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「音」で認知機能改善?!〜ソルフェジオ周波数が癒される仕組み

音声で聞く方はこちら。

こんにちは。
音楽家のこうたろうです。

誰でも通ると言われているアルツハイマー型の認知症。
現在有力な説として暫定的に進められている説がアミロイドβ蓄積説。

アミロイドβ(ベータ)というタンパク質が脳に蓄積することで
神経の変性が進む説。

筆者は在宅介護で長い期間重度の認知症だった祖母を介護してきました。

そのため、認知症に関する情報は今でもアンテナを張っています。

2025年〜5人に1人

2025年には5人に1人が何らかの認知症に罹患すると推計されています。

大きく分けると

  • アルツハイマー型

  • 血管性

  • レビー小体型

  • 前頭側頭型

がありますが、そのうち67.6%がアルツハイマー型であるとも推計されています。

バイオレゾナンス・メソッド

日本語では生態共鳴法と訳されます。
自然療法に興味のある方は『音で認知機能の改善』というタイトルで思い浮かんだ方もいらっしゃるかもしれません。

ドイツの波動療法と呼ばれる分野はかなり研究が進められており
様々な書籍も出版されています。
今回はこの記事の核となる部分ではないですが
参考までにドイツの生態共鳴法も少しシェア。

音響→脳波→脳→脳がつくりだす現実

音響というのは
侮れない存在であるということは音楽家として確信を持っています。

音で改善する研究とは?

今回見つけたのが脳波を刺激するアプローチ。

脳波にはタイプがあります。

  • γ波は30hz以上

  • β波は14〜30hz

  • α波は8〜13hz

となっています。

ソルフェジオ周波数が癒される仕組み

ヒーリング音楽等でよく見かけるソルフェジオ周波数。
これはこの3種類の脳波の周波数の倍音、または倍音から派生する周波数帯域になっており、共鳴する(であろうという仮説)という論理のもと人気のコンテンツとなっているわけです。

筆者が制作している432hzもソルフェジオ周波数の中の一つ。
こちらのピアノ音源は432hzで調整され、倍音が一定数以上に広がらないように特殊加工されています。

γ波が認知機能に影響仮説

米マサチューセッツ工科大学(MIT)のツァイ博士は
これまでも五感刺激による認知症予防の論文を数多く発表してきました。
2019年にはマウスを使った研究で
40Hz周期の断続音を聞かせると
マウスの脳内に「ガンマ(γ)波」が発生させ
マウスの脳内でアミロイドβが減少したことを確認しました。
目的地に向かったり、戻ったりする時に機能すると言われる
「空間記憶」が改善されたことが分かりました。

調べてみると、これまでの研究では40hz周期の断続音を聞かせるとガンマ派が発生するということまではわかっていましたが、アミロイドβが減少することが確認できたのははじめてであるということです。

現在西洋医学的なアプローチでもアルツハイマー型の認知症はアミロイドβ仮説が有力であり、バイオジェンのアデュカヌマブもアミロイドβを減少させるアプローチですし、他にもイーライリリーやアッビーなどもフェーズ1以上のプロジェクトを抱えていますが、アミロイドβ仮説が軸になっています。
(注意:情報の精査とアップデートが必要)

人での検証

研究チームは引き続き2022年にヒトでの試験も実施。

対象者は

  • 健常者の若年層

  • 高齢層

  • 軽度のアルツハイマー型認知症患者

臨床試験では40Hzの断続音と断続光を同時に与えたところγ波が発生することを報告しています。
大事な点として
ここではまだアミロイドβの減少までは観測されていません。

また、大学発のベンチャー企業である「ピクシーダストテクノロジーズ」が塩野義製薬と共同で行った研究では
40hz周期の断続音でなくても、「変調」を施した音源で脳内にγ波を引き起こすことを実証しています。

塩野義製薬の三春洋介・ヘルスケア戦略本部長は「音は暮らしの中に溶け込んでいる。
意識することなく、認知機能改善などへ希望が見いだせる」と言い、ピクシー社の村上泰一郎・代表取締役COOは「『音で認知症に挑め』を目標に掲げた。
認知症という治療の決定打が出ていない領域で、ここをスタートに社会実装に向けて頑張りたい」と語る。

時事メディカル

音響的な視点で考察

前回の記事でも紹介したなぜ自然界の音は癒されるのか?
という点について、こういう研究が背景にあると非常に論理的に理解しやすいのではないでしょうか。

ドイツで研究が進められている波動療法はより広範囲での自然療法ですが
認知機能の改善に音の力が助けになるという可能性は
一人の音楽家としても嬉しい限り。

先述の各種脳波の倍音を軸に
世の中の音に対して考えたとき
主に3種類の現象が想像できます。

  • 同調

  • 共鳴

  • 打ち消し

音は常に波になっていますので
交差することで共鳴し
ずらして当てることで同調し
対にすることで打ち消し合います。
音楽に携わっている方であればご存知だと思いますが
逆位相変換などは波形を打ち消すための技術ですよね。

当然、脳波に共鳴する『+』の効果が見込める周波数はありますし
脳波の倍音を打ち消してしまう周波数だってあるはず。

音の快と不快の真相はまさにここであると、仮説を立てています。

音を選ぶ権利

前回の静寂性の記事でもお届けしましたが
現代人はあまりにも多くの騒音にさらされて生きています。

また、私たちが日常ありとあらゆる場所で耳にする音楽は
ほとんどすべてが440hzで調整されています。

440hzで音楽をやりましょう!
と世界標準になったのは、1939年。
日本で一般的に440hzが標準になったのは1948年であり
まだ100年も経っていないんですね。

国際基準として決まるまではどこの地域でもバラバラ。
みんな心地よい音、心地よい音楽を楽しんでいたんです。

・フランス・ヴェルサイユ宮殿の基準ピッチは392Hz。
・1813年にはイギリスで管弦楽においてA=412Hzが採用。
・1859年にはA=452Hzに引き上げ。
・1839年にドイツのシュツットガルトでA=440Hzを採用。
・1858年にフランス政府はオペラの場合はA=448Hzを採用。
・1859年にはパリにて当時の音楽家たちの会議でA=435Hzが採用。
・1887年にイタリア政府がA=435Hzを採用。
・1939年に440HzがThe New Philharmonic Pitchとして国際標準としてロンドンの会議で決定。

この1939年以降ずっと固定されているのは当然訳があります。

大量生産大量消費社会で周波数も固定

先述の世界中の様々な地域で楽しまれていた時代は
楽器は基本的にすべて手作り。
もちろん今でも手作りのものはたくさんありますが
440hzが基準になると制定された時代からはすでに大量生産大量消費社会に突入していました。

音楽家がみんな440hzで演奏するようになったものだから
その調整で一番響くように楽器を製造しなければいけない。

例えばピアノ一つとっても、生のピアノ楽器では432hzで調整するために弦そのものを張り替えなければいけません。
弦を張り替えるということは当然ボディ(楽器本体)の設計も変える必要があります。
反射板やハンマーの厚みも変えなければいけない。
つまり全部の設計を見直す必要があるわけです。

ピアノ製造だって
大量生産時代
設計を変えたりはできないわけです。

筆者が1907年製のフランスのピアノをコンサートで使った時は440hzで調整するのに大変苦労しました。
すぐに下がってきちゃうわけです。

ギターやその他の楽器類も1939年以降に製造された楽器は基本的に440hzで最も高いポテンシャルを発揮できるように設計されています。

一方でそれ以前に製造された楽器やジャンルに関して
例えば古楽などでは今でも415hzだったり
日本の古楽器などでも430hzで調整されたりしています。

そういうわけで
現代において440hz以下のチューニングで演奏を聴けるという機会は
極端に少なくなっている訳です。

音楽家としてできること

  • 脳波が人のウェルビーイングにとても重要であることがわかった。

  • 脳波には種類があり、それぞれ人に大きな影響を与えている。

  • 特定の周波数と共鳴することで各種脳波を発生させることができる。

この3点を意識し、音響の快と不快に対しての情報収集をし
快の音響をしっかりと定義していく。

そして、ここからが音楽家にしかできないこと。
その快の音響を使って、快の和音を構成する。

快の音楽(感情)をそこに乗せる。

音、ではなく、音楽と感情を芸術家としてしっかり研究する。

そんな地道な作業が未来の誰かのQOL改善に繋がるのではないか。
誰かの未来のQOLの改善に少しでも繋がれば
音楽家としてこれほど嬉しいことはありません。