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こんにちは。言語聴覚士の木山です。私が普段指導で使っているノウハウをお伝えするシリーズ。今回はおもしろ消しゴムの活用法です。

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このおもしろ消しゴムはダイソーの文房具コーナーで購入できます。トイザらスやオンラインストアでも購入できると思います。

写真は果物だけですが、動物、デザート、惣菜などいろいろ用意しています。このアイテムのよいところは、1歳くらいから年長さんまで、幅広く使えるということ、また特性の有無などにもよらず、子どもたちに大人気という点です。

特に自閉症児やグレーゾーンのお子さん対応をすることが多い私は、この消しゴムを初回面談時によく使っています。定型発達のお子さんと比べると遊び方に特徴が出やすいとも言われる自閉症児ですが、この消しゴムを渡してその遊び方を観察しています。そうしたお話もしていきます。

①動物さんもぐもぐ

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【用意するもの】おもしろ消しゴム、動物カードやミニチュア

【使い方】動物のカードやミニチュアをならべて、動物にごはんをあげていきます。もちろん声かけも大事。「パンダさん、もぐもぐ」「みかんをもぐもぐ」などの2語文から3語文の練習になります。

②すごろくのコマ

【使い方】音韻分解のトレーニングのために、よくすごろくをします。サイコロでなく、かるたの絵札を使用し、出た絵の文字の数だけ進むというものです。すごろくのコマといえば人型や動物を使うのが普通かもですが、たまに食べ物を出すと意外なほど面白がってくれます。

③買い物ごっこ(聴覚的把持課題)

【使い方】聴覚的把持課題(耳で聞いたことを覚えておく課題)として買い物ごっこを行います。「みかんとぶどうとさくらんぼをください」で3語把持ですね。食べ物だけでなく動物も惣菜も混ぜます。なお、余談ですが、聴覚的な情報だけでは困難が増すお子さんには「みかんとぶどうとさくらんぼをください」と言いながらひとつずつ指差すような視覚的手がかりを追加して訓練することもあります。

その他:自閉症児の評価

自閉症のお子さんは遊び方に特徴が出やすいです。

私はこの消しゴムを蓋つきのプラスティック容器(子どもでも開け閉めしやすいもの)に入れています。容器ごと子どもに渡すと、多くの子どもは一度にすべてぶちまけるか、容器からひとつずつ取り出していきます。ここまでは定型発達のお子さんも自閉症のお子さんもだいたい同じ。側でみているお母さんはたいてい、子どもがつまんだ食べ物の名前を都度教えてあげています。

自閉症のお子さんは、すべて取り出したあと、また容器にひとつずつ戻していくことが多いように思います。すべて容器に戻して蓋をしたら、また蓋をあけてひとつずつ取り出すーーーつまり、消しゴムを「出す・入れる」の繰り返し作業をしていることが多いです。なお、発語がある子どもは食べ物の名前を言いながらこれらの作業を行なっています。なかには食べるふりをしつつ「もぐもぐ」と言ってからしまうお子さんもいます。いずれにせよ共通することは「ずっと同じことを繰り返している」という点です。この特徴が出たとき「自閉的な傾向があるかもな」と心の中で評価しています。(お母さんに伝えるかどうかは状況によります)

定型発達のお子さんはもう少し遊びに幅があるような気がします。動物消しゴムや①のカードを一緒に与えた場合、自然と①の遊びをしはじめたり、こちらが「◯◯ちょうだい」と途中で口を挟んでも対応してくれたり、などです。また、こちらが提案した新しい遊び方をすぐに受け入れて真似するという行動もみられます。

これはあくまで一例であり、正確なアセスメントではありません。出したり入れたりしていたら自閉症なのか、というとそういうわけでもありません。ただ、普段の遊びの様子からもいろんな見たてができるという参考事例のひとつとして紹介させていただきました。誤解のないように取り入れていただければ幸いです。



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