)発表 第二次世界大戦が終わり…

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あなたとの距離を一気に縮めてくれた作品でした。

ほんの感想です。 No.48 中島敦作「プウルの傍で」  その人は、温厚な人柄で、口数は多くありません。隙がないため、少し距離を感じてしまう人です。しかし、わからないことがあって、「これは、どういうこと?」と尋ねると、楽しそうに理路整然と教えてくれるのです。あなたの記憶の中に、そんな同級生はいませんか? もし、いた場合、こんなことがあったら、ドキドキしませんか? それは、偶然、二人だけになったとき、彼/彼女が、突然、あなたに、両親に対する複雑な思いを吐露したのです。 例

好きだから、睨んでしまったのさ。

ほんの感想です。 No.47 坂口安吾作「傲慢な眼」 昭和8年(1933年)発表 坂口安吾の「傲慢…

6

衒学的なあの人に、昔読んだ本を懐かしんだ。

ほんの感想です。No.46 小栗虫太郎作「聖アレキセイ寺院の惨劇」昭和8年(1933年)発表 小栗…

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女よ。未来を信ぜよ。そして戦いを誓え。

ほんの感想です。No.45 平林たい子作「施療室にて」 昭和2年(1927年)発表 今回、初めて読ん…

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あなたの人生を、何度も読み返しています。

ほんの感想です。 No.44 芥川龍之介作「或阿呆の一生」 …

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描かれた「新しい女たち」

ほんの感想です。 No.43 宮本百合子「伸子」大正13-15年(1924-26)発表 …

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天竺では華陽夫人と呼ばれ、唐土では妲己と名乗った。そしてこの国では・・・

ほんの感想です。 No.42 岡本綺堂作「玉藻の前」大正6-7年(1917-18年)発表 その痛快さに「も…

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この結末から、第二ステージの物語が始まるかも・・・

ほんの感想です。 No.41 武者小路実篤作「友情」 大正9年(1920年)発表 武者小路実篤の「友情」は、読了後、少々そのタイトルを窮屈に感じました。友情にとどまらない青春物語と感じたからです。 登場するのは、片思いに身をよじる主人公。それをクールに見守る親友。「まだまだ子ども」などと言われながら、しっかりと自分の「好き」を見極めるヒロイン。そして、ヒロインを中心に集まってくる人々。 それぞれ考えていることが、わかりやすく記されていると感じました。 結末は、主人公の