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素っ裸に文庫本とペンと紙。

働きたくない。

できれば一歩も外に出かけずに小説などを読んで、ネットサーフィンして夜にちょこっとだけ文章を書く生活がしたい。何でこんなにも働かなくてはいけないのか。

デイサービスに来ている利用者さんは働かなくていい。今まで積み立てた保険料を存分に利用しサービスを受けるだけでいい。にもかかわらず「洗濯物わたし干すから置いといて」と、家事や畑仕事、動物の世話などを要求してくるのである。
これほどまでに人間は「働く」ということの奴隷になっているのか。いや、暇つぶしの選択肢として、今まで多くの時間を費やし慣れ親しんできたことしか選べなくなってしまうのか。
人は習慣の生き物だと聞いたことがあるが、確かにギャンブルに手を染めている高齢者は家事をせずに麻雀をする。
ああ、そうかもしれない。
女性のことを考えてばかりいた人は、高齢者になってタガが外れて「俺のアレはもう使い物にならない」などの下ネタを連発するし、他人のことばかりに口を挟む人は「あの人なんなの?」言い知らないうちに他人を遠ざけてしまって孤立している。

ぼくは働きたくない。
どうやらぼくは、働かなくていいなら働かない人間のようだ。

というかなぜこんなに働かなくてはいけない世の中なのか。
デイサービスの利用者さんを見ていると、朝、体操をして風呂に入り、昼飯とおやつを食べて帰る。それだけのことしかしていないのに、楽しんで帰っていく人もいる。本来それだけで十分に充実した1日を過ごせるのに、やれ美味しんもん食べたいだの、いい洋服着たいだの、ドラマ観たい映画観たいゲームしたいお酒飲みたいだの。働かなくてはいけない理由を作っているのは己だと気づく。結局クソとションベンに変わり一瞬の娯楽は翌日には綺麗さっぱり脳内からは溶け出していくというのに。

デイサービスの仕事はぼくの中では娯楽に近い物事なのだろう。会話や気遣いをしていて苦痛に感じることもない。ギターを弾いたら喜ばれる。

素っ裸に文庫本とペンと紙。

ぼくは将来、そんなジジイになっているかもしれない。

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