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資格取得は意味がない?

こんにちは。就労支援員のサイトウです。出張帰りの飛行機の中で書いております。


今日はいつもと嗜好を変えて、資格取得の話題です。


何を隠そうサイトウは資格マニア。資格勉強が趣味で、暇さえあれば過去問と戦っています。

そんなわたしですが、知人によく言われるのが「それって意味あるの?」という言葉。
その度にわたしは「あるけどないかな~」とか「人それぞれかな~」などというよくわからない、はぐらかし回答をしてしまいます。

せっかくの機会なので、なぜ資格勉強に魅力を感じるのか、少し考えてみたいと思います。

(あと今回から目次の設定の仕方を覚えました。笑)


資格の種類

資格は大きく分けて次の4つに分類されます。
①業務独占の国家資格
②名称独占の国家資格
③公的資格
④民間資格


①業務独占の国家資格
名前のとおり、この資格を所持していなければ行えない業務のある資格です。
医師や弁護士、看護師などはこの業務独占資格にあたります。高度な専門技術を要するため、資格取得の難易度は高いことが多いです。
最も難易度が低いのは、普通自動車免許でしょうか。これは交付されていないと運転が許可されないため業務独占にあたりますが、試験自体は難しいものではありません。

②名称独占の国家資格
資格を持っていない人は「名乗ってはいけない」というのが名称独占資格です。名乗ってはいけないだけで、同様の業務を無資格者が行うことも可能です。
保育士、公認心理師、FP技能士などがあげられます。無資格者が同様の業務を行えるといえど、信用性のある有資格者の方が頼りにされることが多いように思います。
心理カウンセラーなどは後述するようにたくさんの民間資格があります。カウンセラーを名乗る方に出会った際は、その資格がどれほどのレベルであるのか、しっかりと確認する必要があります。

③公的資格
省庁や大臣が認定する資格で、国家資格と民間資格の中間に位置付けられるといえるものです。全国の商工会議所などが主催している場合が多いです。
メジャーなものだと漢字検定や簿記検定、珍しいものだとeco検定なんてものもあります。

④民間資格
昨今の資格ブームにより、大量の民間資格が作られています。どんな団体(個人)でも作ることができ、ジャンルも様々です。いわゆる資格ビジネスとして行われることも多いため、受検する際は試験団体などのホームページで情報を得ることをおすすめします。
ちなみに、信頼性の高い臨床心理士もこの民間資格に入りますので、民間資格=信頼性が低いというわけでは必ずしもありません。


資格の意味

「その資格意味あるの?」と聞かれることが多いというのは冒頭で述べました。
実用性という観点で考えると、意味があるのは「①業務独占の国家資格」のみだと思います。
ですが「意味」という意味(ややこしい…)を広げて考えると、他の資格にも「意味がある」と言えると思います。

①自己研鑽ができる
資格勉強は、そのものの知識を身につけるには最適です。社会人になると、どうしても業務で使う知識や技術を学ぶ機会しかありません。哲学者の千葉雅也さんが「勉強とは、何かの専門分野のノリに入るということ」※1 と述べているように、全く異なる分野に飛び移ることで、自らの見識が広がるのではないかと思います。見える世界が広がるのは、案外楽しいものです。

また、どんな学びも現在の仕事と何かしら関連していることが多いです。わたしは就労支援をしていますが、利用者から住居の相談を受けることも少なくありません。その際に、例えば「宅地建物取引士」の資格を所持していれば、どういった種類の住居があるのか、居住に関する法律にも詳しくなるため役に立つ可能性があります。

現代はリスキリング(学び直し)の時代といわれています。終身雇用制が過去のものになった今、キャリアチェンジを考えている人にとっては新たな分野に入っていくきっかけとなるので、資格勉強には意味があると思います。


②資格取得自体が趣味になる
いわゆる「資格マニア」はこの部類に入ると思います。資格取得自体が「目的」となる場合です。合格を目指して努力し、合格することに愉しみを見出すという考え方です。キャリアや自分の成長という目的とは異なるため、嘲笑されがちな考え方ではありますが、わたし個人としてはこのような目的で資格を取ることも、ひとつの趣味としてよいのではないかと思っています。
また、趣味ではなく他者や資格認定機関などから承認されたいという承認欲求を満たすための資格取得も考えられます。個人的にはそのメリットはあまりないのかなと思いますが(後述します)、基本的に人は誰かに承認されたいという欲求を持つ生き物ですので、これを頭ごなしに否定するのも違うのかなと感じます。
最近読んだ本に「ばか力」ならぬ「ばか知性」という記述を見つけました。著者の橋本(2013)によると、脳にある「いざというときのためにとってある相当な容量」のことで「この知性の容量は、使えば使うほど増進する」※2 とのことです。真偽は不明ですが、確かに試験当日は、今まで以上に集中し、思っていたよりも点数が取れることがあります。日常生活でもいざというときにこの「ばか知性」を使えるよう、資格試験に取り組んでみても面白いかもしれません。


たかが資格、されど資格

まとめると、資格取得は手段にも目的にもなりえます。資格勉強を通して学び、取得後も研鑽することはもちろん、資格取得をゴールに学びを楽しむこともできます。
資格マニアを自認するわたしは、どちらの考え方も持っています。資格勉強がそもそも楽しい(それで資格が取れるんだからラッキー)という【趣味としての資格取得】と、就労支援員という分野横断的な知識を必要とする職業についている以上、人に関わる学び(ほぼ全てだと思います)は仕事の役に立つという【自己研鑽としての資格取得】のハイブリット的思考で、資格勉強を楽しんでいます。


最後に・・・おまけ

嫌われないための二か条

最後に、嫌われる資格マニアについて少しだけ述べます。別に誰かをdisるわけではないので、読みたい方だけどうぞ。。。

まず、資格取得を自慢することは避けた方がいいと思います。資格取得はあくまでその分野のスタートライン。最低限の専門的知識を持つと認められたというだけです。その分野にはごまんというスペシャリストが存在しています。また、資格を持っていても仕事ができない人はたくさんいます(ごめんなさい)。資格を持っているオレはすごいだろうという発言ほど、煙たがられるものはありません。承認欲求を満たすために、他者に自慢をするのはやめた方がいいと思います。
中村淳彦さん原作の『漫画ルポ 中年童貞』※3 にそのような描写があるので、興味のある方は読んでみてください(ただし、わたしは中年童貞という属性が資格を誇示する人であるとは思っていないことを予め書き添えておきます)。

リイドカフェHPより(リンクは下記に記載)

二つ目は就活のために資格取得をすることです。意外かと思われるかもしれませんが、わたしの肌感覚として新卒・中途を問わず就活において資格はそれほど重視されません。業務独占資格であれば別ですが、自己研鑽のための名称独占資格、公的資格、民間資格資格は、サッカーで例えるならば、勝ち点が並んだ際の得失点差くらいのものだと感じています。就活のために資格勉強にいそしむのであれば、企業が求める人材について調べ、それに近づく努力をする方が得策といえるでしょう。



最後の最後に…なんだかんだ言って、資格勉強は楽しいです。資格を得た時の喜びも、その後の学びも、人生の時間は限られていますので、どうせならいろいろなものに手を出してみませんか?一緒に資格マニアになりましょう!


今日もお読みいただきありがとうございました。


-引用-
1. 千葉雅也(2017)『勉強の哲学 来たるべきバカのために』文藝春秋. https://amzn.to/3PopvKZ

2.橋本努(2013)『学問の技法』ちくま新書,p46.
https://amzn.to/3xak7VC

3. 中村淳彦原作・桜壱バーゲン画(2016)『漫画ルポ 中年童貞』リイド社. https://amzn.to/3TGCZ7w

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