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『私は、あなたの言っている意味がわかりません』は要注意!

西洋のパスタの茹で時間は〇〇g、水○リットル、塩分濃度○%。
しかし、日本のお米の炊飯方法は、はじめちょろちょろなかぱっぱ。

在宅介護を続けていると、お世話になっている各種事業所やケアマネージャーさんとの関わりというのは非常に大切で重要なものになってきます。

こんにちはこうたろうです。
要介護5と要介護3の祖父母の介護を6年、祖母を看取って現在は祖父だけ、在宅介護歴7年目に突入しました。

逆にこれらの事業所やケアマネさんとの関わりなくして在宅介護を続けるのは不可能に近いですし、はじめて介護をする方は一人では『できない』と確信を持っておいてください。

そんな事業所との関わりで行き詰まることがたくさんあり、何せ筆者の場合は社会人経験がなく、音楽というある種非社会的ともいえる業界で生きてきたわけでケアマネさんやベテラン訪問看護師の方から社会的な人付き合いについてたくさん学ばせていただいています。

みんなで会議

こうたろうがまたやばいことなってる・・・ってなわけで、ケアマネさん、ベテラン看護師が自宅に訪問、会議が開かれます。
これは結構特殊なケースなのかもしれませんし、実際特殊だそうです。

というのも本来なら介護サービスというのはサービス業であり、一般的にはお世話になっている側の私たちが、お客さん。
ケアマネ側も介護業界の側も私たちをお客さん扱いしなければいけないんだそう。

なので、付き合いの浅かった5年前や6年前だったらこういう会議は当然開いてもらえてなかったですし、今だから言えるというシリーズで、5、6年前はいろいろと筆者に対しても我慢していたんだそうです。

こういうのを言ってもらえる、言い合えるというのは相当な信頼関係が構築されていると言えますし、本当にありがたいこと。
本当にありがたいと筆者が想うことをわかってもらえているということです。

ちょっと何言ってるかわからない

今回の会議は、筆者の事業所に対する質問方法や、やり取りの中でのこと。

筆者としては普通に質問しているつもりでも、毎回相手は固まる。
返答がこなくなり、もしもし。。。状態に。
が頻繁に発生する事態になっていました。
当然それは介護中の祖父の体調が変わりつつある変動期で、飲み物にとろみ剤が必須になったり、Spo2のコントロールが変わったりと変化に対するやり取りの中での質疑応答シーンです。

デイサービスのスタッフさん複数の方が筆者の質問を受けると固まる・・・という同じ現象になってしまうというわけで、ケアマネさんなどに相談していると、どうやら筆者の質問方法や言い回しに問題があるみたい。
(もちろん先述のように通常はそういうことを指摘してくれることはありません)

で、その言い回しの中の一つに、筆者がよく使う『私はあなたが、何を言っているのか理解できません。』というフレーズがあることがわかりました。

ちょっと西洋的?

海外在住の友人に聴いてみると、確かに日本ではあまり言わないかもしれないが、西洋人は使う、当たり前に使うとのこと。
確かに西洋的な言い回しなのかもしれません。

西洋気触れ?
そりゃまあ西洋音楽を学んできたのだから気触れて当たり前。

西洋と日本の音楽の違い

非常に伝えにくい点ではありますが、ちょっとだけ違いについてみて行きます。

西洋音楽の場合は非常に算数的であり、算数ができないと演奏や理解が進むことは難しい。

初心者に教える場合は、よくりんごを音符に置き換えて説明したりします。

西洋音楽ではりんご(音符)が4つ入るバスケット(小節)に5つ入ることは"絶対"にありません。
この例外が発生するとすべての規律が崩壊し、アンサンブル(人付き合い)そのものの概念が崩壊、すべてのバランスが崩れます。

ところが、日本の音楽の場合、バスケットに"曖昧な空気"を入れることができます。

はい。
入れることができるなんて、誰も言ってませんし、誰も教えてないです。
でも、入れることができるんです。

例えば龍笛には西洋の管楽器には必須スキルであるタンギングという手法はありません。

なぜないのか?

アインザッツ(りんごがバスケットに着地するタイミングをきっちり揃える)という概念がそもそも存在しないからです。

西洋音楽ではわずかりんご0.01個でもずれることは許されませんから、りんごがバスケットに着地するタイミングは打点としてあまりにも正確に捉える必要があります。

ちょっと専門的になると大変なのでこの辺で・・・

つまり、西洋文化(音楽)では、0か100か。
バスケットに入る答えは決まっています。
バスケットに予定外のりんごが入ったら、『ストップ!!!!!!!ちょー待てよ!なんでそうなるんだ!修正しろ!』と誰もがなるわけですね。
マーラーの5番で最初のトランペットソロでおたまじゃくしが多かったら全額返金です。

ところが日本文化(音楽)では、バスケットに予定外のりんごが入ったら『あー、なんかいつもと違うな、みんなどうするんやろ、あー琴の人も合わせてるな、じゃあそんな感じでいくか』
とみんななるわけですね。

日本的な言い回しに意識を向ける

つまり、ちょっと何言ってるかわかりません。
というフレーズは、私はあなたの言っている意味がわからないので、別の言い方やフレーズはありませんか?
私の理解力が至らないため、この問題を共に解決してくれないだろうか?
という意図になり、西洋文化(音楽)では、『OK!修正しよう、じゃあもっとわかりやすく(お前のようなバカでもわかる言い方でいってやるよベイベー)説明しよう!』てな具合になるわけです。

日本的な解釈を取ると、『そこは全部はわからなくてもなんとなくわかるでしょう?そのままぼんやりいきましょうや・・・みんなそうやって生きてるでしょう、そこをあえて聴いてくるということは周囲の輪を乱したいということかい?』

この部分の齟齬の繰り返しで相手が沈黙に陥るんだそう・・・(やっと話戻ってきた?)

なので、筆者が『あなたが何を言っているのか理解できません、つまりこれは何のお話で、あなたは私に何を伝えたいのですか?』という質問に対して、みんなで曖昧に構成してきたコミュニティーの輪を乱しやがって、、、、なんなんだこいつ。
となっているということ。

実際にケアマネさんなどが介入してくれた会議で介護職の方の話を聴いてみると、『ふと頭をよぎったことをぽろっと言ってしまっただけで話の意図や目的、ゴールなんかはわからずだった』とのこと。

このケースでの筆者の日本文化的な正しい対応は、『なるほど〜〜〜そうですよね〜』と共感し、『あんまり意味わかってないけど、まあいいのか?いいんだろうな、共感して絆を深めておこう。僕が意味分かってないことでなにか問題が起きた時にはその時にまた考えよう』という思考回路が大切である。

という長い学びでありました。

答えは複数あって然るべき

一神教の西洋文化は答えは常に一つ。
唯一絶対の正解がありますが、多神教の日本文化には唯一絶対の正解はありませんし、日常でもない場合が多い。

天照大神は実質多神教ジャパンのトップだけど、多神教だからトップとはいえないし、誰もがトップな意識をどこかに持ちつつも誰も言わない。

塩大さじ1、砂糖小さじ2、酢少々は日本人には理解できるが、当然西洋人が和食学びにきて理解できるはずがない。

  • パスタの茹で時間は

  • パスタ〇g

  • 水○リットル

  • 塩分濃度○%

  • 太さ〇mmの時、○分

一方で

  • お米の炊飯方法は、

  • 水、平手でおいて手首にくるくらい

  • 火加減はじめちょろちょろなかぱっぱ

  • 茹で時間、蒸気が出てきたらゆっくり止めろ

  • 醤油とか、塩とか出汁とか、お好みで

この適当で曖昧な文化をもっともっと日常に落とし込んで、相手に質問するときも、曖昧でいい部分は曖昧のまま、そして相手も曖昧なまま、全体がよくわからずに会話が進むことがあるということを学んだ気がします。

もちろん西洋医学を学んだドクターには西洋的な感覚で話をして大丈夫。

プロフィール
服部 洸太郎
音大を卒業後ピアニストとして活動。
自身のピアノトリオで活動後北欧スウェーデンにてシンガーアーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツへ渡りケルンにてAchim Tangと共に作品制作。
帰国後、金田式電流伝送DC録音の名手:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入りし、録音エンジニアとしての活動開始。
独立後、音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現在はKotaro Studioに統合)」を立ち上げ、タンゴやクラシックなどのアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、介護で使えるプログラムをM5Stackを使って自作。
株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにてアルゼンチンタンゴをはじめとした民族音楽に関する文化の研究、ピアノ音響、さらに432hz周波数を使った癒しのサウンドを研究中。
スタジオでは「誰かのためにただここに在る」をコンセプトに、誰がいつ訪れても安心感が得られる場所、サイトを模索中。