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②小齋→清尾(全2回)「海老と赤眼と……」

清尾さんへの返信本編へ入る前に、簡単な自己紹介を。
2005年から2014シーズン終了までMDPに毎号コラムを執筆させていただいた小齋秀樹と申します。
心身不調のため執筆活動から長らく遠ざかっておりましたが、縁あってこの『no+e』にて再び清尾さんと筆を介した交流をさせていただく機会を頂戴しました。
はじめての方、はじめまして。以後、お見知りおきを。
お久しぶりの方、お元気ですか?またよろしくお願いいたします。
では以下、本編スタートです。

清尾さん、お疲れさまです。
あの戴冠からもう16年!?
その年に生まれた子どもたちが高校生になっちゃうだけの年月が経過したとは!
これは記憶も若干曖昧に、かつ美化されていそうなのでノートやDVDも見返しつつ返信する必要がありそうですね。
試合の振り返り等を任せられたようですので、そのあたりのことを中心に書いてみたいと思います。

2007年3月7日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループE第一戦、レッズはホーム埼スタにペルシク・ケディリを迎えました。
試合は3-0でレッズの完封勝利。得点者は
前半12分山田暢久
前半44分永井雄一郎
後半31分小野伸二

山田・永井両選手には大変申し訳ないのですが、最初の2ゴールは記憶に残っていませんでした。
DVDで確認してみたところ、先制点はCKから。2点目はペナルティエリア右を切り崩して産まれたものでしたが、どちらも相手GKのミスの比重が高いゴールだと感じざるをえませんでした。このあたりに清尾さんの仰る「間違い」、言い換えれば「慢心」を呼ぶ素地が垣間見える気がします。
さらに言えば、この試合を迎えるまでの流れも、慢心に拍車を掛けたかもしれません。
2月24日、国立競技場でのゼロックススーパーカップではガンバ大阪に0-4の完敗。
さらにケディリ戦4日前の3月3日、リーグ開幕戦でJ2から初昇格を果たした横浜FCをホームに迎え先制はしたものの、久保竜彦にとんでもないロングシュートを叩き込まれ同点に。
まだサンフレッチェ広島在籍中だった久保にインタビューしたことがあるのですが、そのときに彼が口にした「ゴールが見えたらシュートを打つことを考えます」という言葉が思い起こされる長距離砲でした。この得点はゴールそのものの衝撃の強さと、その後の彼のゴールパフォーマンス(左手人差し指を天に突き立ててクルクル回す)により、記憶に残っているサポーターも多いのではないでしょうか。結局レッズが勝ち越すのは後半40分の永井の右足まで待たねばなりませんでした。こんな苦汁を舐めた後だっただけに余計、ケディリとの試合には「楽勝」感が漂った気がします。「全然大したことないじゃないか」と。


撮影:清尾淳

3点目の小野のゴールは、先の2ゴールとは異なり、忘れられない美技のひとつです。
ペナルティアークのすぐ外、右足インサイドでの柔らかいタッチで眼前の相手をかわすと、左足インフロントにひっかけるように巻いたシュートでゴール左上隅のネットへと収めました。
個人的には、相手のかわし方こそ違えど、シュートそのものの見事さは1994年アメリカワールドカップでディエゴ・マラドーナが決めたゴールを彷彿とさせられる『逸品』でした。

埼スタの記者席で「やっぱ伸二スゲぇなあ」と唸らされたことは忘れられません。

撮影:清尾 淳



つづいてアウェイでのシドニー戦。
清尾さんが書かれている通り、私も彼の地での取材活動で難渋した記憶はありません。
クラブがメディアツアーを用意してくれたおかげですし、英語圏であったことはとても大きかったですね。また、シドニーという場所も、2006年のキャンプをはじめ何度か飛んだ経験があったゆえの気安さも影響していたかと思います。
それにくらべると、中国・韓国・インドネシア・イランではそれぞれトラブルめいた事々がありましたねえ。まあ、そのあたりはまた後日にということで。

試合について書く前に、寄り道として旅の思い出を。
アウェイでのシドニー戦と問われて思い出すことがいくつかあります。
ひとつめはエビ。
シーフード、特にエビが美味かったんです。
清尾さんや元サッカーダイジェスト編集長氏、スポーツ紙レッズ番記者の方々数名と滞在先のホテルおすすめのシーフードレストランに赴き、食べたエビが美味かったのをとてもよく覚えています。ソフトシェルクラブもそのときはじめて食べたかな。港近くの夜景が楽しめる屋外の席で、シドニーの観光地筆頭「オペラハウス」も見えた記憶があるような無いような。

ふたつめはレッドアイ。
「レッドアイ」とはビールトをマトジュースで割り、好みで塩やタバスコを加えたカクテルの名前です。
私はこのレッドアイが好きなのですが、前述のレストランを出て飲み直しに寄ったバーで注文したら、ウェイターさんにはまったく理解してもらえず。しかたないので「ビールとトマトジュースひとつずつ」と別々に注文。
私の隣で清尾さんが笑いながら、「小齋くん、やっぱりそんなゲテモノは万国共通じゃないんだよ」と勝ち誇っていたことが鮮明に思い出されます。

(その2 へつづきます)


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