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相手は自分を映す鏡 〜介護施設での経験から

2022.10.26 stand.fmの配信より
summary fmを活用して。


本日のテーマは「相手は自分を映す鏡」
これは私がお年寄りの介護の施設に勤めていた時の話です。
施設の入居者の中には、すごく穏やかな認知症の方もいれば、すごく攻撃的になったり怒りっぽくなったりする方もいるんですね。それはその方がそうしたいっていうわけではなくて、そういう人格の変化とか怒りっぽくなるという場面は、認知症の症状として出てくることがあります。

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認知症のおばあちゃんとのコミュニケーション

私が仕事の中で出会った、とある認知症のおばあちゃん。すごく怒りっぽいタイプの認知症だったんですね。着替えひとつ、おむつ交換ひとつ、大きい声を出して拒むんです。何しようとしても人が近づいてくると大声で怒り出し、時には手が出てしまいます。
そして、これといった言葉がなかなか出てこない。それは脳の萎縮、小さくなって縮んでくるということもありますし、脳の表面の神経細胞がちょっとずつ死んでいく。それが認知症の症状になったりするので、言葉は"もじょもじょ"とは喋るんだけれども、言葉にならない。
専門的に言うと"感覚性の失語症"というような感じの喋り方でした。なかなか内容は伝わらないんですけど、表情と声の感じで、あ、怒ってんなーっていうのを察するっていう感じです。

なので介護もひと苦労なのですが、おばあちゃんなので力がそんなに強くないから、お着替えだったりお風呂だったり、そこは介護職員さんもプロなので何とか対応して下さっていました。ただ、非常に問題だったのが…入れ歯を外して洗うっていうのがすごく難しかったんです。お口の中をきれいにするっていうのは、健康のために非常に大切なこと。ただ、ヘタしたら指を噛まれたりするという危険もあったので、無理にはできない。どうしたものかなーと思いました⭐︎

ある時に、その認知症のおばあちゃんが鏡に向かって何か喋ってる姿を見たんですね。認知症の方々の中には、自分のコトだけど鏡に映った人を自分だと思わないで、他の人が向こうにいるって思うのか、鏡の向こうの人に向かって話をするっていう現象ってあるんです(鏡現象)。ただ、その時はすごく穏やかに鏡の前で喋ってるんですよ。だから、きっと鏡の前に行くことは嫌いじゃないんだなぁと思ったの。


表情と共感 人のふり見て我がふり直せ

で、鏡越しにではあったんですけど、私がニコニコ笑顔でその方に近づいていったら、その方がニコッて笑ったんですよ。で、「あ、笑ったー!」と思って。そこから鏡に向かって、例えば櫛を持ってもらって自分で髪をとかしたりとか、そういうことをやりながら徐々に距離を詰めていって。ニコニコしながら近づくと鏡越しじゃなくても、やがて向こうもニコニコしてくれるようになって。地道な地道な道のりでしたけど。
そこからなんとか、お口の周囲を触ることを許して頂けて。笑顔で話しかけると、笑顔が帰ってく
ることも増えてきました。

何が言いたいかっていうと、相手が「あ、困ったな」っていう顔をしてるとか、緊張してるとか、表情が相手に伝わるんですよね。認知症の方だと、より如実に伝わる気がしていて。

ただ、それは誰でも「この人、ちょっと表情が冴えないな」って思う時には、自分の表情もどうだろう?っていう風に振り返るということが大事です。相手に笑顔になってもらいたいなとか、緊張をほぐしてもらいたいなと思えば、こちらもそういう表情で接していかないと、相手の表情って緩まないんだなーっていうことをその時に感じたんですよね。
なので、初めまして!って言う時とか、緊張する!初めての人に出会う!とかっていう時にも、とりあえず笑顔を引き出したかったら自分も笑顔でいる。でも、相手が顔色が冴えないなーって言う時には、もしかしたら自分もそうなってるのかもっていうふうに思うようにしています。

まとめ
これは、あながち間違ってはいなさそうなので、相手は自分を映す鏡。相手が不安そうな時は自分もそうかもしれない。相手が悲しい時には一緒に悲しんであげる、寄り添ってあげる、悩みを聞いてあげる。そういうことも、時には必要な場合があるかと思います。
おそらく「ミラーニューロンと共感力」に関連があると思われます。今後深掘りを検討していきますね。

ちょっとまとまりがなかったですが、読んでいただいてありがとうございました。

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