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ノルウェー旅(前編)「Snøhettaを訪ねて」

人生で2回目の、ノルウェー旅。
10年前に訪れた時はとにかく建築を見てまわったが、今回はもう少し俯瞰して、ノルウェーの文化やライフスタイルを中心に観察した。

緯度からも分かる通り、ノルウェーの夏はものすごく短い。
日本では酷暑の9月でも、ノルウェーでは夜になると10℃近くまで下がる。
毎日続く曇天と低い湿度のせいで、さらに肌寒く感じる。

首都オスロの街の様子はというと……、とても地味な街である。

石造りの建築が続くねずみ色の街並みに、商業的な看板はほとんどなく、スーパーやコンビニに入っても店内音楽はなく静かだ。
あるのはゆっくりと流れる時間だけで、なんだかもの足りない。

では、何がもの足りないのか?
少し考えた結果、日本の街に比べて圧倒的に刺激が足りないと分かった。

僕は東京と福島の2拠点で生活していて、9:1で東京にいる。
東京の最新の情報や文化は日々目まぐるしく、僕はその波の中でビジネスをしている。
高級なレストランで会食をすることも、かっこいいブランドのアウトドアギアを買って満足感を得ることもある。この街には、その手の刺激がまったくないのだ。

語弊がないように説明するとオスロは人口70万人。ノルウェーで一番大きい都市だ。
ノルウェーは、世界有数の石油・天然ガスの生産国で(年産約14億バレル)、欧州諸国を中心に輸出したり、豊富な水資源を利用して(国内電力の93%は水力発電らしい)電力をつくったり、その電力を活用した加工産業(アルミニウム、シリコン、化学肥料)が盛んである。

2022年の国民1人当たりのGDPは106.328USドルで、日本の3倍以上。
僕の目には、東京という都市の方が圧倒的にスピード感や刺激があるように映るが、GDPがそれほど高いことには驚いた。
(参考/GLOBAL NOTE https://www.globalnote.jp/post-1339.html

さて、今回の旅の目的である、ノルウェーを代表するArchitectチーム、
「Snøhetta(スノヘッタ)」とのミーティングの話をしよう。
Snøhettaは、同時に手掛けるプロジェクト数が優に70を超えるという、グローバルで超売れっ子アーキテクトであり、僕の大好きなチームでもある。

日本の設計事務所、特にアトリエ系と言われる小規模事務所の勤務時間はいまだに、早朝から最終電車まで。
クライアントプレゼン前は完徹も辞さないという文化が当たり前にはびこっている。
世間で騒がれるブラック企業がゴロゴロいる業界で、最近はそんな悪習を毛嫌いする若者も増えているそうだ。

もちろん、建築を設計し施工することはそれだけ難しく責任が重い仕事だが、はたしてSnøhettaではどうなのか。異常とも言える日本のこの建築事務所のエンドレスワークは、万国共通なのだろうか?

答えは、Snøhettaで働くスタッフの週の残業時間は10時間程度。
しかも、このレベルの残業時間が(たった!)2週間続くと、日本でいう労働基準局からレッドカードが出るらしい。
毎年夏には5週間ほどのサマーバケーションをとるのが当たり前だという。
なぜだ。なぜ、こんなにも違うのか?

Snøhettaの建築よりもSnøhettaの働き方に興味が湧いて、僕は4つの質問をした。

つづく

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