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多機軸プロファイリング

最近、色々な価値観の相互理解についてずっと考えていた。
加害者とか被害者とかじゃなくて、どうやったらお互いに理解しようと努力できる環境や意識を作れるのか。

同時期に、ビジネスに関して経営者としてのコミットが高くなってきたので、イノベーションについても考えていた。

そこで出てきた「新機軸」という言葉。機軸の理解。相互理解する方法。
今回はそんな事を書いていく。

新機軸:イノベーションとは何か?

巷で盛んに言われている"イノベーション"という言葉がある。
「イノベーションを起こそう!」とか、「これはイノベーションだ!」とか色々言うが、その多くは効率的なソリューションだったりする。

イノベーションとは異なる専門分野との掛け合わせだともいう意見も良く聞く。

この言葉は日本に伝わった時に「新機軸」と訳された言葉。

言葉通りに理解すると新しい機軸なんだとは思うけど、そもそも機軸とはなんだろう?

WEBで調べると、

1. 機関や車輪などの心棒。
2.物事の中心となるところ。活動の中心。「内閣の機軸となる地位」
3.根本的な仕組み。構想。方法。「新機軸を打ち出す」
4.地球の自転の回転軸。地軸。

機軸とは、おそらく芯に持つべき何かという意味。

新しい芯を打ち出したり生み出したりするのが新機軸であり、それがイノベーション。
だから効率的なソリューションとか、見かけが変わった「新しそうな何か」ではないはずだ。

イノベーションの興し方:新機軸を打ち出すためには何が必要か?

現存している機軸を理解しない限り新機軸かどうかわからないから、まずは既存の機軸をサーベイしまくる必要がある。
その上で、「まだ世の中にこの仕組はなさそうだな」という仮説を立てて実行して安定稼働させると、やっとイノベーションになる。
筋が良さそうな仮説は思いついた中の半分にも満たない事が多い。そこから安定稼働まで行くのは多くても1割程度だと感じている。
だからイノベーションを起こすには

1.史実の理解
2.既存機軸の探索
3.新機軸仮説のリストアップ
4.仮説検証
5.安定稼働
6.サービス開始

おそらくこれくらいの事が必要になる。
だから「事業部を作って我社にもイノベーションを!」と言っても、そんな簡単じゃない。
深い教養と多くのサーベイ、仮説リストアップと実施検証が最低でも必要。
だけど、1と2は少なくともお金がつかないから、そこを飛ばすような場合が多い。
けど、本質はそこだから3から始めても車輪の再発明になって箸にも棒にもかからない謎の安定稼働サービスになってしまう。

自分の事で言うと僕は創業5年目の会社経営者だけど、1と2をやはり怠っていて、起業して3年くらいたった時点でいい方向への成長が描けなくなってしまった。だから、ここ2年位は1と2とひたすらやっていた。


相互理解の方法=様々な基準の理解

人類の争いは止まらない。
それは世界規模の戦争だったり、部族間の戦闘だったり、夫婦喧嘩だったり、クラスでのいじめだったり、Twitterのクソリプだったりする。

何故そうなってしまうかと言うと、自分の機軸の中で考えた相手を作り出して理解しようとするから。
そして、その機軸が少ない場合、相手が考えている事とズレるから、相互理解不能になる。

機軸が少ないと相互理解不能になるという事は、
「閉じた世界生きているとプロファイリング精度が悪くなる」と言い換えることも出来る。

会社で例えると、よくある営業と事務やクリエイティブの諍いだったりする。
お互いの機軸が違う上、それを相互理解しようと努めないから背景や文脈がわからずに攻撃し合う事になってしまう。

では、相手のことを良く理解するためには何が必要か?
それは多くの機軸を理解する事。
調理したくてレストランに入って、まずホールをやる事になるというのはそういう事だ。
チームで働きたい場合、せめて相手の機軸は理解しなければならない。(変態的に一つの機軸が高い場合の人はそれだけじゃない場合もある)


機軸の種類

機軸は宇宙・世界・宗教・国家という大きな単位から、男女・年代・趣味・嗜好という個体差による範囲、家族・会社・部活・サークルなど、小さな集合単位まで様々だし、アート・スポーツ・グルメのファンコミュニティのような趣味の集合体だったりする場合もある。

この機軸を多く理解するのは大変だけど、機軸を理解すればするほどプロファイリング精度は上がる。
上記のように機軸は多種多様なので文化レベルによっても作法がかなり違ってくる。

和食や和文化のお作法は相手に義理を尽くす日本的なお互いの立場を立てる作法かもしれないが、キリスト教的お作法は立場より個の思想の自由を重んじることかもしれないし、反社会的作法は相手を攻撃する素振りを見せて相手から攻撃されない状況に持っていく作法かもしれない。
人間性を捧げて生産性を高めていこうというベンチャー企業的作法も存在する。

結局、ここの相互理解不足が原因で喧嘩や戦争が起きるし、相互理解できないから引きこもりになるし、うつ病も発生する。

これは相互の問題で本質的には被害者・加害者の関係じゃない。
だけど、外敵を作ったほうが内部統制しやすいから、同一機軸内で他の機軸を攻撃して自己正当化するという方法もよく見られる。

多機軸プロファイリング

相手の考え方や事象を「わからない」と言って切り捨てるのは非常に簡単。
だけど、それは機軸を一つ捨てて相互理解を怠っている事に近いとも言える。

例えば、対面で攻撃的な立場を取られたり、メールで不可解な文章が送られてきたり来た場合の対応時に排除以外の方法を取るためには、
どういう世界で生きていて、どういう趣味嗜好があって、現状何で悩んでいそうか?
そういう事を複数の箱(機軸)を使って相手を並行計算する事が必要だと思う。

僕はエリートになる線路を引いてもらったにも関わらず、そこから離脱してブラックな世界を泳いで浮上してきたような経験があるから複数の箱を持っていると思っていた。

だけど、生活に困らない程度にお金を手に入れた瞬間、自分のやり方が正しいと思って相互理解を怠っていた事もあったと反省している。
思い返してみると機軸が少なかったからそうなってしまったんだと思う

攻撃し合うのではなく協力し合う世界を実現するためには、多くの価値観を理解して、話し合い認め合いながら多くの価値観を機軸として相手を理解する多機軸なプロファイリングが必要なんだと最近は感じている。


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