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物語の一片

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小説の中から、元気が出る場面や、優しい気持ちが嬉しい場面、五感を刺激される場面など、素敵な物語の一片を、600字内でご紹介しております。
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記事一覧

眩暈のような心許なさが、どこか心地よい

一瞬、足元が揺らいだ時の、「ヒェー」を楽しみたい!という方へ、物語の一片を 物語の一片。…

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男嫌いの美人が出会った不思議な恋

人間関係に疲れているけれど恋はしたい!という方へ、物語の一片を。 美しくお金もある主人公…

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ご期待に沿えず、本当に申し訳ない。

内田百閒を読んだことのない方へ、物語の一片を! 初めて読んだ内田百閒の作品は、「件(くだ…

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夏の末近い寂しい高原を、大好きな人たちとドライブした。

物語の一片 No.24 堀辰雄作「ルーベンスの偽画」昭和5年(1930年) 「夏の終わりの軽井沢へ…

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ネタバレ厳禁!読めばわかる、夢野久作の仕掛けの鮮やかさ

小説の一片 No.23 夢野久作作「死後の恋」 昭和28年(1953年)発表 「あっ」と驚きたい、…

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山の裾が、見馴れぬ獣のように、海へ躍り込んだ。泉鏡花作「草迷宮」

「妖しいもの」は見過ごせない、そんな方へ、小説の一片を! ご紹介するのは、泉鏡花作「草迷…

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あの鼓の音を聞いてはいけない。

夢野久作は見過ごせない、でも読んだことはない、そんな方へ、小説の一片を! ご紹介するのは、夢野久作作「あやかしの鼓」(昭和26年発表)から。 嫁入り道具として鼓を贈られた女が、急死すると、間もなくその夫も亡くなります。女に鼓を贈ったのは、彼女と関りがあった鼓作りの男。その鼓作りが、「鼓を取り返し、打ち壊すように」と遺言し亡くなったことから、「あやかしの鼓」が噂されるようになります。 この因縁話を語るのは、鼓作りの曾孫にあたる若い男です。幼少時、父から、「あやかしの鼓」のこ

江戸時代における隠れたシャーロック・ホームズ。それが半七だ!

「半七捕物帳」って何? そんな方へ、小説の一片を! ご紹介するのは、岡本綺堂作「お文の魂…

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「伯父さん、カッコいい!」あるいは「あなたのような大人になりたかった」

「〇〇を応援すること」を迷っている方へ、小説の一片を! ご紹介するのは、永井荷風作「すみ…

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その詩人が去り、最も深く心を傷めたのは、もう一人の詩人だった。

「歴史小説には少しうるさいよ」という方へ、小説の一片を! あなたは、歴史小説、お好きです…

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日輪に誓う!「卑弥呼」エピソード0の物語

異世界へ行ってみようか、という方へ、小説の一片を! ご紹介するのは、横光利一作「日輪」か…

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生きるほど悲しいことは色々あるけれど、いよいよ華やぐ私の命

最近「楽しい」の感度が鈍い、という方へ、小説の一片を! ご紹介するのは、岡本かの子作「老…

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私の生涯はそれでも決して空しくはなかった。

「時を超える方法」に興味のある方へ、小説の一片を! ご紹介するのは、堀辰雄作「姨捨」から…

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「檸檬」という文字の、何と美しいこと!

「最近、いろいろ重くなっているかも・・」、そんな方へ、小説の一片を! 自己嫌悪や疎外感、それらに拍車をかける焦りに、しばしば振り回されています。そのときの気分は、好きになれません。しかし、「好きでない気分」を知って、気づく何かがあるらしい。梶井基次郎の「檸檬」は、そんなことを教えてくれました。 梶井基次郎作「檸檬」とは。 病と借金を抱える「私」は、焦燥や嫌悪がもたらす不吉な感じに苛まれています。以前は、洒落た雑貨や画集を大いに楽しんだ丸善も、今の「私」にとっては、重苦しさ