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移籍の痛さはどれくらい? 数字で見るJ1移籍市場

今回はちょっとした小ネタです。
僕のnoteは「Jリーグを数字で語ってみる」というのがテーマの一つなんですが、今回は移籍市場を数字にできないかと挑戦してみました。

よく選手の能力をSとかAとかのランク付けにして評価する方法をよく見ますが、今回はそうではなく選手のリーグ出場時間を使ってみるという試みです。

たとえば、前年度に全試合フル出場した選手が一人移籍したとしたら、クラブとしては約9%の流出率となるという計算です。
(※全34試合×90分(3060分)÷チーム全体の出場時間(33660分)で計算。アディショナルタイムは考えないものとする)
(※移籍については夏の海外移籍などシーズン途中の移籍も加える)

これを現在のJ1リーグ在籍チーム(昇格組を除く)について6シーズン分集計した結果が以下のようになりました。

FootballLABを参考に独自にデータを加工して作成

今オフのJ1リーグ(23/24の項目)でもっとも流出率が高かったのはコンサドーレ札幌(33%)低かったのはヴィッセル神戸(4%)という結果となりました。

川﨑フロンターレは例年であれば流出率の低いクラブ(平均18%)ですが、今オフは31%という高い流出率でした。サポーターにとって激動の移籍市場に感じられたのではないでしょうか。ただし上の表を見てみればわかるとおり、その激動は他クラブにとってはわりと日常であるということがわかっていただけると思います。

この6シーズンの中で最も流出量が大きかったのは、21年から22年にかけてのサガン鳥栖(63%)です。
移籍市場開幕時からレギュラークラスが次々と抜け、最後には契約更新したはずのエドゥアルドまで横浜Fマリノスに抜かれるという傷だらけのオフシーズンとなってしまいました。

全体的な傾向としてはクラブの予算が大きく影響していて、お金のあるクラブほど流出率は低く、貧乏クラブほどよく選手が抜けているようです。

流出率の高いサガン鳥栖(平均43%)湘南ベルマーレ(平均29%)はどちらも「走るサッカー」が特徴ですが、これは選手が定着しないために連携プレーを必要としない戦術を選択せざるを得ないという事情が関係しているのかもしれません。

サンフレッチェ広島(平均13%)FC東京(平均15%)の流出量が低いのは生え抜きのユース選手が多いことが関係していそうです。ただ最近は海外移籍もの機会も増えてきたため、ユース育ちでも安心できない時代がやって来ています。

そもそも流出量が低ければいいという問題でもなさそうです。
横浜Fマリノスは優勝した2019年と2022年、いずれも流出量の高かった年に優勝しています(36%と37%)。
大幅な選手変更は、相手に対策を取らせにくくするという利点もありそうです。

コンサドーレ札幌はここ6年間の平均でみると16%と想像していたよりも流出量が少ない印象です。
これは札幌の補強戦略が、他チームのベテラン選手独自ルートによる海外選手に絞っていたからかもしれません。(活躍したとしても年齢面かあるいは高年俸のため抜かれにくい)
ところが、札幌が安定してJ1リーグに留まれるようになると、有望な大卒新人が獲得できるようになってきます。すると彼らが成長した時に他クラブから目をつけられることになり今オフは流出量が上がる結果(33%)となってしまいました。
J1リーグにおいて補強戦略がいかに難しいか考えさせられる事例です。


いかがだったでしょうか。
移籍市場で受けた心の傷の痛みは人それぞれですが、流出量がたとえどんなに大きかったとしても、次の年には必ずエンブレムを胸にした11人がピッチに立つことは間違いありません。
開幕まであと少し。
クラブに残ってくれた選手と新戦力の活躍が今から待ち遠しいですね。


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※記事内データ引用元サイト紹介

FootballLABさん





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