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生きてる?

「生きてる?」

突然
中学時代の友達から電話がかかってきたのは
今年の春が終わる頃。

去年の冬、スマホを買い換え
夫にLINEの引き続きをお願いしたら
ちょっと間違えて数百人繋がっていた人が一瞬にして消えた。

夫の顔は青くなり
「ごめんね、ごめんね」
と謝っている姿が可愛くて
「別にいいよ」
何事もなかったように伝えた。


電話番号を知っている人や、
夫と繋がりがある人とは
また繋がることができたけど、
今まで繋がっていた大勢の人と
積極的にまた繋がろう。という気にはなれなかった。

病気になり気持ちも
そんなに晴れやかではなかったから。

元気じゃない自分は
誰も必要ないって思っていたから。


仕事のお客さんや生徒さんには自分の病気のことを伝え、
仕事ができないことは伝えてあったし、
友達にもそれとなく
「なんか、治療法のない病気になっちゃって」
精一杯明るく伝え終わっていた。

LINEで繋がりが切れた沢山の人に
「母ちゃん亡くなったって思われるかね?」
少し自虐的に言い家族と笑いあった冬の夜。


そんなことをすっかり忘れた半年後、

「生きてる?」

まさか中学時代の友達から
本当に生存確認されるとは思っていなかったので、思わず大笑いしてしまった。

「Aちゃんが、小寿々ちゃん、LINEから消えてる、部活のグループLINEにもいない。どうしたんだろう……。電話番号知っていたら電話して!って頼まれたのよ、生きていてよかったよ!本当によかった!」

友達も安心したのか笑いだした。

私の病気の話、友達も持病があること、家族のことなど、
お互い13歳に出逢ってからずいぶん
歳を重ねたよね、と、笑いながら色んな話しを時間を忘れて楽しんだ。
スマホの向こうからは中学の頃とかわらない友達の声がして、
懐かしさに胸がキュンと弾む。


「こんなご時世だから、すぐに会えないけど絶対また会おう!
ランチとか、行こうね。とにかくお互いに生き延びよう!」

友達の言葉に元気よく

「もちろん!!ハグしよーね!」と答えた。

その後
心配してくれたAちゃんとも話しができ
私とは違うけれどつらい病気と戦っていることを知った。

「生きて必ずまた会おう」

Aちゃんとも力強く約束をした。

友達とまた繋がることができ、部活メンバーグループにも加わり、
みんな変わらずにそれぞれの生活を生きていることを知った。


「生きてる?」


その言葉に


「生きてるよ!」

ヨボヨボしていても言えることに、
そして気にかけてくれたことに、
心底有難いと思った。



ざわざわしている世の中に加え、
私は病気のため一人ではどこかに出かけることはできない。

だけど、スマホを使って声をかけることはできる。

今まで疎遠になっていた友達に

「生きてる?」

と言葉を送ってみた。
もう10年以上会えていない友達から

「元気に生きてるよー!」

と返事がきて嬉しくなる。
流れた年月の壁など関係なく笑いながら、たわいのない会話をして

「必ず会おうね」

と約束できることに心があたたかくなった。


わざわざ
「小寿々ちゃんLINEからいなくなったから、
必死になって繋がっている人探してようやく繋がれた!」と
連絡をくれる友達もいて本当に嬉しくなった。


「生きてる?」

友達の一言に、
私は生きているし、
やりたいことも沢山あって
楽しんで生きたいと
おかげでまた、再確認できた。

病気になって
痛くてしんどくて落ち込むときがあるけれど
そんなときは

「生きてるよ!」

大きな声で言ってみる。
しらないうちに笑顔になって今日も楽しもうと気持ちが明るくなる。


繋がってくれた人との縁に感謝して、
この先も
色んなことがある人生を
味わいながら進んで行こうと思った。

そして時々

「生きてる?」

そう声をかけ、
笑いながら
元気を伝えあって生きて行きたい。

生きているだけで、スゴイことなのだから。




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