見出し画像

映画xクラシック=最高(1)【音学note Op.12】

皆さんこんにちは。ライターの青竹です。
今回のテーマは「クラシック音楽と映画音楽」。映画音楽、魅力的な作品が沢山ありますよね〜、僕も大好きです。とは言え、僕の映画知識はにわかファンの域を出ないので、映画音楽の詳しい紹介等は他の方々にお任せします。じゃあ今日は何をするのか。映画音楽とクラシック音楽の関係について探っていきましょうか。

映画音楽とクラシックの関係って言ったって全然別物でしょ?と思ったあなた。実は映画音楽はクラシック音楽の子孫と呼べる程、深い関係があるのです。


映画音楽の誕生

1895年、フランスのリュミエール兄弟によって映画の初めての上映会が行われた時、既に映画には音楽が伴っていました。といっても今のような形態ではなく、当時は無声映画(サイレント)にピアノ伴奏が付いていました。でもこれ、音楽を聴かせたかったわけではなく、煩すぎる上映の時の機械音を隠す為だったんです。
そのうちに映画産業の発展と共に上映会場も大きくなって行くと、段々と音楽の役割も大きくなり、効果音などを打楽器が担当したりする様になります。瞬く間に映画産業は世界へ広がって行き、娯楽映画路線の「アメリカ」と、芸術的な映像作品路線の「フランス」と二極化しました。(現代の両国の作品にも似たような雰囲気がまだ残っているのは面白いですね。)    
そんな中フランスの映画業界が総力を上げ、芸術作品としての映画「ギーズ公の暗殺」を製作します。その時、満を辞して行ったのが「映画音楽」の制作でした。
それまでの効果音ではなく、その映像作品の芸術性を高めるために、その作品の為の音楽を作る。フランス人は芸術への意識が高いですね。
そこで白羽の矢が立ったのが、当時クラシック界の有名作曲家であった

カミーユ・サン=サーンス(1835-1921)

画像2

でした。そう、最初の「映画音楽」を作ったのはそもそもクラシックの作曲家だったのです(サン=サーンスは渋々引き受けたみたいですが)。


映画音楽の発展

その後1920年代に「発声映画(トーキー)」が生まれ、その発展と共に映画音楽も各国で作曲されます。
ロシアではショスタコーヴィッチ(1906-1975)、フランスではエリック・サティ(1866-1925)が作曲を担当するなど、クラシック音楽の作曲家が多くの作品に関わりました。
そしてついに、今のハリウッド映画の音楽の基盤を作ったとも言えるクラシックの作曲家が現れます。
彼の名は、

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897-1957)

画像1

(優しげな微笑み。)

彼は幼い頃から神童と言われ、ヨーロッパでオペラ作曲家として活躍しました。1934年には知人である音楽プロデューサーから、シェイクスピア原作「真夏の夜の夢」の映画化に際し音楽を付けてくれと要請され、その作曲の為アメリカへ渡ります。
神童と言われていたコルンゴルトでしたが、実はこの時期、名声に陰りが見え始めていました。クラシック作品で思うように売れなくなってしまった彼は、アメリカへ渡り、生活の為に映画音楽の作曲に集中しなければいけなかったのです。
しかし、腐っても鯛、陰っても神童。映画音楽界でみるみる力を発揮して、1936年には「風雲児アドヴァース」という作品でアカデミー作曲賞を受賞しました。

コルンゴルトは映画音楽をオペラ作品と同じような感覚で制作していました。師であるリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)から学んだ後期ロマン派の作風をそのまま映画音楽界へ持ち込み、映画界へ革命をもたらしたのです。
そのコルンゴルトから影響を受けたのが、言わずと知れた映画音楽界の巨人

ジョン・ウィリアムズ(1932-)

画像3

このジョン・ウィリアムズが作曲した「スター・ウォーズ」で使われているのが、クラシック音楽の「ライトモチーフ」という作曲技法です。ライトモチーフとは、登場人物や状況で決まったテーマ音楽を流す技法で、リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が自分の作品の中で多用しました。このライトモチーフをハリウッド映画の世界に持ち込んだコルンゴルトだったのです。では皆さん、スター・ウォーズのどこでライトモチーフが使われているかわかりますか?

一番有名なのはこれです。


ライトモチーフという技法が無ければこの有名なテーマも生まれてなかった(かもしれない)のです。コルンゴルトがいかに大きな役割を果たしたか、わかっていただけましたか?


まとめ

今回はクラシック音楽と映画音楽という、一見遠い二つの関係性を見ていきました。クラシックの作曲家たちが映画界に残した功績は、とても大きかったんですね。次回は「映画に使われているクラシック音楽」を特集します。お楽しみに!

コロンスタジオライティング部

ライター: 青竹(Twitter@BWV_1080)

記事を読んで頂きありがとうございます。いただいたサポートは、今後の執筆活動の為に使わせて頂きます。執筆等の依頼もお待ちしております。