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男性介護職員の希少性

ひとりになった。

先週いた男の子は、今週から違う教室に通うことになったらしい。

今日は介護福祉士実務者研修2回目の授業。ひとクラス18人で構成される教室は、ぼくひとりを除いてすべて女性になった。商業高校か大奥かハーレムか。この違和感に全く動じないぼくもいる。
この業界で3年も仕事をしていると、ぼくが男兄弟で姉も妹もいないことを差し引いても女性たちという縄張りに溶け込む男というように、存在感を消すことができるようになる。関係ないが隣の方は中国の方だ。

やわらかさも知っている。細やかさも知っている。ただ、逞しさもここぞという時の肝の座りもたくさん見てきた。女性の。

「ちょっとタバコ吸いたいよねぇ」同じ職場から来ているであろう、30手前であろう女性と美魔女年齢の女性が会話をしていた。「勉強なるよねぇ。ねぇ、きちんとヒヤリハット出した?」と、年下の女性が年上の女性にゴリゴリのタメ口でダメ出しにも聞こえる会話をしていた。おおおっ!と、ぼくは少し背筋を伸ばした。

今日の授業内容は、ある利用者さん(架空の人物)の介護計画を考えるという授業だった。病歴や家族構成、生活歴や身体機能から具体的なケアの内容を考え、書式にまとめる「介護過程」というカリキュラム。
各自で考えをまとめるのだが、授業の終盤にはグループワークがある。

鉄則として、

女性の話は遮らない。とくに女性の話は遮らない。女性しかいないこの状況で、ぼくが会話をしていい時間なんてないのだとまず心に誓うことから始まる。いつだって男性が求められる仕事は力仕事なのだと天に約束する。全てはそこから始まる。

現場が恋しい。まだあと数回授業がある。

ぼくよ、少しでもいいところを見せようなんて思うなよ。大人しーく座って、意見を求められた時だけ端的に喋ればいいのだ。そして、机の移動とイスの移動とかお前が率先してやるのだ。男性介護職員の希少性はそこで保たれているのだから。(なんか、逆に怒られそうだな。。まぁいいか。)

増えてくれ、男性介護職員。

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介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。