プロダクトその1

「スポーツ×教育」のプロダクトデザイン その①

1.初めに

私はこれまで、教育やスポーツ系の事業企画・経営企画を担当してきたのですが、自分のこれまでの経験や事例の調査をする中で感じたこととして、スポーツや教育分野では「プロダクトデザインが出来ているかどうか」が明暗を分けていることが多いのではないか、ということがあります。

自分の思考の整理も含めて、教育分野や教育系のスポーツ事業を「スポーツ×教育」とまとめ、そのプロダクトデザインについて何回かに分けて書きたいと思います。

今回は「スポーツ×教育」のプロダクトとは何か?がテーマです。

2.「スポーツ×教育」は何を売っているのか?

そもそも、プロダクトデザインって何でしょうか?

直訳すると「商品設計」です。

もっとかみ砕くと、「売り物を具体化するための構想」です。

しつこいかもしれませんが、「プロダクト = 売り物」。

すなわち、スポーツや教育を「プロダクト」として考えることは「売り物」として考えるということです。

「スポーツ×教育」の例としてはサッカースクールや資格専門学校などがありますが、これらは何を売っているんでしょうか?

「サッカー」や「資格」が売り物なんでしょうか?

3.「サッカー」や「資格」はプロダクトではない

結論から言うと、「サッカー」や「資格」はプロダクト、売り物ではありません。

「サッカー」や「資格」は顧客が「学ぶコト」であり、「経験するコト」ではあります。これらをまとめて「プログラム」と呼ぶことにします。

ここが「スポーツ×教育」での事業において押さえておくべき視点だと思います。

「スポーツ×教育」においては 「プログラム」 ≠ 「プロダクト(売り物)」 です。

それでは「スポーツ×教育」の事業におけるプロダクト、売り物とは何でしょうか?

下図をご覧ください。

プロダクト

「スポーツ×教育」のプロダクトとは

「プログラムを経験しなかった場合の将来」と「プログラムを経験した場合の将来」の「差」です。

例えば、小学生向けサッカースクールの場合、そこでの経験が中学生、高校生、大学生になったときに何か影響しているのか、がそのサッカースクールのプロダクト=売り物といえます。例えばそのサッカースクールのおかげで、

・社交性がある生活をしている
・チャレンジ精神を持って成長している
・自信を持って生活できている
・プロ選手を目指せる競技力を持っている

という将来の状態の差が作れるのであれば、これがプロダクトです。

4.「良いサッカー」と「悪いサッカー」がある?

そしてプログラムはそのプロダクトを実現するために、論理的に構築されなければなりません。

サッカーばかり取り上げて恐縮ですが、一口に「サッカー」といっても色々あります。サッカーをすれば全員が「社交性があり」「チャレンジ精神を持てるようになり」「自信を持てるようになり」「プロ選手を目指せる競技力を持てるようになる」わけではないですよね。

そういう意味では極端に言うと、将来に良い影響を与える「良いサッカー」もありますし、将来に悪影響を与える「悪いサッカー」もあるといえます。

もちろん、サッカーをやっているだけで将来に良い影響を与えるものが勝手に身につくものをあります。しかし、それは偶発的なものに頼っているため、プロダクトとしての信頼性が劣ってしまいます。

スクール生全員がそれぞれちゃんと、サッカースクールを通して将来に影響を受けるためのしかけが必要です。
前述の「社交性」「チャレンジ精神」「自信」「プロを目指せる競技力」をプロダクトとして狙うのであれば、それぞれ、

①全員が社交性を持てるようになるための「しかけ」
②全員がチャレンジ精神を持てるようになるための「しかけ」
③全員が自信を持てるようになるための「しかけ」
④スクール生全員がプロ選手を目指せる競技力を持てるようになるための「しかけ」

を作りこまなければなりません。

5.次回はマーケティング視点

ちなみに、前述④の「プロを目指せる競技力」というのはハッキリとは言わないまでも、元Jリーガーなど、コーチの指導力を売りにするサッカースクールは多いと思いますが、あまりにその一点だけに頼ってしまうと危険だと思います。

スクールを決める保護者の方のニーズは④よりも①②③にあることが多いため、顧客のニーズと合致しているかどうかは前提として考えなければなりません。

このあたり、次回はマーケティング視点を含めて「スポーツ×教育」のプロダクトデザインを掘り下げたいと思います。

・STP
・社会情勢分析及び人材ニーズ分析
・競合分析
・4P

などの視点から書きたいと思っています。

マーケティング視点での掘り下げの次は、今回軽く触れましたがプログラムの作りこみの方を書く予定です。


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