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【高専OBOG Career Talk】仕事の軸とIT業界の特異性

高専卒業生がどのような道のりでそのキャリアに進んだのかを、一問一答や対談形式のインタビューで探っていく新シリーズ、その名も

高専OBOG Career Talk

記念すべき第一回は、アパレル×ITを志して沼津から北海道へ飛び出していった沼津高専OB、Hさん。
前編に続く後編は、転職時に大切にしたそれぞれの軸とIT業界のおもしろさ、現役生へのアドバイスをお送りします。

前編はこちらから!

今回のインタビュイー:Hさん
沼津高専OB(2019年度本科卒)

沼津高専にて情報系を専攻し、自由応募にて北海道のアパレルITサービスを展開する企業へ就職。現在は営業職の生産性向上事業を展開する企業にてフロントエンドエンジニアとして活躍中。
Sparkleメンバーのざきとは同級生。高専時代の寮で同棟だったり同役職だったりなどの間柄。

転職を経て気づく働き方の軸

ーーアパレル×IT業界に入って2年ほど経って、2社目に転職されていますね。

最初の(アパレル系の)会社はWebサービスの企業ではあったのですが、実質的な働き方はどうしても依頼を受けたものを作る側面が強くて…自分が求める働き方と手をつける業務、身につけたいスキルと現場で用いる技術スタックとのギャップがかなり目立つようになりました。
ありきたりですが、このまま(この企業に)居ても自分が身につけたいスキルには届かない、という思いがきっかけです。

ーー転職理由としてはよく聞くものですね。転職先としての業界はやはりアパレルで、という思いは強かったのですか?

転職のきっかけとしてはあるあるですが、転職先に求める事業内容に関しては新卒の頃と比べて結構変化がありました
新卒当時はアパレルという事業がやりたくて入社したのは間違いないんですが、2社目を探すタイミングでは「事業内容で企業を選ぶ」という軸自体が変わってます。

ーー企業選びの軸…企業規模や開発体制など、ということですか?

それに近いですね。1社目は開発組織としてはそこそこの規模、具体的にはエンジニアだけで50人以上いるような企業だったので、もう少し小さい規模で、エンジニアに裁量があって、より自由に動きやすいチームで、ということを重視するようになりました。そういう思いからスタートアップの会社を探して、という感じですね。

ーーより個人の力が大事になってくる環境を目指して、ということですね。

最初の会社が実態的に10を100にするような段階で、エンジニアの頭数を増やすことで対応する、みたいなフェーズだったと思います。
それが良い悪いという話ではなくて、私が「0から1を生み出せるエンジニア」になりたかった、個人のパワーが求められる環境、求められる生産性が高いところに身を置きたかったんだなと。

ーーありがとうございます。自身のキャリア形成を考える上での軸は、3年、4年と働いていって気づく部分も多いのだろうと思いますね。

新卒の自分よりは考えられるようになったとは思いたいですね(笑)。

ーーいやいやいや(笑)。ご自身の軸を今一度見つめ直して、そういった環境に身を置いているだけでも凄いなと思っています。今の会社へ転職する際にも、何か軸を見出したということですか?

2社目に在籍中に副業関係で縁があった、というのが発端ですね。魅力的な会社に声を掛けて頂いて揺れ動いたという感じです。でも結局最後は人で選びました

ーーですか。個人的にはHさんにとってのキーワードだと思います。

誰と働くか、というのはとても重要なファクターだと思います。仕事って一人ではできないものですし、どこまでいっても人とのコミュニケーションが根本にありますね。大切にしていきたいです。

やりたいことを探せるのがITという業界

ーー新卒就活と転職の流れをお聞きしてきましたが、職種はフロントエンドエンジニアを一貫して担当されていますよね。

その通りです。新卒からフロント一筋ですね。個人的にはバックエンドとUIをつなぎこむことに魅力を感じています。ユーザーが直接ふれる部分をつくるので、細部へのこだわりが製品のクオリティに直結するのが良いですね。
何度も言ってる通り私自身ファッションが好きなので、見た目にこだわりたいというのが根底にあります。

ーーソフトウェアエンジニアとしての入り口についてのおすすめはあったりしますか?

フロント、バック、インフラなんでもいいと思います。
IT業界の面白い部分、特徴的な部分はそこではないと思っていて、ソフトウェアのスキルさえあれば、(極端な例ではありますが)アパレル業界から医療系の事業を企業に転職して医療業界に貢献できるわけで。こういう領域を選ばない、選択肢の広さというのがITの強みだと思います。
自分のやりたいことや貢献したい先が見つかったときに、そこにフォーカスしやすいのはキャリア設計として面白いなと。

ーー業界を跨いで転職されている方の口からこういったお話を聞けるのは強い説得力を感じます。実際メーカーのエレキやメカとして就職してる方よりも、ソフトウェアエンジニアの転職の事例はよく聞くイメージがあります。

あくまで個人の感覚として参考程度にしていただければ(笑)。
主語の大きさに誤解を恐れず言っていいのなら、何をやりたいかわからないという人にこそ、ソフトウェアエンジニアという職種はおすすめできるかもしれないです。

社会性の大切さ

ーー最後に、現役学生だからこそ、というアドバイスはありますか?

そうですね…現役生のうちにやっておくべきことは色々あると思いますし、今どきさまざまな情報が出回ってるので(笑)。
あえて言うなら、個人的には社会性を身に着けておくことだと思います。社会人になって数年経って、仕事って一人でできないというのは常々感じてますし、リモートワークしてると対面で喋ることがほんとに減るので、何かこう社会性が失われて行く感覚が(笑)。意識的に人と喋る機会を増やすべきだなあと。

ーー高専時代のカリキュラムに助けられたものはありますか?

やっててよかったと思うものは多々ありますね。とは言え、これやったことあるけど全くおぼえてない〜みたいなパターンがほとんどです(笑)。でもそれだけでも構わないと思っていて、内容は不明だがどの分野のどの領域の話なのかという知識のカケラを持っているという事実は、それを全く知らないのとは天地の差です。これだけははっきりと言いたいですね。
今の仕事に関わる話でいうと、具体的には離散数学とか計算量ですね。多少なりとも、コンピュータがどういう仕組みで動いてるかっていうのはプログラミングを生業にしている人にとって役に立ってる気がしますね。

ーー仕事に必要なスキルを磨く、という学生も多いと思います。

個人的な感覚ですが、仕事に必要な知識って個人でも勉強できるけど、実務でかつチームでやることで身につくことが本当に多いんですよね。
だから、スキルについて学生のうちから焦る必要はあまりないのかなと思います。

ーー確かに、実務の中でこそ身につくことは多いですよね。社会人ではなく学生として学べることを、という感じでしょうか。

学生って友人も他人も周りにいると思うので、せっかくなら人と関わって欲しいですね。そういった訓練にある意味いい時期なのかなと。
オンラインでの働き方が当たり前になって、昔とコミュニケーション方法がちょっと変わって、文面で正しく伝わるやり方への意識付けが大事だと思うし、そういうのひっくるめて”今”の社会性なのかな。それをぜひ、伸ばしていって欲しいと思います!

ーー今の社会性、すごく素敵な表現だと思います。本日はどうもありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました!

***

編集者から…

就活の軸・転職の軸といった、働いていくうちに自身が大切にしているものが移り変わっていくのが伝わってきたインタビューだったと思います。

続いて、ソフトウェアの道に進めるわけではないと前置きした上で「他業界への貢献のしやすさによって、ある意味自分の適性を判断できるのがITの面白いところ」というお話は非常に面白かったです。

現役生へのアドバイスは、時代によって変化しつつある社会性を、人と意識的に関わりながら磨いてほしいというものであり、学生・社会人問わず大切なものだと言えるはず。自分達もあらためて意識していきます。

最後に、本インタビューに協力していただいたHさんへこの場を借りてお礼申し上げます。

大変有意義なインタビュー、ありがとうございました。


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