サイトウショウタ

就労移行支援事業所の雇用支援員(Employment Specialist) (精神保…

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就労移行支援事業所の雇用支援員(Employment Specialist) (精神保健福祉士/公認心理師/ジョブコーチ/保育士/2級FP技能士) 研修報告、読書感想、その他雑記帳として。自己満足に文章を書く練習。※所属組織とは関係ありません

最近の記事

地下鉄に乗るのが苦手な自分が色々試してみた

こんにちは。サイトウです。 いきなりですが実はわたし、地下鉄に乗るのが大の苦手です。 朝起きて「あ、今日は無理」と思うとタクシーを使うこともしばしば。 そうしていると1か月のタクシー代が4万円を超えることもあり「そろそろやばい」と思ったため、色々と対策を立てることにしました。 できるだけユーモラスに書いてみたいと思うので、気楽に読んでくださいね。 わたしが地下鉄に乗れない理由 地下鉄に乗れないとなると、よくあるパニック発作を想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、

    • 農園型障がい者雇用について

      こんにちは。雇用支援員のサイトウです。 今回から肩書を雇用支援員に変えました。employmentは本来「就労」ではなく「雇用」と訳されること、また雇用されない仕事という特殊な概念(就Bなど)への支援はわたしの仕事ではないと感じているためです。 さて今回は、今更感はありますが数年前に話題となった農園型障がい者雇用について考えてみたいと思います。農園型障がい者雇用は、雇用の形態は取っているものの、それが果たして仕事といえるのか、わたしの中にそんな疑問があるためです。 よろ

      • 【研修報告】オールマイノリティプロジェクト 公開シンポジウム

        こんにちは、就労支援員のサイトウです。 2024年4月7日(日)13:00~16:10 オールマイノリティプロジェクト 公開シンポジウム 「『どうして上手くいかないの?』当事者とともに考えるこれからの発達障害の支援のあり方」というタイトルの研修にオンラインで参加しました。 オールマイノリティプロジェクトとは、発達障がい者をはじめとするマイノリティが社会的孤立・孤独に陥らないよう予防する社会を作るために千葉大学の大島 郁葉さんが代表となり様々な研究・実践を行っている団体です

        • 【手紙】就労支援を始めたばかりの自分へ

          拝啓 就労支援を始めて、まだ右も左も分からないまま現場に飛び込んだ25歳のわたしへ。 自分は33歳で、今年34歳になろうとしています。この前「若手職員から見た〜」なんていう講演をしたけれど、個人的には中堅の域だと思っています。また、一度転職はしたものの、周囲に恵まれてなんとかこの仕事を続けられています。 就労支援は本当に大変な仕事だし、辞めたくなることも多いけれど、その分やりがいもある。 だから、もし今のわたしがあなたの年齢に若返ったのならば、これだけはやっておけばよか

        地下鉄に乗るのが苦手な自分が色々試してみた

          古本愛と読書について

          こんにちは。就労支援員のサイトウです。 新年度になりました。昨年度末からはじめたnoteも、たくさんの方に見ていただき嬉しい限りです。 さて、今日はいつもとかなり嗜好を変えて、サイトウの趣味である読書、古本愛について語っていこうと思います。 果たして需要はあるのでしょうか…。 はじめに 最近は活字離れ、読書離れが進んでいるといわれています。専門家の方々にも、専門書以外は読む習慣がないという方が少なからずいらっしゃると思います。 ショート動画や切り抜き、まとめサイト

          古本愛と読書について

          孤独・孤立の解消へ-就労支援のアプローチから-

          こんにちは。就労支援員のサイトウです。 就労支援をしていると、孤独・孤立の状態にある方と出会う機会は少なくありません。社会的にもこの問題は広く取り上げられており、解決も容易ではないと感じます。 昨今では心理学、社会学、政治や哲学など様々な観点から孤独・孤立について論じられていますが、今回は「働くこと」を中心的なテーマに、この問題について考えていきたいと思います。 よろしければ最後までお付き合いください。 ①孤独・孤立の定義 まず「孤独」の概念について調べてみました。

          孤独・孤立の解消へ-就労支援のアプローチから-

          【研修報告】第8回 IPS全国研修会に参加して

          こんにちは。就労支援員のサイトウです。 3/17(土) 東京赤羽にある東洋大学にて第8回IPS全国研修会が開催されました。 約190名の方々が参加されたと聞いており、会場は満員御礼。全国各地にこんなにもIPSに関心を持った方々がいることに驚き、そしてとても嬉しくなりました。 今回は、研修会のようすを振り返り、感想を書いてみたいと思います。 9:00-10:30 ウェルカムセッション:IPSについて知ろう 最初はウェルカムセッションとして、IPSの概要が紹介されました

          【研修報告】第8回 IPS全国研修会に参加して

          資格取得は意味がない?

          こんにちは。就労支援員のサイトウです。出張帰りの飛行機の中で書いております。 今日はいつもと嗜好を変えて、資格取得の話題です。 何を隠そうサイトウは資格マニア。資格勉強が趣味で、暇さえあれば過去問と戦っています。 そんなわたしですが、知人によく言われるのが「それって意味あるの?」という言葉。 その度にわたしは「あるけどないかな~」とか「人それぞれかな~」などというよくわからない、はぐらかし回答をしてしまいます。 せっかくの機会なので、なぜ資格勉強に魅力を感じるのか、少

          資格取得は意味がない?

          リワーク支援についての雑記

          こんにちは。就労支援員のサイトウです。 リワークという言葉をご存知でしょうか。"return to work." 文字どおり仕事に戻るという意味で、復職のことを指します。 これは和製英語で、実は英語圏にリワークという言葉は存在しません。 日本の正社員、特に新卒採用は職務と人を結びつけない、職務が限定されない雇用形態であるメンバーシップ型雇用であることが多いといわれています。この場合、職務が何らかの理由で合わなくなっても、別部署へ異動する等といった工夫ができるため、従業員を

          リワーク支援についての雑記

          哲学対話と就労支援

          こんにちは。就労支援員のサイトウです。 永井 玲衣さんという方がいます。「哲学対話」という活動を全国の学校や自治体などで実施されている、気鋭の哲学者です。 『水中の哲学者たち』という著書を拝読して、いつでもどこでも誰とでも始められる、手のひらサイズの哲学という「哲学対話」に興味を持ちました。 この本のタイトルは本当に秀逸だと思います。哲学という答えのない世界は、まさに足場のない水中みたいで、考えれば考えるほど深く深く沈んでいくようだからです。ちなみに哲学者のウィトゲンシュ

          哲学対話と就労支援

          【1000字書評】F.P.バイステック『ケースワークの原則』

          ソーシャルワーカーのバイブルであり、誰もが知っている名著ですが、本書を通読した方はそこまで多くないのではないでしょうか。恥ずかしながらわたしも学生時代に一度読んだきりでした。 今回改めて読み返してみると、自分の実践経験と重なる部分や、新たな気づきがあったので紹介します。 【概要】 本書には、援助関係を築く上で欠かせない7つの原則が記されています。援助関係とは一般的な人間関係とは異なるとバイステックは述べます。なぜならその目的は「クライエントが彼と環境のあいだにより良い適応

          【1000字書評】F.P.バイステック『ケースワークの原則』

          【研修報告】心の健康セミナー「不安・うつと付き合い、生きる力を磨く~生きづらい時代の森田療法~」

          こんにちは、就労支援員のサイトウです。 2/23(金) 13:30-17:00 森田療法の研修をオンラインで受講しました。 研修は、森田療法の自助組織である生活の発見会 関東第一支部が主催したもので、当事者の発表と森田療法の権威である北西 憲二先生の講演でした。 森田療法はわたしにとって大切な考え方の一つであり、また最近勉強中の、第三世代の認知行動療法といわれるACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)とも多くの類似点があるため、今回の研修は非常に楽しみにしていま

          【研修報告】心の健康セミナー「不安・うつと付き合い、生きる力を磨く~生きづらい時代の森田療法~」

          【1000字書評】ショーペンハウアー『読書について』

          「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」 「書を捨てよ町へ出よう」 こういったことをもっと昔に言った人物がショーペンハウアーです。 わたしは学生時代、読書論についての本をよく読んでいました。『読書について』も他の本同様、読書礼賛かと思いきや… 「本を読むとは、自分の頭ではなく、他人の頭で考えることだ」 と初っ端から厳しい言葉が書かれており、度肝を抜かれました。 当時は岩波文庫版で読んでいましたが、2013年に光文社から新訳版が出ていたので、今

          【1000字書評】ショーペンハウアー『読書について』

          「試し行動」という言葉の違和感

          こんにちは。就労支援員のサイトウです。 今回は、対人援助の現場でよく耳にする「試し行動」について考えてみたいと思います。 (事例については、個人が特定できないよう加工しています) ①試し行動とはなにか 試し行動という言葉はよく聞くものの、明確な定義はあまり見つかりませんでした。 ネットで検索すると、幼児が大人に対して「構ってもらう」ために取る行動、愛着形成が上手くいかなかった大人が取る行動、恋人同士が愛情を確認するために取る行動などとして説明されていました。どれも共通して

          「試し行動」という言葉の違和感

          「わからない」の裏側にある「変わりたい」について〈関係構築から考える〉

          こんにちは。就労支援員のサイトウです。 就労支援の中で、支援者はクライアントに対して多くの質問を投げかけます。しかし、そうした質問に対して「わかりません」と返ってくることも少なくありません。そこで「そうか、わからないのか」とそれ以上深掘りせず諦めてしまうのは、少々、というよりとても勿体無いような気がしています。 わたしはこの「わからない」の裏側にこそ、その方の本当の願いや希望、困りごとや心配ごとといった本音、そして変わりたいという思いがあるのではないかと考えています。「わ

          「わからない」の裏側にある「変わりたい」について〈関係構築から考える〉

          トゥレット症の記事を読んで「温かい無視」と偏見について考える

          「ママ、あの人何してるの?」 「しっ!見ちゃいけないよ」 こんにちは。就労支援員のサイトウです。 冒頭の親子の会話、電車などでこんなやりとりを聞いたことがある人は少なくないんじゃないでしょうか。 福島県のテレビ局「テレビユー福島」が、トゥレット症について特集していました。 記事によるとトゥレット症とは、自分の意思に反して突然声が出たり、自分の動きを制御できなくなったりする症状。完全に治す治療は今のところ無いとされているようです。 電車に乗っている時、突然隣の人が「うっ

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