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Waterfall グラミーエンジニアの仕上げ

皆さんこんにちは。作曲家で音楽プロデューサーの齊藤耕太郎です。アルバム「VOYAGER」のリリースから2日。沢山のツイートやコメントで鳴り止まない携帯。本当に嬉しいです。明らかにこれまでのリリース活動とは生身のリアクションが違う。そう思えるのは皆さんからの言葉あってです。ありがとうございます。引き続き聴いてください。



アルバムのリードトラック「Waterfall」のMVを公開しました!

音源とビデオを聴き比べてみると、実は「微妙にサウンドが違う」ことがわかります。そう、これ、実際に会場で演奏したものを重ねているんです。僕らはこの曲をライブで演奏する前提で作ったので、今回はMVもライブ想定の仕様にしています。

これからアルバム収録楽曲のセルフライナーノーツを書きます。
アルバム発売の初週を、みんなで盛り上げましょう!


我らが歌姫、Mayumi Watanabe

この曲を歌ってくれているのは、僕の楽曲ではもうお馴染みの顔である、まゆちゃんことMayumi Watanabe「Reason」「Love Song」も彼女。すっかり、僕らチームの歌姫。毎年夏に新作を出してきましたが、今後はまゆちゃんに歌ってもらう機会がより増えそうです。

「Reason」

「Love Song」

この曲は八景島シーパラダイスイルカショーLIGHTIA(ライティア)のメインテーマでもあります。最近、ショーが自粛明けて復活したそう。

年々、歌唱力に磨きをかけていく彼女。今年の「Waterfall」は特に、歌に対するグルーヴが大幅にレベルアップしていてびっくり。今回の曲はグルーヴがかなり肝で、VerseもChorusもボーカルがグイグイと全体を引っ張る曲。アレンジを進めていく用に、自粛期間中に携帯で録音してもらったBroken Englishの声データの時点でかなりの完成度でした。


曲名の由来

この曲を思いついたのは2月の上旬のこと。ちょうどアルバム収録もしている「Hello」をリリースする直前で、仲間たちとLINE電話をつなぎながらリリースパーティの段取りを進めていた時でした。

まゆちゃんに、ロックアンセムを歌ってもらいたいよね。
そういうの、年齢関係なくライブで盛り上がりそうじゃん。

なんてことを肇さん、イベントを手伝ってくれていたNoLさん、HelloのMVを監督してくれた親友、原田新平くんと話題になりました。


僕は彼女の歌声だけでなく、存在に「水」のイメージがあります。

清らかで澄んだ声、どこか母性を感じる包容力、まるで大海原やイグアスの滝のような、大空と大地に流れ込むあり得ない量の水。そんなパワーを感じていました。その景色がふと頭をよぎり、「Waterfall」というタイトルが。


30分もしないうちに、
この曲のトップライン(歌メロ)は完成し、
コードもサラッと決まり、メロのガイドとコードだけを
データにして肇さんにパス。


そして時は随分と流れ、自粛期間中に「そろそろWaterfallやりましょうよ。」と肇さんをけしかけ(笑)、肇さんのギター始まりで楽曲制作は本格的にスタートしました。


緊急事態宣言下での楽曲制作

この曲に限らず、多くの楽曲は4月中旬〜下旬にかけてデモ音源を制作しました。僕らは普段から個別作業はそれぞれ自宅スタジオでかなりのことができるようセッティングしていて、特にこのアルバムを作るためにアナログ機材を更に拡充した僕は、楽曲のアレンジ・録音を90%自宅で詰めました。


ギターは箱根のログハウス空間を駆使して録音。

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少し順番は前後しますが、この曲のアレンジで一番最初に録音されたのはこの、可愛らしいハートマークのホールが特徴のアコギでした。可愛いボディですが、めちゃくちゃ高級品です。Zemaitis(日本名はぜマティス)の12弦ギター。この曲のギターストロークは不思議とエキゾチックというか、高音と低音が入り混ざる綺麗な音色。その正体は、12弦ギターなんです。肇さんは当初から「12弦をフィーチャーした曲、なかなかないよ!」と連呼。

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肇さんは自粛期間中、ご自身のキャリアで初めてまとまった時間が確保できたため、このアルバムのために気合を入れ、ご自宅スタジオから箱根までギターを追加で運び込み、「ログハウス×ギターアンプ」という木の反響がとっても豊かな環境でギターを録音していました。

肇さんのギターの音色を今回これでもか!というほど扱いましたが、正直、音の質というか密度、空気感が違います。昨今、ものすごくハイクオリティと呼ばれているデジタル機材がプロ第一線でも活躍していますが、肇さんは一切のアンプシュミレーターを使いません。ご自身が所有する様々なキャラクターのギター・ベースアンプ、そしてマイクを駆使して、どのスタジオでも録音できない素晴らしい音色を届けてくれます。

かなり重厚に歌、音同士が折り重なるこのトラック。ギターのキラキラとした礫がこれだけ聴こえるのは、アナログサウンドの賜物です。


シンセは王道のアナログサウンド!

続いて、僕のリード、ベース、空間系シンセとピアノのセクション。この曲の持つ「水」の色味は僕のシンセで決まっています。

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この曲の主役といえば、僕の持つフラッグシップシンセの一つ、Roland Jupiter-8です。イントロから大空を舞うように鳴っている清涼感たっぷりのリードシンセ、サビでブリブリとリズムを引っ張るシンセベース、その他様々なシチュエーションでJupiterサウンドの恩恵を受けています。

2月に清水の舞台から肇さんに蹴り落とされたような気持ちで買いましたが(笑)その実力をこの曲だけでなく、全10曲通していかんなく発揮しています。このシンセの魅力を一言で表すと、「希望」。とにかく壮大でブライト、ダークさがない。ベースで使っても非常に豊かなローミッドを持っているため、ローパスで高域を削ったとて存在感は抜群です。

これに限らず、ヴィンテージアナログシンセの真価はソフトじゃ絶っっっっっっっっっ対に再現不能です。所有者だけの特権です。

そのほか、僕はこの曲を作るために、Minimoog Voyagerで16分の野太いベースを、Roland Juno-106Access Virus TI2 Polarで澄んだリードや高音域が豊かなパッドを使い音像を作っていきました。


最大限の配慮をして録音したドラム。

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唯一ドラムだけは絶対に電子ドラムじゃダメだと思い、接触を極力避けるなど普段じゃあり得ない気の遣い方で、僕らチームのメインドラマー、宮内告典くんに叩いてもらいました。

彼は10代から数々のバンドのドラマーやサポートを務め、ドラムやギターで名を馳せた楽器メーカー「Gretsch(グレッチ)」のエンドーサーも務めてきた実力派。そして最近、音楽アニメ「アルゴビナス」にドラマー兼声優として出演していて、現在人気沸騰中のイケメン。趣味の釣りはプロレベルでリーグ戦に出るほど。情報量、多いな(笑)

僕らの作品は渋谷音楽祭以来、ずっと彼に叩いてもらっています。「Hello」「Mother Spaceship」に続き、今作も彼のパワフルなドラムが光ります。結果的にこの曲はドラムが生になったことでものすごく太いビートに恵まれて、ポップソングでありながらアンセムビートになりました。


しかし今もですが、記念写真を撮影する時以外、ずっとマスク。この時も、撮影時に一瞬マスクを外したのみで、呼吸もしていなかったほど。めちゃくちゃ元気で免疫力の塊みたいな肇さんも一応いいお歳なので、特に自粛期間中は神経質だったのをよく覚えています。

仕方のないことですが、本当はブース越しに表情で会話したいレコーディング。最近僕はより、ボディランゲージが増えたように思う。個人的にはこの状況が今より良くなるとは思っていないので、スタジオワークの在り方も今後考えていかなければならないですね。


歌詞に込めた想い

バックトラックの制作を進めながら、僕らは作詞家であるKurt Jessenさんに歌詞の相談をしていました。

このプロジェクトは全体的に、僕が楽曲のコンセプトとタイトルを決めて進めています。この曲もタイトル先行で楽曲を作り始めていて、その時に思い描いていた「自然への尊敬と畏怖」を大きな柱にしようと決めていました。

自粛期間中、どうしても雄大な自然をSNSで眺める時間が増えました。本当なら実際に見ることで感動したかった。でも、当時は外に出るのも憚られ、自然の癒しを求めるためにネットを使う、というのは僕だけじゃなかったと思います。苦しい時代ですね。

そんな時代だからこそ、僕らは僕らが知っている自然を尊び、愛でて慈しみたいと感じました。その気持ちを音楽で最大化すれば、いざ真夏が来た時、いつものように大空の下で過ごせなくても、窓越しに鳴くセミ、起き抜けに窓を開けて見る夏の青空、近所を散歩するときに燦々とあびる太陽。日常と思っていた景色にも、愛情を持って接することができるんじゃないか。そう信じて打ち合わせを進め、こんな素敵な歌詞ができました。

Waterfall

Here and there, everywhere upon the earth
Anywhere in the world that I may journey
I feel you beside me

In the light, see your colors ever change
Day and night see your beauty so amazing
So timeless and pure

And I know you’re always right by my side

※Chorus
You’re the spirit in my stream
You’re the rain that wakes my seed
Your’e a wonder, you are my waterfall
You’re my mist in summer heat
You’re the thunder at my feet
Your’e the wonder, I need in my life

And I know you’re always right by my side

In my blood, in my body and my soul
In my breath, every single word I’ve spoken
I feel you inside me

Nothing lasts, time will always surely show
But it’s you, keeping everything in motion
For eternity

And I know you’re always right by my side

※Chorus repeat

You’re the river deep and strong
You’re the reason life goes on
Your’e a wonder, you are my waterfall
You’re the spring of harmony
Flowing as boundless like the sea
Your’e the wonder, I need in my life

And I know you’re always right by my side

人間だって、自然の中で生きる一つの要素でしかない。

そんな僕たちは、自然という要素の中で美しく生きることができている。
僕らにとって自然、特に母性に満ちた水という要素は
僕らを動かす要素であり、渇きを癒す命の象徴。

雨も雷鳴も、自然が生み出し、
地球という母体を循環させるために生まれたもの。
僕ら人間などでは全くコントロールできないもの。

その中で僕らは生かされている、その気持ちを
僕たちは忘れてしまっていないだろうか。
自然すら、人間の所有物と感じてしまっていないか?


そんな気持ちを歌にしたかった。

この想いはコロナに関係なくずっと昔から抱いていたものです。こうして自然という要素が、僕のように東京の真ん中で生きている人間にとって少し縁遠い存在になった今だからこそ、伝えたい想いがあるんです。

人間は自身が作り出したルールの中で生きることに必死になりすぎていないか?国境、法律、貨幣経済、倫理観、政治制度・・・これらは自然の上に生きてきた先人たちが時間をかけて、人間同士を調和させるために人工的に作り出したものです。もしかしたらそれは、誰か権力者が自身の統治のために利便的に生み出したものかもしれない。僕らはその箱の中で必死で思考しているだけでしかないかもしれない。

でも、人間だって動物です。

動物には本能があり、好きか、そうでないか。やりたいかどうか。愛したいか、どうか。僕らには直感があり、直感で信じた通りに動いてうまくいくこと、沢山あると思うんです。それって、思考という作り出されたフレーム外にある、絶対的な存在。あれこれ理屈をこねた先に、どうでもいいや!って思考を解き放った瞬間に訪れる爆発的なアイデア。これって、動物的な本能が生み出していると僕は信じています。


心に向かえば、みんな自然に帰れる。動物として生きられる。
この歌にはそんな、壮大かつ当たり前な想いを込めました。


いざ、歌入れ。

緊急事態宣言が解除された5月末に、この曲のボーカル録音をしました。リモートでやりとりしていた制作期間を経て、久しぶりに肇さん、まゆちゃんと3人で顔を合わせたレコーディングでした。

僕は彼女の音域、表情が魅力的に感じられるポイントをいくつか知っている。高音から低音まで、倍音的にグッとくる音程が曲のフックになるポイントに来るよう、実はものすごく計算しながらトップラインを作っている。

今回の作品は彼女にとっては過去2作品ほど体力を消耗しないよう、極端な高音域はそこまで使いませんでした。(それでも、普通の女性ボーカリストの方には歌えないかも)サビ頭のD(レ)の音とか、こんなに軽々とあっさり出せる人、日本人にあんまりいない。

この、とんでもなくエモーショナルな楽曲を、1テイクで歌い上げ開始10分でレコーディングが終わってしまった伝説を持つまゆちゃん。今回は歌い方もかなりアプローチを変えたので、念入りに色々パーツ毎に録音しています。僕も肇さんも、ハマらないとかなり頑固なので、その中で彼女はものすごく的確に僕らの狙いを理解しながら、自分らしさを出してくれました。

象徴的だったのは、この写真。

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色々試した挙句、彼女が「すみません、座って歌っていいですか」って言い出し、僕らを驚かせました。結局最終的に使用したテイクの多くは、彼女が座って歌ったものです。あのパワフルな歌声、座禅組んで歌っているんですよ、すごくないですか?(笑)この写真の空気感が、彼女の超大物感を物語っている。

僕の中では完全にこの人と被った。

カッコ良すぎるでしょ。


そんなこんなで、今回も何一つトラブルなく、ボーカルテイクは素晴らしい出来栄えになりました。まゆちゃんの歌録音は素直に楽しい。


終わらないミックス。反鬱に。

僕が以前投稿したこのnote。これの原因が、Waterfallのミキシングでした。

いざアレンジを詰め、ボーカルの編集も綿密に行い、ミックスを作ってみたのですが、どうにも僕と肇さんの楽曲に対するイメージが一致しない。

この曲で一番困ったのは、僕と肇さんがサビに求めるグルーヴが全然違ったことでした。後でよく分かったのですが、僕と肇さん体が持つグルーヴの具合がかなり違います。一言で言えば、僕は少し後ろで拍子を取る、ソウルやR&Bのようなリズム感、肇さんはテイクをみたら一目瞭然な、少し早めにアプローチする典型的なロックグルーヴの持ち主。

肇さんはサビで乗れない、なんかモッタリする。ベースライン、変えた方がいいんじゃないか?とずっと言っていました。僕はその度に、「俺の気持ちいいベースラインがなんでダメなんだ!!」とイライラ。あー思い出しただけで今もなんかムカついてくる(笑)

この曲はサビ以外は16分刻みの早いグルーヴで、サビで大きくウネリながら8分裏で跳ねるのがミソだと僕は思っていた。肇さんは終始、16分を感じないと踊れない、と言い張る。これだけ趣味が合う人でも、体感は本能なので、違うものは違う、よくわかりました。

本当に、自粛明けの6月は、3分の2くらいの月日を夜通しでこの曲のミックスばかりしていました。しんどかったな。もう聞きたくないレベルにまで追い込まれました。僕の力量だと、この楽曲を仕上げ切ることは難しいかもしれない。そう思いながら上記noteを書いていました。


救世主、グラミーエンジニアのBrendan

肇さん、もうアルバム出すのやめましょ。俺もう無理。

って毎日のように言っていた当時。肇さんは段々僕にどう言えばいいか悩み出したようで、こっそりご自身が海外録音の際にコーディネートを任せている方に電話し、僕らの楽曲を最高の形で仕上げてくれる助っ人をアサインしてくれました。グラミーエンジニアのBrendan Dekora氏です。

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長髪が渋いこのお方。僕も実はまだ会ったことがないのですが、メールでのやりとりをしているだけで伝わってくる、とんでもないジェントルマン。経歴を見るとこれまで担当してきたアーティストの名前が。

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Nine Inch Nails、Foo Fighters、Ariana Grande、RITA ORA、Britney Spearsなどなど。ロック、R&B、ジャズやオーケストレーションまで、幅広く世界中のトップスターの録音、ミックスに携わってきた彼。彼の作品集にもありますが、彼とは2月にリリースした「Before I Know」でご一緒し、いつかまたお願いしたいと思っていた矢先の出来事でした。

彼にはアルバム1曲めの「Salt」とこの「Waterfall」、2作品をお願いしました。ミックスのやりとりはメールベース。コーディネーターの方が間に入ってくれていましたが、僕も一応英語の読み書きはできるので、基本的には僕からミックスに対するオリエンをし、すぐに「すごく明快なオリエンありがとう、やってみます」と返事をもらえました。


ラフ一発目を聴いて、腰抜けました。

なんでこんなにグルーヴ違うの?このドラム何?やばくない?そんな感じでした。今まで悩んでいたのは何だったんだろう。こんなことなら早くお願いすればよかった。それが本音です。しかも・・・たった2〜3時間で送られてきたんです。数回のやりとりをしましたが、基本的には一回目のこのミックスで完全に安心してしまいました。凄すぎた。一気にテンションが最高潮。

何がすごかったかというと、キックとベースの絡め方、ドラムのアンビエンスの使い方、そして明快なボーカル処理。まさにカラッとしつつしっかりパンチの効いたLAサウンドそのものでした。この瞬間に、この曲は日本のオルタナティブポップの領域を完全に抜け切り、ワールドアンセムになったと感じました。


ミックスって僕が思うに、全体像の捉え方で8割決まるんです。

ディティールの部分って人が何度か聴いて見つけられるくらいでよくて、最初に聴いた瞬間に「わあぁぁぁ最高!!!!」ってならなくちゃダメ。特にサブスク市場はそうじゃないと、一瞬で次の曲に飛ばされてしまう。

Brendanのミックスはイントロでドラムインした瞬間に、壮大な自然が降り注いでくるようなサウンドそのもの。野太いリズムと空の彼方まで拡がりゆくギターとシンセ、パワフルさと爽やかさを兼ね備えたボーカル。僕がかなり下ごしらえしたとは言え、グラミー受賞の腕前を目の当たりにしました。


マスタリングもやり直す

この曲はまだ終わりません。マスタリングを全体的にやり直したのは以前書きましたが、Waterfallに関しては、最後の最後まで粘りました。

僕らもマスタリング前後の追い込み段階になってくると、他の楽曲のことも気にしながら全曲のクオリティ管理を完璧に行わなければならなくなっていた。かなり疲れも溜まっていたし、判断が鈍ったことは認めます。

ここでも一番悩みに悩んだのは、Waterfall(笑)

マスタリングを何度もしてみた結果、処理をすればするほど元のミックスが持っているふくよかな低域とマスタリングで帯びた煌びやかな高域のバランスを取るのが難しくなっていきました。僕らが求める、「スピーカーを飛び出すアナログサウンド」をこの曲でも追い込みたかったからマスタリングにも相当な力を入れた。けれど、二者択一感は否めず、悩みに悩んだすえに


もう一回Brendanに、気になるところだけ直してもらおう。
で、この曲に関してはミックスver.を最終形にして
マスターの書き出しだけやってもらおう。

という結論に至りました。なんだよ、マスタリングしてないじゃん。そう思う方もいるかもしれませんが、そんな訳が無い。

書き出し作業で、魔法がかかりました。

ちょっと専門的なお話になりますが、僕らはミックスまでの音源を32bit / 48kHz、いわゆるフルビットで進めていました。マスタリングでは書き出し形式を24bit / 48KHzなどにダウンコンバートします。皆さんがサブスクで聴いている音源はそこから更に各プラットフォームが独自に音源を圧縮しているので、実質mp3ほどの軽いデータを聴いていただいている。

それぞれ、上質なスピーカーで聴くとまるで音のキャラクターは違っていて、僕の耳の感覚ではSpotifyはレンジが広く聴こえ、中高域が粒立って聴こえる、Apple MusicはSpotifyに比べてレンジが狭めでまとまりがあり、どちらかというと中低域がふくよかに聴こえる傾向があります。

何が言いたいかというと、最高音質でミックスを進めていたものをそのまま、各社のプラットフォームで理想的には再生できないのです。そして必ずしも、最高音質のものが最高の音楽とは限らない。僕らの楽曲の最終完成形は24bit / 48kHzの形なんです。言葉で表現するのは難しいですが

32bit / 48kHz = ゴリゴリマッチョで至るところ筋肉質
24bit / 48kHz = 理想的な細マッチョで多くの人に愛される

みたいなイメージです。必要なところだけが強調されて、洗練された音楽になるんですよね。だからものすごく最後の最後までこだわって作る。


話を元に戻すと、Waterfallはマスタリング1日目の課題をミックスに戻ってリテイクしてもらい、再度書き出しだけマスタリングで依頼しつつ、念のため最低限更にマスタリングしたものも作ってもらった結果、書き出しだけを行ったバージョンがまさに僕らの理想の音像になりました。全部で3回やったことになるのか、やばいな、変態すぎる。


MV撮影は楽曲世界に合わせてMSGMから衣装提供

このMVはライブハウス「Rock Joint GB」の協力のもと撮影したものです。会場の至る所に空気清浄機が置いてあったのを、今でもよく覚えています。大変な時期に、一丸となって制作に関わってくれたスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。

このプロジェクトでも、僕らのアーティスト写真同様にイタリアの世界的人気ファッションブランド「MSGM」からの衣装協力をいただきました。水をテーマに、今夏のテーマでぴったりの衣装を用意してもらえ、会場のライトともに雰囲気を作ることができました。まさにハイストリートな世界観!

僕らはこの曲をライブという形で届けたい。だから、今回は実際に演奏している動画を作りました。リアルでも、オンラインでも、僕らの想いを届けられるライブを構想しています。ここでも告知しますので、是非遊びに来てください!

アルバムの顔としての佇まい

このnote、今気付いたのですが既に9,000字を超えている(笑)でも、まだ本当は書きたいことが沢山ある。アルバムを代表する曲だと思って作っていますから、当然なのかもしれませんね。

妥協という妥協を一切排除して、当初の予定を大幅に超えた時間、とんでもなく豪華なメンバーで作り上げたこの曲は、間違いなく今後も僕の歴史を語り継ぐ楽曲にできたと思いますし、自分たちにとってものすごく価値ある作品にできました。

宇宙や自然への畏敬の念を込めたアルバム「VOYAGER」において、最もエモーショナルでポップな世界観を築き上げられたのは、海を渡り沢山の仲間が心一つにしてこの曲に向き合い、「今、地球を思うとこういうサウンドになるよね」というメッセージを込めたから。

まさに今の僕らのチーム力を感じることができたし、このチームで改めて、また一緒に音楽ができたらいいな。そんな強い気持ちにさせてくれました。


Waterfall、世界中のたくさんの人たちと熱狂したいです。海をこえて轟きますように!気に入ってくれた方、是非メッセージを添えてシェアを!Twitterアカウントをお持ちの形は是非下記のツイートをコメント付きRTしてもらえれば。僕もリアクションしやすいです!

IGTVでもご覧いただけます。


よろしければサポートをお願いいたします。サポートいただけましたら機材投資、音源制作に回させていただき、更に良い音楽を届けられるよう遣わせていただきます。