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【拡大再生産研究①】街コロ編

前書き

 2023年は拡大再生産を中心に見ていく予定でいます。
ただ、拡大再生産というジャンルにはたくさんの価値観、コンセプトのものがあります。
 自分の作りたいゲームのコンセプトをはっきりさせるためにプレイ済みのゲームから特徴的なものをいくつか取り上げて整理していきます。
(ゲームの紹介が目的ではないためルールの紹介は省いていきますが、できる限り有名なもの、BGA等でできるものを中心にしていきます)

街コロのコンセプト

(街コロⅡや拡張、街コロレガシー等も出ておりますが、すべてを混ぜるとわかりづらいため初代街コロ基本セットのみに限定しています)

街コロの最も素晴らしい点は
育てて、育てて報われる(当たる)』という構造に振り切っている事。

基本セットでいえば 最終的な稼ぎ頭は
(7)チーズ工場 
(8)家具工場+
(9)鉱山
(4)コンビニ+(2,3)パン屋

 
辺りになるが鉱山以外は全て緑のカード(=自分で振った時だけお金がもらえるカード)である。
 人のターンでも動きがある(=自分に都合のいい出目が出るか祈ることはできる)ためダウンタイムが気にならないようにしつつも最終的な勝因は自分の手で掴む事になるため運の要素の強いゲームではあるが勝利の説得力がある。

 拡大再生産のゲームとしてみた時にはこれらの出目が出た時の獲得コイン枚数を育てていき、その目をきちんと自分で出した人が勝つゲームとしてシンプルかつ分かりやすくまとまっている

 ダイスゲームとしてみた時には「一喜一憂するための出目ごとの報酬の偏りを自分で作っていくゲーム」というプレイ内容に仕上がっている。

このコンセプトを日本の家庭用ゲーム機側から見ると

 この『育てて、育てて、育てて⇒報われる』という構造はヨーロッパを源流とする90年代以降の拡大再生産としてみれば正直、メインストリームではない。フォロワーとしてあげられる商業ゲームといえば、精々スペースベースぐらいだろうか。


 しかし90年代~200X年代ので日本の家庭用ゲーム機で遊ぶボードゲームにおいてこの『育てて、育てて育てて⇒当たる』という感情の組み立て方は一定以上のファンを獲得していたように思う。
 当時、ゲーム機で遊ぶボードゲームといえば(将棋、麻雀等の伝統ゲームと人生ゲームを除けば)モノポリーを土台とした『サイコロを振りながらマスをぐるぐる回り、止まったマスにお店を建てたり、そのお店を増築しながら、相手がそのマスに止まるのを待つ』という内容の事であったと思う。

※要約
カジュアルで言えばいただきストリート、オタク向けで言えばカルドセプト、その間あたりにダイスDEチョコボあたりの話。
(一番有名なのは桃鉄ですが、あれはボンビーが生み出す感情やカードの運用、インフレ感辺りを武器にしてるのでここでは少し外します)

 これらのゲームの持つ『育てて、育てて育てて(新規購入、増築、独占ボーナスによる高額化)⇒当たる(やーい、踏んだ踏んだ)』と似た感情の流れを30分という短い時間の中で生み出している。
 TCGをガチで触ってきた層(上記要約の中で一番思い入れがあるのがカルドセプトあるいはダイスDEチョコボの人)から見ると簡単すぎる(=良いカードの組み合わせが自明)なところはあるが、カジュアルなプレーヤーが一喜一憂しながら遊ぶ分には十分な選択肢があると思う。

拡大再生産としての特徴を羅列してみる

 ・成長方向
 長所を伸ばす。

成長から勝利点獲得への変換
 あるが意識する必要性は低い。
 
・インフレ対応
 なし。むしろ一喜一憂をさせるために推奨。

特徴① 長所を伸ばしていくゲーム

 街コロのような)長所を伸ばしていくタイプの拡大再生産に共通する特徴として以下のようなものがある。

<長所> 
 ・(別の戦略を選んだ時の)プレイ体験の幅を大きくしやすい
 ・成長をわかりやすく感じ取れる

<短所>
 ・1ゲーム内の選択に多様性が出にくい。
 ⇒プレイ時間を長くするとちょっとダレる。短いと成長を感じられない。
(※正確には成長させる回数を多くすると)

街コロの場合、
わかりやすさ、気楽に一喜一憂できる という長所の代わりに以下のような弱点があると思う。
 ・同じ戦略を選んだ人間同士の多様性があまりない。
 ・戦略間の差異もあまり大きくない(結局、「狙ったで目が出るか」)

今回見つけたお題、アイディアの種

<拡大再生産 お題1>
 ”長所を伸ばす”タイプの拡大再生産において 同一戦略内の選択肢を多くするにはどうすればよいか?
 例えば、デジタルゲームでいえばSlayTheSpire系列のゲームもこのタイプであるが、中盤以降「もう追加カードいらないな」、「戦略が固まってきたらデッキ構築の面白さが減るな」と感じることがあるがこれは解消できるか?

<拡大再生産 お題2>
 育てて、育てて⇒報われるというコンセプトをデッキ構築型に適応できないか?
 例えば、M:tGの続唱集合した中隊のようなカードに合わせたデッキを作る体験をさせる事は可能か?

<拡大再生産 お題3>
 拡大再生産には成長の軌跡というポジティブな一面と格差社会(富めるものはより富み、貧しい者との差が開き続ける)というネガティブな印象の2面性を持つ。

 ・インフレ感がありつつも実はそんなにインフレしない仕組み
 ・不満のでない(出にくい)格差是正方法
 ・差が出る前に終わりつつ、成長は感じられる方法

はあるか?

<拡大再生産 お題4>
 街コロには拡張や街コロレガシー(何度も遊ぶことを前提としたバージョン)等もある。自分が新カードを作るならどういうものにするか
=複雑度をあまり上げずに今までやっていない体験をさせる事

<拡大再生産 お題5>
 お題4と被るがゲーム経験のない人にわかりやすい組み合わせた時の強さ にはどんなものがあるか? 


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