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さし板気分と非計画性の話

5月12日 快晴

本日のBGM Laura Nyro


オクタゴンの温度が冷えたので窯出し。
62度くらいなら問題なく取り出せます。

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素焼きの取り出しは
200度くらいで取り出しても
器自体に問題はありませんが、
ヤケドすることもあるので
100度以下になるまで
フタを少し開けて空気を冷ましてあげます。
今回は時間が空いたのでフタを閉めたままで
温度が下がっていましたが、60度くらいでも
手袋がないとちょっと熱いですね。

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素焼きは問題なく焼けていたようです。
ところでこの八角形というのは
円を敷き詰めていくのにいい形なのだろうか。
いつも微妙な隙間が空いて気持ち悪いのですが。

こういう微妙な隙間に置けるような小型のものを
同時に作っておくといいんですけどね。
こういうのとか↓

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ちなみにこの系統のやつは全て母の作ったものになります。

素焼きで取り出した器は、
私の場合また「さし板」に乗せます。
さし板っていうのは 器を乗せて持ち運びする
細長い板のことで、これをさす棚があるから
さし板と言うのでしょうたぶん。

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私の場合かける釉薬がいちいち違ったりするので
どの板にどの釉薬を、
ていうのを事前に把握するために
最初から全てさし板に乗せて
かける釉薬を全て決めてから
くすりかけの作業に取り掛かります。


ひとつの窯でも
上の方と下の方で温度帯がちがうので
そのバランスを取るためにも、
全体の釉薬の種類と量を
一番最初に決めるためでもありますね。


父の場合はこんな感じの箱に全て入れて
持ち運びします↓

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側面にコック帽で片目が隠れた内股の少年と
「リョーユーパン」と言う文字が入っているので
かつてはパンを運ぶコンテナだったんでしょうね。
不用品となったものをもらったんでしょうけど
めちゃくちゃ丈夫です。
裏返しに並べてマット敷いたら
ベッドになるくらい丈夫です。


かける釉薬が決まっているなら
このように一つにまとめて運ぶ方が
効率はいいと思います。

私が全部さし板に乗せるのは
リングに上がらせる的な意味合いが強く
効率というより気分的にさし板で運ぶ方が
釉薬をかける気持ちが作りやすい
ってところがありますね。
出動態勢に入ってて いつでも行けまっせー
みたいな。


そして さし板をさす棚がこちら。

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もう棚の柱が斜めってるし
ちょっと押したらゆらゆらするので
緊張感を持って仕事に臨めること請け合いです。

他の仕事場に行った時に
どこもこの棚が立派で大きいので
ちょっと羨ましいですね。

この大きさだと私と父の二人でも
スペースが足りなくなってしまいますが、
だからと言って新たに棚を作るなどという
大それたことは考えることすら はばかられるので
地震などで倒れて痛い目を見るまで
このままでいきたいと思います。
リスクをヘッジしないタイプの
充実したライフスタイルですね。

まあでもゆらゆらした方が
五重塔みたいに揺れをうまく逃して
案外長持ちするんじゃねーの。

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空いた窯にはまだ温度が残っているうちに
次の一群を入れていきます。
やっぱり八角形微妙に隙間が空いてしまうなあ。

この場合だと真ん中に背の高い花瓶などあれば
ちょうどよかったのですが、
あいにく このお皿以下の 径のものがなかったので
この状態でスイッチオン。

予めこの隙間に合わせた形を作っておけば
いいのですが、そんな計画的なことができてたら
苦労しませんで、大変場当たり的に生きております。
好きな言葉はカルペディエム!
またローマネタですな。

おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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