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【HAMT】脳卒中後疼痛の概要-鍼灸師の関わり:Post stroke pain-


今回のテーマ
\脳卒中後の疼痛/

▶︎ 臨床の疑問
脳卒中後疼痛はどのような種類があって鍼灸師はどう関われるのか?

▶︎ 今回の目標
脳卒中後の疼痛-Post stroke pain-概要を理解する
1:脳卒中後の疼痛の分類
2:痛みの定義と不動性疼痛
3:脳卒中後疼痛の治療戦略と鍼灸治療

【脳卒中後の疼痛の分類】

コロ「脳卒中後の疼痛を訴える人が多いです」
先輩「脳卒中患者さんの約50%に脳卒中後疼痛が出現すると言われるよ」

コロ「なるほど。通りで多いわけですね。」
先輩「また痛みの影響を受けている患者さんの約70% が日常的に痛みを経験しているんだ」

【脳卒中後疼痛:Post stroke pain :PSP】
脳卒中後疼痛は単に筋骨格筋の痛み(40%)だけではありません。これを中心として、肩の痛み(20%)、中枢性疼痛(20%)、頭痛(10%)、痛みを伴う痙縮(7%)と色々な因子が関与していると言われています。

脳卒中後疼痛が継続することによる大きな問題は、「非運動症状」の出現です。主に認知機能の低下・疲労・うつ病・QOL低下・自殺傾向などを併発する可能性があることを注意し介入を実施する必要があります。

【臨床MEMO】
「脳の病気をしてから麻痺側の肩が痛い。検査は異常無くどうすればいいか悩んでいる」訴えは患者さんによって大きく異なります。疼痛だけの聴取にとどまらず、具体的な生活状況を確認することも重要だと考えています。夜間に肩痛が継続すれば、睡眠の質が低下し日中の覚醒状態にも影響が出る場合もあります。表面的な主訴の解決だけでなく言葉の裏にある生活を具体的に想定する力も問診には必要だと考えます。

【痛みの定義】

コロ「痛みって少し複雑な概念でしたよね」
先輩「そうだね。痛みについて復習をしておこう」

【痛みの定義】
“An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage”
実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する
あるいはそれに似た,感覚かつ情動の不快な体験

IASP 国際疼痛学会 2020

定義からも分かるように「痛み」は単に組織の損傷だけでなく、情動や感覚処理情報を含む多面性を持つことを理解しておく必要があります。

【臨床MEMO】
痛みの体験をした時、破局的思考のループに入った場合は注意が必要です。認知・情動を含めて関与され、行動回避=不活動を引き起こす場合があります。脳卒中の場合、特に注意が必要で活動性が低下すると、麻痺側の痙縮が増大する場合もあり、また二次性の機能障害が出現する場合もあります。

【不動性疼痛のメカニズム】

コロ「不活動と疼痛はどうに関与しますか?」
先輩「中枢・末梢組織の両方の変化が出現すんだ」

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