あっというまに1週間経ってしまいました。8月20日、灼熱の日比谷野音。ステージから見た景色は、たぶん一生忘れないでしょう。

当選確率800倍とも言われる野音ですが、これから数年間は改修で使えません。38度に迫る異常気象の8月という、野外ライブにしては過酷な環境……しかもサマソニの裏！そりゃ本音を言えば10月あたりに開催したかったですが、野音は取れただけで奇跡なのです。
おそらくtoconomaが野音でワンマンをするのは最初で最後、という気概のもと準備を進めてきました。15年間夢見た舞台です。1mmの後悔も残さないように迎えるべきだと思いました。

開催が決定してから1週間でキービジュアル作成、同時にステージ演出や装飾なども考え始めました。社会人しながらバンドを続けてきた、その集大成、本質みたいなものをコンセプトに据えるべきだと思い「WEEKEND HEAVEN」という言葉が爆誕。週末を天国に。僕らがやってきたこと、そして野音で表現すべきことが詰められた言葉だと思います。4人のメンバーは翼の折れたエンジェルってわけです。なんで翼が折れてるかって？…仕事の重責に決まってるだろ！

舞台美術もかなり知恵を絞りました。10案くらい作ったんじゃないかな…。当然予算もあるのでできることは限られましたが、かなり素敵なステージになったんじゃないかと思います。僕のデザインイメージを忠実に施行してくれたチームに感謝です。でっかい白玉がフワフワ。植物がワサワサ。

そして大量のシャボン玉。週末だけゆらゆらと輝いて、月曜日がくればパチンと弾けて消えてしまう……これ、まんま俺たちじゃん！ということで、野音史上最大規模のシャボン玉マシーンを導入。実はあのマシーンは強弱がつけられまして、曲中でどのマシンからどのくらいの量を出すか……これも全部考えて指示のシートを作りました。実際は風向きなどもあるのでオペレーターの方の裁量に任せる部分も多かったのですが、ここまでディレクションできて良かった。悔いはないです。来場してくれたキッズたちが喜んでくれたので何より。

ライブをやってても&観ててもいつも思うのですが、音楽って本当に一瞬の輝きですよね。その瞬間だけ輝いて、終わればあっという間に思い出になっちゃう。演奏しながら浮かぶシャボン玉を見ながらしみじみ感慨にふけりました。

さらに本編最後で客席に登場した巨大なバルーン。これ一回やってみたかったんだよね。適切なサイズは？素材は大丈夫か？子供怪我しない？など協議を重ねました。もともと2個だけの予定で「2つの巨大な玉袋……これぞ床上手の証だな……」なんて密かに思ってましたが、本番直前に3個に増やしたので、MCでしょうもないことを喋らずに済んで良かったです。危なかった。

衣装もコンセプトを元にスタイリストのカイさんに相談。フジロック、ツアーTOCONOVAに続いて、こちらの意図をばっちり汲んだスタイリングを提案してくれました。詳細は袋とじ部分で語ります。

なにせスタッフだけで100名以上、事前見積もりは「え、コレ桁間違ってない…？」っていう額だったのでプレッシャーもすごかったです。野音は電源も音響設備もPA卓も全部バンド側が用意するんですよ…。ただの広場なので。資本を持たないインディーバンドとしては限界への挑戦だったと思います。まじギリギリ。こんなに胃が痛い日々は久しぶり。物販が完売して少しホッとしました。

ちなみに悲しいことにライブ中の記憶はあんまりありません。ほぼ断片的。実は前週に嫁と子供が風邪でぶっ倒れて(コロナは陰性)、どうやらそれをもらったみたいなんですね。当日も風邪薬でごまかしつつ、発熱なのか暑さなのかわからないフラフラ状態で演奏しておりました。家に帰ってぶっ倒れて、これを書き始めた木曜日になってようやく復活してきました。きっと色々張り詰めていたんでしょうね。

今になってU-NEXTのアーカイブ配信(9/3まで&初月無料)を見返してるんですが、やっぱりいいライブだったと思います。細かい改善点とか反省点はあるとしても。改めて言いますが、昔からtoconomaを応援してくれてるあなた、いつも来てくれるあなた、遠征してくれたあなた、最近好きになったあなた、理解ある同僚と上司、尽力してくれた関係者、昔からの友人たち、なにより家族のおかげです。ほんとうにありがとうございます。

新曲(つくりかけ)を披露したのは、これから先もバンドが続くという姿勢を見せたかったからです。アルバムは来年……出せるといいなあ〜〜なんて思ってますが、ちょっと時期は明言できません。毎度のことですが気長にお待ちください。

そしてここからは野音ワンマンの裏側などお見せしちゃいます。衣装の詳細とか。今回のために作ったSE、リハの写真など。物好きな方はぜひ。