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やっちまった!

 赤い携帯。彼と出会った頃に使っていたので思い入れがある。大事な小物を放り込んでいる引き出しにずっと入れてあった。

 記憶の中では、当時Mac使いだった私はクラリスメールというメーラーで知り合ったばかりの彼とやりとりをしていた。すでにWinに乗り換えた私は過去のバックアップしたメールを読むこともできず、Old Macとソフトがまだあるという聖地のような妹にデータを復元できるか送ってみたばかりである。
だが、部屋を片付けるためにいらんものを処分しようと空けた引き出しからガラゲーの充電器発見。

時間がいくらあっても足りない

さっそく充電して、何故か入れっぱなしだったSDカードにデータを移してPCへ取り込み、ググりながらVMCという拡張子のファイルをemailにして、それを次のemail-converterでテキストに変換して、やっと読める形になった。

Photoは受信した写真

後は画像ファイルの取り出し。自分で撮った写真は取り出せても、彼が添付してくれたPhotoなる画像ファイルはコピーも赤外線もなんともならない。大事なのはこっちなんだ!と方法をググりまくってみても答えにたどり着かない。今日も部屋は片付かない!
何が不幸かと言えば、この頃彼が使っていただろう彼のガラゲーを何台も私は先月まとめて捨てた。4トンで数万円の一部にしてしまった。

ど直球

 既にガラゲーを2台持ちで、この赤い携帯の他に彼専用の無料通話用があったので、この携帯に残されているメールにそんな興味もなかったのだけれど、画面ちいさっ!文字制限みじかっ!と改めて驚きながら開いてみると、ド直球のどストライクが入っている。

絶対に放さないから、覚悟しておいてね。
○○サン愛してる

赤いガラゲー

もちろん瞬間的突っ込んだ。手放してんじゃん!20070814に受信したメールは熱い思いをまだ残していた。ハートマークらしい四角いトウフを添えて。

ココだけの話

 離婚してから彼に出会うまで10年ほどあった私は付き合うならば「彼の腕の中で死にたい」と思えるような人がいいと思っていた。無理して我慢して結婚という形を続けていくような、押しつぶされるような生活の最後を拒絶していたのだと思う。
 そして偶然の出会いで4歳年上だった私は彼の腕の中で死ぬ気満々だった。チャーミーグリーンのように手を繋ぐ事は拒否されながらも、スキあらば手をつなごうと企てるおばあちゃんになると思っていた。
14年が過ぎて、愛しているという言葉を言わなくなっても「10年後って~」とか「70過ぎたら~」「80まで~」とか違う言葉でずっと一緒にいることが当たり前のように話していた。

フリーソフトが再生してくれたこの熱いメールを誰よりも彼に見せたい。
小さい子どもが家に帰るなり「今日○○ちゃんがね!」と報告を始めるように、私の五感・心・思考を伝えたい。ソファにゴロンと横になりスマホをいじりながら聞き流してるのはわかっているんだけれども。

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