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音楽家のためのブランド・情報資産論

9月。毎月リリースすると決めて発表してきた新作、今月も出します。昨日はその曲のマスタリング。次の楽曲は9月20日(金)にリリースします。いいのができました。

年末に向けて、ペースを上げていこうと思っています。今月はクライアントワークと作品制作と、そしてスピーチや来るライブへの準備などの仕込みが一気に押し寄せるハードな月。だからこそ、一つ一つの工程を丁寧に、しっかり考え抜いて進めていきたいものです。

さて、僕の仕事(と言うか音楽を作ること自体が趣味みたいなものなので遊びなのかもしれないけれど)は、去年を境にクライアントワーク・セルフワークのどちらが優先的なのか、もはや分からないところにまで来ています。

一つ言えるのは、どちらにせよ僕のお客さんは聴いてくださる全ての方だと思っていて、そこに企業の担当者の方、日々の生活の中で僕の作品を聴いてくださるリスナーの方、どんな側面であれど人であることは同じだと思う。

音楽作品に込めた想いは、僕はあんまり語りたくない性格。けれど、音楽活動する上で意識していることや、音楽に限らずこれからの社会で生きていく上で普遍的に必要だと思えることは、積極的に文章として残していきたいと思っています。今回はその根幹ともいうべき、僕が自身のブランドを打ち立てていくことに必要なことをまとめてみようと思います。


喩えるなら、履歴書

僕は、いわゆるエントリーシートや履歴書とはよくできたものだといつも思います。世の中の人の情報は、極端な話、全て履歴書にまとめて適切な機会(メディア、場所)に披露することで必ず効果を発揮すると思っています。

就職活動やアルバイトの面接をする際に見たことがある履歴書といえば

・名前
・生年月日、学歴や職務経歴、住所などの個人情報
・志望動機
・自身の強みなどをまとめた自己PR
・これまで頑張ったこと、苦労したこと

が定番だと思います。何でもかんでもフォーマット化するのは好きではないですが、これに関しては与えられた枠をそれぞれのアイデアで埋めさえすれば、とても合理的な自己紹介シートを作れると感じています。

世間全土に、特にインターネットを情報収集の中心と考えてコミュニケーションの設計を行う際、僕は上記の情報をいかに的確に、適切なコミュニケーションで行うか、ということを日々考えて仕事に臨んでいます。(もちろん、自分自身に課題が多すぎるので偉そうなことは言えませんが。)


履歴書を書く上で最も重要なのは、実際に面接に進んだ際に自分がいかに自分のストーリーを雄弁かつ失礼なく、丁寧に語りやすいかという構造を作れるかどうかだと僕は考えています。実はアーティストや人のブランディングも同じで、情報整理の目的は実際に表舞台に立った際にその人のことを最も輝かせる状態をいかに作れるか、が重要だと感じます。

僕は商品の状態を実際より必要以上に誇張して訴求するスタイルは好みではありません。演出領域を大きく逸脱したことを伝えようとするだけで、敏感で本質的な人にはその精神衛生状態やブランドへの自信のなさが伝わります。なので、なるべく勇気を出して、事実以上のことは伝えない、という姿勢を意識しています。(不要なことを伝えない、というのもまた然り。)

こと音楽家という側面でブランドストーリーを世の中に発信していく上で必要なことをまとめると、

①ブランド自体のパワーある歴史背景(事実や体験、記録)
②センス・品のいい、定量定性情報を交えた言語化
③役割を的確に理解した露出場所と構造美

が不可欠だと思います。これらが綿密に機能して、初めて意味ある意思伝達と訴求が叶うものだと僕は感じています。


音楽家のKPIは、いかに曲を聴いてもらうか。

僕はそう思っています。昨品を聴きたくなること、作品を聴いてブランド価値を納得してもらえることが音楽家にとってゴールだと思っています。

これが普遍だとしたら、世界標準的な現代のゴールはサブスクでいかに音楽を聴いてもらうか、あるいはウェブ上にある作品にいかにスムーズに遷移してもらうかだと思っているので、今回はウェブを起点とした情報設計を考えてみようと思います。

BGMにぜひ僕の曲をどうぞ。最近プレイリストを作りました。

プレイリストのフォローも忘れずにお願いします!


そうです。僕の全てのコミュニケーションの目的は曲を聴いてもらうことです。そのため以外に、必要以上に自己主張する気は今の所ありません。なので、とにかく聴いてもらうチャンスがある場に、自分の音楽作品への直リンクを貼る、というのが一番やりたいことです。

同じように、僕のCM音楽制作仕事に興味がある方に向けても、きちんと情報を届けなければいけません。なので、僕はこういうウェブサイトを用意しています。僕の名前で一発で一番上に出るのでSEO対策も問題なしかと。

Spotifyを使っていない方は、ウェブサイトに飛んでいただけると僕がどんな仕事でどんな曲を書いているのか一望できる上、僕がリリースした全ての曲を皆さんお好みの配信サービスで聴けるリンクを貼ってあります。


ウェブサイトの情報掲出優先順位

昨年のアルバムリリース前までは、僕の主業務はCM音楽制作でした。つまりウェブサイトの役割は完全にBtoB(企業向け)で仕事をいただくための情報整理論で作っており、どんな仕事をしてきたかを都度戦略立てて掲出順なども考えて載せていました。

一方現在のウェブサイトのトップには、9/19(木)にあるSOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2019の告知です。

これをトップに持ってきているのは、BtoBにもBtoCにも僕のことを音楽家・文化人として認識してもらいたいという意図があります。

裏方として誰かの音楽や映像作品向けの音を作っている人ではなく、あくまで僕自身にメッセージがあり、僕の作品ありきで仕事が成立する音楽家でいたい。その意志をはっきりと伝えるために、僕は自身の考えを表で話すことを決意しましたし、その根本にある想いは「Kotaro Saitoに興味を持ってもらい、音楽をより近い距離で聴いてもらいたい」という願いなのです。

続いて、僕が作ってきた音楽作品のサムネイルとリンクを。そしてその次に、直近で担当しているCM音楽の仕事実績をリンクで貼っています。

KOSEのハイエンドライン「DECORTE」の、グローバル向け新商品ブランドムービーの音楽を作っています。ビューティーの仕事はすごく好きで、このプロジェクトはかなり自由に音楽を作らせてもらえたのでお気に入りです。

続いて、ANAの旅割改め、ANA SUPER VALUEのTVCM。こちらも僕の作品でいう「Love Song」「Blue」あたりの空気をまとったバイオリンエレクトロポップトラックに仕上がり、楽しく作りました。なお、この2つの仕事の両曲とも、「Blue」を弾いている友田絢さんにお願いしました。「Blue」もぜひ聴いてください。


以上のように、掲載順一つとっても何をどう知ってもらいたいかを優先的に描いていくために必要なことだと思います。

なお、僕の過去作品、仕事群の下には英語のプロフィール、取材記事、インスタの写真たち、ライブ写真などもありますが、それらは作品で興味を持った方に深掘りしてもらいたい情報であったり、逆に取材記事やSNSから逆引きでウェブサイトに来訪される方が多いため、後ろに記載しています。


あと、僕の名前を漢字で入れるとwikiのリンクがトップにくるのですが、これは他の方がどんどん情報更新できるものなので、あまり僕からタッチはしないでいます。(更新しようと思えば更新できるのですが)結構wikiは見てもらえるようですが、曲への遷移がちょっと面倒なので、僕は直接飛べるサービスを優先的にリッチにしています。ですが、心ある詳しい方はぜひ、僕のwikiを更新してください 笑


ストーリーが見える、営業資料、取材記事、note

僕が自分のことを世の中に知ってもらう方法として、主に3つの軸があるとすればこの3つです。どれも役割を変えて、僕のことをいかに正しく興味を持ってもらうかを意識して臨むようにしています。


営業資料
何が得意かを明確にして、その説得力を増すための実績掲載を。

本舗初公開!僕の5年間を経済的にかなり支えてくれている、プロモーションシートを一部お見せします。クライアントパートや他のアーティストの方の楽曲制作パートは、僕の一存ではお見せできないので全て割愛させていただきます。

この資料を最初に作った時、僕は博報堂時代のとある先輩クリエイターの方にご教示をいただきました。その時と今とでは僕を取り巻く状況は大きく変化していますが、あの時先輩からアドバイス頂いた

①1ページ目で何が得意なのか、何が強みかを簡潔にまとめる。
②2ページ目以降で、見せたい実績を整然とまとめる。
③クライアントバリューと自身の得意な作風をバランスよく混ぜる。
④自身のオリジナル作品も必ず載せる。それを見たい制作者もいる。

という内容を、今もとても大切にして資料を作っています。

モデルや役者の方々のオーディションシートや、就職活動をしている方のエントリーシートにも同様のことが言えますが、簡潔にまとまっていないもの、資料そのものが美しくないもの、文章が読みにくいものは資料としてその人の印象を著しくマイナスします。興味を持ってもらえる資料作りはプロデュース・プロモーションする上で非常に重要な要素と言えるでしょう。

なお、僕は営業資料にはボディコピーとして実際の数的実績も記載するようにしています。宣伝担当者の方が上申する際に説得材料として数字を必要とすることを広告代理店時代に見てきたので、嫌味にならない表現を目指して入れています。ちなみにウェブサイトや資料がなぜ白黒の帯を基調にしているかというと、僕が鍵盤弾き(白鍵と黒鍵)だからです。なんとなく、そんなところも想起してもらえれば幸いです。


取材記事
自分を雄弁に語って許される場で、自分の想いを的確に伝える。

僕が気に入っている取材記事の一つがこれです。僕のことをかなり深掘りして取材してくださり、バイラルチャートで1位を頂いてすぐの頃の自分のメンタルをかなり的確に書いていただきました。

取材という形式の一番の魅力は、第三者の方(主にライター、編集の方々)が質問をしてくださり、それに回答していくことです。これによって、質問そのものに編集サイドの作為が入るため、(良くも悪くも)僕が何を語りたがろうと、先方の編集意図に沿ってストーリーは構成されていきます。

先方が書いたことが僕の話した内容と異なる場合を除き、基本は相手が書きたいことを書くのが記事だと思い異論を唱えたことはありません。編集の方も基本的には僕に興味を持って取材に来てくださるため、これまでは良心的な方々ばかりでした。

取材対象者の心の内側を引き出すことと、それらを正しい情報で、かつより魅力的に紹介するのが編集者の方の腕の見せ所。一方、取材をしてもらう我々も、「相手はなぜこの質問をしているのか」をしっかり汲み取った上でコミュニケーションを進めていくことで、自分がありのままの状態で、かつ相手が聞きたいことが次々と引き出せる状況を作っていくことができると考えます。

取材記事が持つ効果は主に2つの相対する側面があり、

①認知拡大=メディアリーチによるもの
②理解促進=接触時の興味喚起やファン化の実現

どちらも別々のフェーズで大きな役割を担います。

Spotifyにて、個人でプレイリストピッチしていくプロセスは概ね理解し、次の策を投じる時期に差し掛かった今、今後多くのメディアの方々とより深い関係を築ければと思います。取材やセミナーに対するご相談はとても柔軟にお引き受けしていますので、気になった方は是非ご気軽にウェブサイトの問い合わせ欄からご連絡ください。


note
コンテンツ制作スキルを活かしたセルフストーリーテリング

マイペースに書いてきたこちらのnoteも、気づいたらフォロワー数が3,500人を突破していました。皆さん、本当に有難うございます!僕にとって、noteは自分自身で整理整頓して発信できるコンテキスト(文脈)の総本山的な役割を担っています。他のどこよりも、noteに書いてあることが、緻密で正確なKotaro Saitoの声明文と思っていただいて間違いありません。


以前も書きましたが、noteは他の皆さん含め、自身のやりたいことや作品そのもの、個性を好きに書いて歓迎されるプラットフォームです。それを価値だと編集部の皆さんも捉えてくださるから、僕は「今一番日本でドヤッて許されるメディア」だと思っています。

一方でもちろん、ただの自慢なんて多くの方は見たくない。発見を装って自慢されても、僕も腹が立ちます 笑 なので、読者である皆さんに伝えたいメッセージがあるとき、ノウハウを共有することが相手にも自分にも意味があると感じた時だけ、僕はnoteを書くようにしています。

noteは編集者が介在するという点でSpotifyと似ています。なので、興味を持ってもらえた記事は僕のフォロワーの方以外にも、全方位ウェブメディアに転載していただくことができます。時にこんな企画に入賞することも。

僕のはこれ。

そんなつもりまったくなかったし、書いてからちょうど良さげなタグがあったからつけただけだったのですが、思わぬところで評価されました 笑

もちろん、入選前後にたくさんの方に読んでいただけたことは言うまでもありません。完全に僕の手を離れ、noteの編集部の皆さん、日経の皆さんのお力で広がっていきました。自分が大切に思う情報を、自分以外の人が積極的に広めてくださることは素直に嬉しいです。

note編集部の方にお目にかかったことはありませんが、どうやら僕のことは認識いただいているとのこと、風の噂で耳にしました。今後どこかでお会いするかもしれませんが、僕は基本的に文章を書いている人格と実際に会った人格はそんなに変わらないと思います。そういう意味でも、noteはとても自分の思っていることを書きやすい場。他の皆さんにも是非、書くことをお勧めします。僕は結構仲間にnoteを勧めています。


プロモ軸のPRと、ブランド全体のためのマーケ

僕はまだギリギリ、自分の手を離れない範囲はいわゆる広告を活用したプロモーションは考えておらず、PRを主軸に力を入れていこうと思っています。

そうなった際に必要になるのもまた、「コンテンツとして強いコンテキスト」だと僕は思います。横文字だらけを言い換えるとつまり、「媒体側の方々が興味を持ちうる自分でいること」です。


最初に掲げた履歴書の喩えを改めて思い出してみます。

・名前
・生年月日、学歴や職務経歴、住所などの個人情報
・志望動機
・自身の強みなどをまとめた自己PR
・これまで頑張ったこと、苦労したこと

これらはつまり、

①ブランド自体のパワーある歴史背景(事実や体験、記録)
=取材記事やnote、ウェブサイトや配信サービス

②センス・品のいい、定量定性情報を交えた言語化
=営業資料、ウェブサイト

③役割を的確に理解した露出場所と構造美
=取材記事、SNS、それらが一直線に配信場所に向かえる経路

と言い換えられ、ここまで書いてきたものたちがリンクします。


マーケティングやブランディングのことを、ついつい認知獲得や理解促進のためだけに多用しようとする方を多く見かけます。それは僕にとっては誤りで、本質は新たな作品創出に至るまでのキャッシュフローの確保、世の中で知られている音楽家像と自身が目指す像の接着と融合、そして相互に進化し続けていくことが目的です。

アーティストとファンが一体となってブランドが育っていくのが理想。だからこそ、音楽家として対外的なイメージが芽吹き、これから育ち始める兆しを強く感じている今、このような記事を執筆し、自分のスタンスや考え方を明確にしました。

僕にとっては、音楽を聴いてもらうことが最大優先事項であると同時に、僕が音楽を作り続けていくことが音楽の世界を大きく跳躍し、アートやカルチャー、リラクゼーションなどライフスタイル全般に浸透することを強く望みます。リスナーとして僕の音楽を日々の生活の彩として聴いてくださる方がもちろん一番大事で、そんなリスナーの皆さんが僕と一緒にカルチャーを作っていく仲間になってくださったら、もっと音楽が楽しくなるから。


プロデューサーとアーティスト、どちらがやりたいんだ?とおっしゃる方がいらっしゃいますが、僕はKotaro Saitoと言うブランド全体で自身を考えています。アーティストらしくがっつりライブする機会も、そう遠くない未来に用意できると思います。パフォーマンスや楽曲、僕自身の存在が皆さんに溶け込み、一緒に考え、"New Rules"をアップデートできたら嬉しいです。

9/19(木)17:00〜渋谷ヒカリエで会いましょう。


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