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銀行の三大機能を知ることで昨今バカにされがちな銀行の本来のポテンシャルの高さを知ろう

はじめに

銀行のイメージってよくないですよね?
やはり国に守られている産業であって、つぶれることがないから従業員は頑張らないという悪いイメージが広がっていることが原因なのかなと思います

さて、しかし、イメージだけが先行していてよくよく考えると自分は銀行についてあまり知りません
国が保護するということは社会に対するインパクトが大きい産業だからこそであるはずなのに、なぜ守られているのかという理解もありませんでした

よくよく考えると銀行が国に保護されるほどの役割を担っているのに、その役割を知らないのは知識不足すぎる話であると思います

実際に銀行には社会に重大なインパクトを与える機能が存在しており、国家の中枢的な機能と言っても過言ではない機能を備えています
その代表的な機能を銀行の三大機能と言います

この機能を有しているから、銀行というもののプレゼンスが大きなものになっています
今まではなんとなく銀行ってスゲーところなのかなぁと思っている漠然としたイメージが皆さんあると思いますが、この記事を機に詳しくなって、銀行ってこういう役割があるから本来はすげえところなんだぜ~と言えるようになりましょう

金融リテラシーの解像度を上げ、ツヨイ社会人を目指していこうではありませんか


銀行の三大機能

それでは早速解説です

銀行には以下の三つの機能があります

1. 金融仲介機能
2. 信用創造機能
3. 決済機能

これらはいったいどういうことなのか見ていきましょう


1. 金融仲介機能

この機能はお金が余っている人とお金を必要としている人を仲介する機能です
簡単に言えばマッチングアプリみたいな機能を持っています

マッチングアプリとの違いは、不特定多数の人からお金を預かって、まとまったお金ができたら、それをお金を必要としている人に貸している点です
マッチングアプリは一対一で繋げますが、銀行は多対一で繋げます
まあこれは細かい話なので良いでしょう

この機能で重要なのは、”余っているお金を有効活用させている”と言う点です

”お金を有効活用する”というなんて単純なことじゃない?そんなすごいことなの?と思った人もいるかもしれませんが、そう思った方はよくよく考えてみましょう
”お金を有効活用する”というのがどれほど難しいことかということを

例えば、貯金を例にとってみましょう
そもそも皆さんはなぜ貯金をするのか?という問いを投げかけられた時に、するっと回答することができるでしょうか
基本的には貯金は将来の何かに備えて貯めるものですが、その”何か”は明確化されているでしょうか?
ほとんどの場合、マイホーム資金・教育資金・老後資金・もしもの備えだと思いますが、それらの管理は完璧でしょうか
特にもしもの備えに関して過剰に備えすぎていたりしないでしょうか?
そして、その”もしも”すら明確されておらず、いざ”もしも”が起こったタイミングですら、備えを使える状況になっていないなんてことにはなっていないでしょうか

お金を貯めることが目的化しており、本来お金を使うべきタイミングですらお金を使うのを躊躇するような人は、”お金を有効活用できない”人という仕上がりになっていると言っても過言ではないかと思います

まあ、グダグダと話しましたが、お金を有効活用するのは本当に難しいことです
そもそもお金を有効活用できる人間であれば無限にお金を増やしていけるはずなので、無限にお金を増やせて無限にお金で自分のやりたいことを実現させられていない時点で、僕たちはお金を有効に利用できていないと言えます

なので、どうしてもお金というのは余るのですね
そして、その余ったお金は有効活用されないので、非常にもったいないことになります

しかし世の中にはお金を必要としている人も沢山います
そしてその中には”お金を有効活用できる”人が含まれています
そう、事業を行う人々や企業ですね
事業というのは当然儲けるためにやるので、お金を稼ぐために”お金を有効活用します”

そういった、”お金の有効活用”に一役も二役も買っているのが、銀行の融資、すなわち、この金融仲介機能です

事業会社、例えば、鞄を売る会社が手持ちの100万円だけで事業を始めたとすると200万円しか売上が上がらなかったところが、銀行から追加で100万円融資を受けて400万円売り上げたとなれば、銀行の融資のおかげで倍の売上を出せたことになります
銀行から借りずに、手持ちの100万円を200万円で始めようと思っても、それは難しいことが分かるでしょう
本当に手持ちに100万円しか持っておらず、自己資金を200万円に増やしてから始めようと思っても、そこまでのお金を貯めようと思うとスタートがずっと遅くなることが分かるでしょう
そういう意味で、人が何か事業をやろうと思った時に、自己資金の限界を突破できる役割が銀行にあります
つまり、人が何かやろうと思った時に背中を押してくれるどころかブーストをかけてくれる機能が銀行にあるということですね
まるでカタパルトです

そして、貯金として死に金となっていた誰かの100万円が世の中の200万円を動かしたことになるので、銀行がお金を融資したことで、世の中に富を増やしたともとらえることができるのです
ただし、注意点としては、貸し出す相手は必ず儲けなければなりません
まあ、ここがめちゃくちゃ難しいのですが、銀行は大抵つぶれていないので、貸し出した相手を儲けさせて、銀行は役割を全うしていることが分かります
(こらっ!そこっ!今どきの銀行は儲かる事業体だけにしか貸し出してるから役割を全うできるのは当たり前じゃんとか言わないっ!)

昨今の銀行の実態はひとまずおいておくとして、銀行が理想的に機能すれば全員がハッピーになります
しかも三方良しの仕組みが整っています
そのような役割を担っている銀行って思ったよりもすごいことをやっていると思いませんか?

この銀行のすごさを理解するためにはコンサルと対比するとわかりやすいのですが、銀行は実際にお金を融資するところまでやります
銀行は銀行のお金を顧客に貸し出しているので、顧客が赤字を出せば銀行も赤字が確定します
ダメージを共有するという点で、運命共同体なのですね

対してコンサルはアドバイスにとどまります
コンサルのアドバイスの結果、顧客が赤字になろうが、コンサルとしては直接的なダメージはありません
コンサルの建付け上は一応、アドバイスだけに価値があって、アドバイスにお金を出してもらっているということになっているからです
(こらっ!そこっ!実態は上の言ってることとかけ離れてるやんけとか横やりを入れちゃだめだよ!)

トレジャーハントを例に分かりやすい表現をすると、銀行は一緒に宝探しの穴堀りを手伝ってくれるのに対して、コンサルはここ掘れワンワンと言ってくれるだけです

これを聞くと銀行の方がすごいって思わないでしょうか?

まあ実態はともかくとして、実際、字面の機能面では、どう考えても銀行の機能の方が、コンサルの上位互換です

なぜなら、以下の表のようにコンサルは本来の機能では、銀行に勝っているところが一つもないからです
唯一差別化が図れる部分が経営のアドバイスですが、最強の経営アドバイスができるなら自分でやってしまえというところであるでしょう

そういう意味では、コンサルがここまで世の中に跋扈・繁栄している現代はすごく不思議な世界だなと思ってしまいますが、本来の理想的な銀行とコンサルの姿だけをとらえると、銀行の圧勝なのは上の表からも明らかですね

長くなりましたが、まあ何が言いたいのかというと、僕らが思っている以上に銀行の本来の役割というのは、すごいんだよということです
色々言いたいことはあると思いますが、でもやはり、初心に戻って考えるとものすごい機能であると思い至るはずです

まあ、後は、コンサルと取引していない企業はたくさんありますが、銀行と取引してない企業なんてないですからね

長くなりましたが、これが一つ目の機能です


2. 信用創造機能

さて続いての機能ですが、続いての銀行の2つ目のものすごい機能が信用創造機能と呼ばれるものです

信用創造と日本語で言うとイメージが湧きにくいと思いますが、英語ではmoney creationといいます
一気にイメージが湧きましたね
ちなみに、実際の語彙的には「信用創造」の方が適切なワードではありますが、money creationの方が名前と直感が一致するので、英語の表現の方が個人的には好みではあります

さて、そんなことより信用創造ってなんなんだという話をしろという声が聞こえそうなので、話を元に戻しますが、「信用創造」機能というのは、世の中の通貨流通量を増やす機能です

どういうことか例を挙げて説明すると、たとえば世界が大火事で紙幣という紙幣が焼き尽くされて、世の中に仮にお金が札束で100万円分しかない世界ができたとします
すると、この世界では100万円分しか世の中にお金が流通していなさそうに思えます
しかし、100万円分のお金で世の中を回していくのはなんだか不便な気がしますよね
何かうまい方法がないのかあなたは考えました
そしてたどり着いたのが信用創造です
早速、その方法を実践するべく、あなたは、銀行を2個(A銀行、B銀行)立ち上げ、100万円をA銀行に預けました

あなたは、A銀行にいいます

「僕が預けた10%分、つまり10万円分は僕がいつでも引き出せるようにA銀行君の手元に残しておいてね。それ以外の90万円は好きに使ってていいよ。」

あなたから、そういわれたA銀行は、あなたの言い分を忠実に守り、手元に10万円を残して、お金をめっちゃ必要としているXさんに90万円を貸し出しました
A銀行の貸出は、先ほど説明した金融仲介機能そのものですね
銀行がしっかり機能し、Xさんに90万円が渡りました
そして、Xさんはその90万円をとりあえずそのまま、B銀行に預けます

そして、信用創造を行いたいあなたはB銀行にこのように言います

「X君が預けた10%分、つまり9万円分はX君がいつでも引き出せるようにB銀行君の手元に残しておいてね。それ以外の81万円は好きに使ってていいよ。」

あなたから、そういわれたB銀行は、あなたの言い分を忠実に守り、手元に9万円を残して、お金をめっちゃ必要としているYさんに81万円を貸し出しました

今回は登場人物3人、銀行2か所の例でしたが、コレを繰り返せば、どんどんとお金を貸し出してもらえる人が増えるでしょう

さて、この話をすると少し混乱したかもしれませんが、話を整理すると、こういうことになります

あなたは100万円を預けているので、100万円分のお金を持っています
なので、あなたは100万円分の何かをすることができます
Xさんは90万円分を預けているので、90万円分のお金を持っています
なので、Xさんは90万円分の何かをすることができます
Yさんは81万円を預けているので、81万円分のお金を持っています
なので、Yさんは81万円分の何かをすることができます

つまり、3人の持っているお金を合わせると合計で271万円の何かをするポテンシャルがあることになりました
これはつまり言い換えれば、世の中にお金が271万円存在することになります
アレ?元々は100万円だった気がしますが、お金の量が3倍くらいに増えていますね

これの考え方のミソは、銀行の都合をいったん考えないことです
3人が一斉に銀行から預金を下ろさないという前提がありますが、この前提は今の世界を見ればわかるように、基本的に成立すると考えて問題ありません

これが、信用創造と呼ばれる機能です
英語でいうとマネークリエイションです
100万円から271万円にマネーが増えているということは、171万円分のマネーが創造されているということですね
銀行が一定の割合の準備金を残して後は他人に貸し出すということを繰り返せば、お金が増えるのです
これが銀行の信用創造と呼ばれる機能です



3. 決済機能

これは時代を経るごとで変わってきていますが、まだこの役割はあるところで健在です
これは会社間でのお金の支払い、つまり会社間決済を行う機能になります

さて、お金を払うことは僕たち個人も行うために、なんでお金を払うためだけに銀行が間に入る必要があるのか?と思う方もいるからもしれません

その理由は明確にあります

それは企業間で移動するお金の額が”デカい”からです

個人だとどれだけ高額でも自動車一括払いや結婚式一括払いの数百万円の決済が上限であるのに対して、企業間の決済ではそれ以上のお金が動くことだってあります

もし個人でこれらの出費を現金でやったことがある人なら理解できるのではないでしょうか
100万円を現金で持って歩いて相手に渡す、というのは非常にリスクが高いということを
道中で襲われたりしたらたまったものではありません

そういったリスクをなくすことができるので、銀行をわざわざ間に介して決済を行うのです

割と単純でしたね

もし銀行がなければ、でかい額を現金で払うことにリスクが生じるので、リスクを避けて支払いを渋ったり、金額をあえて少額にする企業が現れたり、ガードマンを雇ったり、密売人のブツと現金の受け渡しみたいな取引が全国各地いたるところで見られたりするかもしれません
そういった意味で、銀行があることの意義は大きいと言えるでしょう


おわりに

以上、銀行のすごさわかってもらえたでしょうか

実は社会にとってすごい立派な存在、それが銀行です

それでは、皆様の頭が良くなったところでさようなら


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