kosuzume48

未婚のまま死別した元55歳女。 今日までと明日から。 ワンコとにゃんこと旦那のような彼…

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未婚のまま死別した元55歳女。 今日までと明日から。 ワンコとにゃんこと旦那のような彼氏。三年半の遠距離から一緒に暮らした10年半。 宝物の14年を抱えて生きて行く

マガジン

  • ショート・ショート

    死別後に気が付いた考え方の変化を書き留めます

  • 君のいない街で生きる

    死別して心がポッカリと抜け落ちた。大きな穴に大好きを詰め込んで彼と生きていくようになってからの日常。徒然なるままに。

  • 結婚してないのに死別した

    彼の事業を手伝いながら一緒にすごした普通の日々。そんな日常がかけがえのない日々だとしみじみ思うのは、彼が亡くなったから。 日常の中には共に当たり前に老後を過ごす平凡な夢に溢れていた。 彼が亡くなり、私は当たり前の日常と当たり前だと思っていた未来を喪った。

  • 肥満細胞腫

    16歳の老犬闘病記

  • 心が落ち着くまで

    死別して彼の死を受け止め、受け容れたと感じた日から逆にそれまでの葛藤を書きます。

最近の記事

  • 固定された記事

結婚してないのに死別した

知り合った時、彼は仕事を辞め海の近くに工場(こうば)を借り個人事業主としてスタートしたばかり。まさか彼女を作ろうとか結婚とか考える時ではなかった。  そんな中で一緒に暮らすことになり、お金がないのが平常運転で、それでも貧乏なりにふたりで笑っていられたのはずーっとずっと先に続く時間をも共有できる安心感だったのかも知れない。 そんな彼が急に亡くなり、一緒の時間は丸14年と少しだけで途絶えた。 不思議と未だに心にぽっかりと穴が開かない。彼がいなくなって1ヶ月が過ぎたけれど、い

    • マスキング

       キットで買ったクロスステッチ。四角い目をバツ×印で埋めると丸いミモザが咲いていく。不思議だ。  同じ色で挿せる場所を最短距離でワープしながら刺し進める。〈糸が足りるだろうか〉という心配しながら遊ぶ。 差し迫った小さな不安はいいものだ。少し先の大きな不安を考える余裕をマスキングしてくれる。 〈糸が足りるだろうか〉は〈今日の夕飯どうしようか〉を覆い隠し、今日の夕飯は〈義母宅への訪問〉を隠し、義母からの招待は〈絶縁宣言した実母との関係〉を隠し、実母の存在は〈圧倒的に足りない老後

      • ラブラブ

         道路脇の用水路にいるカルガモを見て「いいなぁ...」としみじみ感じながら、私だってラブラブなんだもん!と意地を張る私はアホなのだろう。 センシティブ  一応、センシティブをググって見た。死という文字を使うのでセンシティブという事に当てはまるのだろう。そうして日常から死をあまりに遠ざけてしまったからグリーフがかくも大きくなってしまったのだろうに。  日常的に私達が生きているように、対を成して死もそこにあるのだろう。 前向き、ポジティブばかりが正義であるように遠ざけ、目をそ

        有料
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        • たぶん満月

           会社からの帰りにふと見上げた空にたぶん満月が輝いていた。 彼と見上げた夜空はいったい何度あったのだろう。理系と文系、学問と無知の狭間を言ったり来たりしながらお喋りに夢中になっていた。  なんの血がそうさせるのか、私達はお互いに相手を 笑顔にする 笑わせる、もっとしっくりくる言葉にすると〈笑かす〉ために喋っていたのだと思う。  くそデカイ満月と小さい満月が同じ大きさなんて到底信じられないし、大きくて綺麗なお月さまの写真を撮ったのに、画面の真ん中にポツンと小さく映るのに納得

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        結婚してないのに死別した

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        • ショート・ショート
          9本
        • 君のいない街で生きる
          40本
        • 結婚してないのに死別した
          32本
        • 肥満細胞腫
          10本
        • 心が落ち着くまで
          5本
        • 心のざわつき
          12本

        記事

          ユキノシタ

           何とも力強そうで、困難に耐えて咲きそうな花の名なのに、撮影日は5月半ばを過ぎていた。タンポポより遅いじゃん...。しかし遠目には〈何か咲いてる?〉程度の存在感の小さな花は妖精のような繊細な美しさだったのを覚えている。 Aさん  部署にAさんが配属され数ヶ月経った。入院からリハビリ、長期休養を経てからの部署を変えての復帰。  大病を患うと鬱っぽくなる方もいるのだろう。数ヶ月経っても配属して数日経験したのと変わらない知識しか身についていない。私と勤務時間が被る早朝の3時間

          ユキノシタ

          初詣

          氏神様  近くに全国的に有名な寺院があるのだが、。人混みも嫌だし、新年を祝賀する気分でもないので…元旦のお昼ごろに氏神様に詣って来た。子供の頃からの遊び場で、秋の大祭も盛大に行われるので通いなれた場所なのに本殿の中の記憶は無かった。まぁ〈彼と行った〉という条件付けがあったので初詣に行こうと思っただけで、神仏をどう捉えて行くべきか答えが出ない。  氏神様におかれましては...、ガキンチョの頃には境内で兄弟喧嘩はするし、回廊の下に潜り込んでは穴を掘るし(蟻地獄を捕まえるため)で

          〈自分〉と写真

          海の中へと続く階段が好きだった。元の写真はこんな感じの場所 年に数回、防波堤から覗き込むと無数の小魚の群れが次々に現れては泳ぎ去り、途切れることのない巨大な保育園の様相を呈する日々が数日間続く。  犬の散歩の途中だというのに目を奪われて立ち止まる私達に呆れて、時折申し訳無さそうにリードを引っ張って散歩の続きを促す犬を宥めて、それでも自然の圧倒的な豊かさ見とれていた。 「海の中は季節が反対だからこれから春なんだよ」 「こんなにいても大人になれるのは一握りの厳しい世界なんだよ

          〈自分〉と写真

          あ然

          納骨  知らせはLINEで届いた。 3回忌を終えた彼が納骨されたのは、私の誕生日だった。 因果なのだろうか 御縁なのだろうか まあ、土日休みの前の祝日。3連休の初日で皆んなの都合がつきやすかっただけだろうけれど、私の頭は自分を落ち着かせる理由を探して迷走を止めなくなってしまっている。 記念日反応  2年目の記念日反応は1年目とは違っていた。1年目は記念日が近づくと時限爆弾を抱えているかのように怯えて日付が変わるのが怖かった。  今年はGWあたりで「今年も彼の誕生日プ

          ドライフラワー

          誕生日  通勤途中道路脇に咲き誇るコスモスを見ていつも思う。 昔はワインレッドのようなバーガンディのような...、濃いピンク色でベルベッドを感じる色のコスモスが私には特別惹かれるものがあった。  デートらしいデートもしなかった私達だったが、唯一「連れて行って」とおねだりして「俺、興味ねぇし」と言う彼にワガママを通して連れて行ってもらったものコスモスが咲き乱れる植物園だった。 そんな事もあって、好きな花ではあるが〈この色が一番好き〉という熱い思いは無くなってしまっている。--

          ドライフラワー

          自分の好きなもの

          本当に好きだった?  パンやお菓子を作ったり、ネットで新しいレシピを探したり何かを作るのが好きだった。  何かを始める前に〈まず音楽をかける〉彼に影響されて私の好きな音楽の幅もますます広がった。  今になってみると、それがどう好きだったのかわからなくなっている。 彼が美味しいと喜んでくれるから料理が好きだっただけかも。 幸せそうに音楽を聴いている彼を見るのが好きだったのかも。 種まきが大好きだった。きれいな花も美味しい実りも。でもそんな小さな命さえ、尽きる日までのお世話

          自分の好きなもの

          ショート 失ったもの

           ずっと〈失った〉って思っていたんだ。 共に年老いて、ヨボヨボしながらも仕事して。 仕事を辞めたら二人でのんびり笑いながら過ごしている。 一緒に過ごす未来が全て消えた。 でも、素敵な老後の姿を与えられていたんだなって気が付いた。 私、彼と出会う以前にすでにバツイチなんだよね。 あの頃の生活には思い描く老後なんて無かった。 だからなんとなく当たり前に手に入ると思うほどに 自然に思い描ける老後を手に入れていたんだって思った。 確かに叶わないけれど そんな素敵な夢を感じさせて

          ショート 失ったもの

          未熟

          秋の気配  通勤路に落ちるまだ青い柿を踏まないように避けて歩き、未成熟なままに落ちて果てる姿を自分たちに重ねてしまう。図書館の階段の隅に転がるどんぐりに哀れを感じる。 精神状態とは何ぞや ・病んでる  私が死別から2年が経とうとしていることや、ずっと彼に夢ですら会えないことに苦しんでいる事を知っていれば〈病んでいる〉と言うことだろう。 しかし幸か不幸か、私以外にそれを知る人はいない。 ・侘び寂び  落ちている柿やらどんぐりで心が掻き乱されるのを、文化的/文学的に見れば〈

          洗濯物と納骨

          洋服  昨日、出勤時にふと気がついた。こんな格好の私を彼は見たことが無いんだよな。  出勤する必要も無かったあの頃は、暑ければタンクトップと短パン。汚れが目立たない、猫や犬の毛が絡まないとか、二人とも似たり寄ったりで無頓着だった。  仕事に行ける服を少しずつ買い足してきた。少しばかりお硬い職場なのでモノトーンで落ち着いた色使いの服ばかりだ。定番の黒い服を避けてしまう。何か喪服のような気持ちになる。  元気な色のキャミを着て、無難な色のトップスを着て家を出る。私のこんな格好

          洗濯物と納骨

          笹団子が霜降り肉になる日

          お盆  実家の墓参りにも行かずお盆になった。自分用の笹団子を届けてくれる黒猫さんは、もう1つ荷物を持っていた。彼の実家に送った笹団子は和牛になって届いた。 送料込みの最安値を検索しまくって送ったのに申し訳ない。わらしべ長者になるには私の気は弱すぎるようだ。  今年のお盆に学んだ事は、彼実家に送った物を自宅用にも買ってしまえば 〈彼と一緒に同じものを食べられる〉ということだ。彼があっちに行ってしまっているかもと考えて、私がめげる必要がなくなる。 哲学  古来〈哲学者〉と

          笹団子が霜降り肉になる日

          夏の空

           寝る前に「朝4時20分に起きる」と3回唱えてから寝る。 少し開けておいたカーテンの隙間から空模様を伺う。薄曇りといった様相に納得せずにググる。夏至は6/21だったんだ。 朝起きると空が薄暗い事にここ数日気になっていた。8月の上旬なんてものは、これから何日もクソ暑い日が続く、まさにこれから夏本番!という時期だと思っていた。 早朝6時半の世界線では、日の出時刻が30分も遅くなり夏至には6:30だった日の出が7時になっていた。8月初旬に夏が過ぎ去るのを感じる日が来るとは思わな

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           この写真を撮ってから約2ヶ月も経っている。何もしていなくても月日は流れ、笑顔で働いていれば明るいいい人認定される。そんな虚構の現実世界で生きている。  2ヶ月以上も空っぽを感じながら過ごしている。この写真を撮った広場はその時には一面のシロツメグサが咲いていた。ほんの一角だけがアカツメグサ(紫詰草)が生えていた。 クローバー  子供の頃からこのアカツメグサが解せなかった。花冠を編もうとしても 花のすぐ下に葉がついているので編みにくく〈赤と白〉という違い以上のモノがあるだろ

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