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「食料は武器であり、標的は日本」

この言葉を聞いたことがありますか。食や食料問題に興味関心があり、いろいろな本を読んでいるなら目にしたことがあるかもしれません。
こう書いていますが、チェルノブイリ事故(1986年)で牛乳が飲めないと世間が大騒ぎしていた頃は、数学と麻雀にしか興味を持てない「わ」に濁点のつく若者でした。人は変わるし、変われるのです。


さて食についてですが、最近であれば「種子法廃止」で国会が紛糾しましたし、その前であれば「TPP」や「福島第一原発の大爆発での食品の放射能汚染問題」があります。つい先日(8/24)は、原子炉の大爆発で発生した福島第一原発の燃料デブリを直接冷やすのに使われた水、汚染が拡がらないようにタンクに貯蔵していた水、そのうちのアルプス(多核種除去設備)で処理した水(だが多核種は除去しきれてない)の海洋放出が始まりました。3年後、5年後、10年後の魚介類も、検査せず安心安全アピールのために、政治家たちはもりもり食べてくれるのでしょうか。(※1)


タイトルは

  鈴木 宣弘 著『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社+α 新書)

からの抜粋で、pp.78-79 に記されています。
※ 鈴木宣弘:元 農林水産官僚、東京大学大学院農学生命科学研究科教授
  詳しくは wikipedia をご覧ください。


食に興味関心があれば「種子法廃止」は只事でないと捉えていることと思います。でも一次情報である国会中継(録画)は見ずに、編集されたテレビや新聞などのマスメディア頼りが現実だと思います。残念ながら、政府の政策を否定するような意見・内容はほとんど流れないのが現状です。報道しない・されないことはいまに始まったことではありません。

そう言えるのは、大きな問題が起こってしばらくし、だいたい人々の記憶から消えた頃になると、その問題について書かれた本が出版されます。そういう本を読んだことのある人には理解してもらえると思います。時間が経てばその当時には知られていなかった事実が明らかになり、当時報道された内容と異なることが分かるからです。

日本の例だと先入観を持ってしまうので外国の事例を二つ挙げます:
①湾岸戦争と油まみれの水鳥
②クウェート侵攻とナイラ証言

「湾岸戦争」や「クウェート侵攻」なら中高生の歴史教科書で学ぶと思います。でも「油まみれの水鳥」「ナイラ証言」についてはどこまで書かれているのでしょうか。いまならネット検索すれば、当時の報道と事実の相違がかんたんに分かります。


今回取り上げている本の著者 鈴木宣弘氏は国会でも発言されているので、YouTubeで検索するとそれを聴くことができます。そのついでに、「アルプス処理水」について耳目をひく烏賀陽弘道氏の 動画 はお薦めです。原発事故以来ずっと現地取材し続けているので、事実に基づいた冷静で明快な解説です。


鈴木宣弘氏の『世界で最初に飢えるのは日本』のような本を初めて読むと刺戟が強すぎて、眉に唾つけるのが自然な反応のように思います。いやもっと読みたいというなら、鈴木氏の著書で深堀するのもいいし

   ナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン』(上下巻)

はお薦めです。3.11直後に翻訳出版され、上下巻で800ページを超えるのですが、驚きの連続なので苦にならずに読めると思います。この本を先に読んでいると『世界で最初~』は納得しやすいと思います。鈴木宣弘氏の本はわずか180ページなので通勤通学で読むのには手頃ですね。

動画は情報を得るには手っ取り早いですね。いまなら何度でも見返せますがじっくり考えるとなるとどうでしょうか。旧い体質だからか、数学しているからなのか、考えるとなると本が断然いいように思います。


さいごに、『世界で最初に飢えるのは日本』を手にしたきっかけは食・食料問題に興味があるだけでなく、現在日本が進んでいる方向が気になるからです。歴史を学ぶのは温故知新だけでなく、同じ過ちを犯さない、同じ轍を踏みそうなときどう対処するかを考える手助けになるからだと思います。単純に歴史がおもしろいのもあります。どう人々が生きてきたのかは興味の対象です。
でも現在の日本はどうでしょうか。国民の安心安全な暮らしより軍備増強に多額の税金を投入する方向にあります。インパール作戦すらも忘れてしまったかのようです。なぜアメリカやフランスは自国農業を守るのでしょうか。少し考えたら気づきそうなものですが、日本の現状はアメリカやフランスと逆行しています。輸入に頼れば問題ないような発言が飛び出す始末です。
本のタイトルが言わんとすることが見えませんか。実際に読むと日本で何が進行しているかよく分かり、最後には希望を与えています。▢



※1 トリチウムだけしか残存していないような宣伝がされていますが、トリチウム水とは言わず、処理水と言っているのは残存核種が他にもあることをかろうじて臭わせていますね。国際的に通用しないからでしょう。
食べて応援を大宣伝し、番組内でもりもり食べてたというアナウンサーのその後を知ったら、安心を見せかけたあの政治家たちは3年後には口にもしないでしょうね。野田佳彦 元総理大臣はたった一切れの刺身しか口にしませんでした、地元の漁師さんたちがすすめたにもかかわらずです。

いまならネットでいくらでも検索できます。自分で情報をあつめ、自分で判断し、他人の意見は参考程度で十分です。さらに現在は本も充実しているから、過去の似た出来事から現在を判断することもできますね。

アルキメデスのような最期も素敵ですけど、凡人には真似できません。▮

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