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2024年J1リーグ展望 FC東京編

新エンブレム、僕は好きです。

というわけで、今回はFC東京編です。
今年の展望を前にまずは近年の流れを見てみましょう。


2023年度の総括

監督

まずは近年の勝ち点推移です。

2018年から長谷川健太監督が就任。
体制2年目が最もリーグタイトルに近づいたシーズンでしたが、それ以降はゆるやかに成績が低下しています。
長谷川監督以降はアルベル監督、そして現在はクラモフスキー監督という流れです。
続いて監督別の成績を見てみましょう。

長谷川監督といえば堅牢な守備のイメージが強い指揮官です。
失点率の数字を見るとやはり全体的に好水準の成績ですね。
ただし得点力が毎年の課題です。2019年シーズン、得点率1.4で優勝争いに絡むのはかなりの勝負強さでしたが、残念ながらあと一歩届きませんでした。

その次のアルベル監督は成績的には平凡な数字のまま終わってしまいました。彼が目指したサッカーを総括するのは別の詳しい方にお任せするとして、その片鱗はボール保持率から見えてきます。

Sofascoreを参考に独自にデータを加工して作成

2019年ごろからリーグ全体でポゼッションサッカーのトレンドがあり、FC東京もその流れに乗ろうと新潟からアルベル監督を引き抜いての挑戦でした。
(ポゼッションサッカーのトレンドに関しては別の記事にまとめたのでよろしければどうぞ)

この挑戦は結論を言えば失敗に終わり、2023年シーズン途中でクラモフスキー監督が新たに就任します。成績は一つ前の表にある通り、アルベル時代よりわずかに上向きという内容でした。失点率の改善が大きいようです。
このクラモフスキー氏といえば、今はプレミアの指揮官となったポステコグルー氏の弟子であり、やはりポゼッション志向の強い指揮官です。
となると、いったい何が変わったのでしょうか。
FC東京の2023年シーズンは両者の監督の違いを比べれば何か見えてくるものがあるかもしれません。

あれこれ成績を見比べてみたところ、興味深い数字を発見しました。

対ハイプレス


FootballLABを参考に独自にデータを加工して作成

これは二人の指揮官がそれぞれどのチームから勝ち点を稼いだか、そしてその相手チームのハイプレスの指数を表にしたものです。
(ハイプレスの定義についてはデータ元であるFootballLABさんを確認してください、ここではざっくりと「上のチームほどハイプレスをする」という認識で大丈夫です)

赤線で囲んだチームは特にハイプレスを志向する6チームです。
表を見るとアルベル監督はハイプレスを苦手意識としていたことがわかります。2023年のFC東京はプレスに引っ掛けられてそのままシュートやゴールにつながったプレーが15回とリーグ2位の多さでした。(リーグ平均が10回)

ところがクラモフスキー監督就任後はハイプレスのチームから勝ち点を奪えているのがわかります。これは今年度のシーズンに向けてポジティブな情報です。
ちなみにボール保持率については両監督とも49%台と大きな変化はありませんでした。

このテーマをもう少し深掘りするために、ここで少し目線を変えて近年の選手動向を見てみましょう。

選手

FootballLABを参考に独自にデータを加工して作成

これは、それぞれの選手がシーズンをまたいでどれだけリーグ戦の出場時間を増減させたかを表にしたものです。
(※基本的に増減が500分以上の選手のみを抜粋)
(※オレンジ色の枠は、シーズン中を含めたその年の新加入選手)
(※紫色の枠は、前シーズン中を含めた退団選手)

アルベル監督時代の象徴と言えばやはり松木玖生でしょう。
高校サッカー界から鳴物入りで入団。あっという間にチームの中核選手に成長していきました。そのほかにもバングーナガンデ佳史扶俵積田晃太など若手選手の積極起用が目立ちます。そこから育成をメインとした長期的な強化プランを見ていると思われましたがフロントの思惑は違ったようです。一年半で無念の交代劇でした。
シーズン中にバトンを受けたクラモフスキー監督は実際に試合を見る限りそこまで大きく何かを変えた印象はありません。

それでも変更点を挙げるなら、一番大きなトピックは守護神の交代です。
野澤大志ブランドンは特別足元が上手いという印象はありませんがヤクブスウォヴィクがビルドアップを苦手としていただけにボールタッチ数などにに改善が見られます。
DF陣を見ると、右SBに白井康介よりもボールを大事にする長友佑都や小泉慶。左CBにボール回しがスムーズとなるよう左利きであるエンリケトレヴィザンを優先的に使っていた印象です。
クラモフスキー監督が今ある手札を使って、いかにハイプレスを回避して前線にボールを届けようとしたか試行錯誤している姿が見て取れます。

2023年のFC東京を総括するなら「スペイン流ポゼッションサッカーの頓挫とクラモフスキーによる問題点の洗い出し」となるでしょうか。

僕の見立てですが、昨年度のクラモフスキー監督は独自色を出すのを抑えて無難に残留を目指したのではないかと推測します。
彼にとっては今年こそが勝負の年でしょう。

続いて2024年の展望に移りたいと思います。

2024年度シーズンの展望


いかんせん他のチームが派手に補強していることもあって陰に隠れていますが、今年のFC東京もなかなかの大型補強でした。
名前だけ列挙していくと、
鹿島の次代のエース候補である荒木遼太郎、それから新潟のパスワークの中心だった高宇洋、札幌のスピードスター小柏剛、かつて代表まで登りつめた欧州帰りのウィンガー遠藤渓太、などが加入しています。

前年の仲川輝人に続いて遠藤を獲得したことで「クラモフスキー監督は2019年のマリノスを目指しているのでは?」という声が挙がっています。ハイラインハイプレスの強烈な攻撃サッカーです。試しに両者を並べてみましょう。

確かに左サイドがビルドアップの主役になれそうな点や前線にスピードスターを集めている点は似ているかもしれません。また、この年のマリノスは試合途中からエリキやマテウス、天野純を投入することで後半もハイプレスの手を緩めずに勝ち点を重ねて行きましたが、今年のFC東京も前からボールを刈りに行ける選手を手厚く揃えています。2019の再現、行けるかもしれません。

ただし注意点を挙げるのならば「そもそも2019年のマリノスが今年のJリーグで優勝できるのか」という問題です。
ハイラインハイプレスの戦術は年々対策が取られるようになり本家マリノスはその看板を降ろしかけています。また、走力が必要なサッカーは夏の暑さも大敵です。(この問題もまとめた記事があるので参考にどうぞ)

実際にクラモフスキー監督がどのような構想を立てているかはまだ不明ですが、J1リーグの戦術トレンドの変化にどれくらい対応しているのかも注目ポイントとなりそうです。

順位予想としては、前線に集めた選手たちが輝けば魅力的なサッカーになるだろうという期待を込めて上位進出(4位、5位あたり)とします。

以上となります。
最後にもう一つだけ、FC東京に関して面白い数字を見つけたので紹介しておきます。

2023年度シーズンのホームとアウェイのそれぞれの勝ち点率を表にしたものです。(カップ戦の結果もリーグ戦同様に勝ち点を換算して加えています)
ご覧のとおりFC東京は全チームの中でもっともホームとアウェイの成績差が大きいチームでした。FC東京はホームで強く、逆にアウェイゲームはリーグワースト2位という成績です。

今年度のJ1リーグはゼルビアとヴェルディ、東京のチームが新たに2チーム昇格してきます。
FC東京サポーターとしてはアウェイにも大勢駆けつけて、その場をホームの空気にする勢いでチームの後押しをしていきたいところですね。


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※記事内データ引用元サイト紹介

FootballLABさん

Sofascoreさん

https://www.sofascore.com/tournament/football/japan/j1-league/196



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