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デイサービスのレクリエーションにいつも頭を悩ませる

みんながみんな、平等に楽しめるレクリエーションってあるのだろうか。

デイサービスや介護施設に来ている高齢者は、いろんな事情を抱えている。

膝が痛い腰が痛いなどの身体的なこと、老いや死の不安からくる精神的な不安定。認知症があったり麻痺があったり車椅子だったり寝て過ごしたり。

こんな多様な人間模様の最大公約数を探して、レクリエーションを考えなくてはいけない。
どうかそのことをわかってほしいと切に願うのは、介護職のおごりなのだろうか。はたまた実力のなさを晒しているだけなのだろうか。

ぼくはいつも頭を悩ませる。

しりとりや古今東西などはやり尽くされているし、風船バレーは身体能力の高い人たちでないと難しい。お手玉を投げるだけでは芸がないのか。都道府県しりとりは認知症の方は難しい。

簡単過ぎてもダメ、難し過ぎてもダメ。できれば体を動かすか脳を刺激することがいい。

だからぼくは、いつも頭を悩ませている。
とはいえ、時間がせまってきた。

「45リットルのゴミ袋に空気を入れて口をしばり、その膨らんだゴミ袋をテーブルの上に置き、ゴミ袋の上にお手玉を乗せる。両手でその膨らんだゴミ袋を勢いよく押しだし乗せているお手玉を前方に飛ばし、飛んだお手玉の飛距離や落下点に書いてある点数を競うゲーム」

を、した。

人はそのゲームを「風船バズーカ」と名付けた。

オリジナルのレクリエーションではなく、SNSで検索して真似させてもらった。本当に助かっている。

これは意外と盛り上がる。

身体能力のある方でも、お手玉がうまく前方に飛ばず後ろに飛んで行ったり、明後日の方向へ飛んで他の利用者さん当たりそうになるなど、それなりにハプニング要素もあって好評ではある。

大成功と思いきや、
認知症のある方がなかなかうまくいかない。

ゴミ袋を押し出すという動作が、
なかなか伝わらない。

小柄な女性、少しぷっくらしていて、
ずっとニコニコしている。笑顔が可愛くてみてるこちらがニヤニヤしてくる。長髪は丁寧に三つ編みされていて、ご家族の愛情が垣間見える。穏やかなのだが、認知症でコミュニケーションが行き違ってしまう。

テーブルの前までいく。
「このお手玉を、バンって押して飛ばしてね」
その方の隣で、職員が声かけをしながら動作をしてみせる。
動作をうまく理解できずに、
テーブル自体を押そうとする。「?」職員の顔を伺う。
「そこじゃなくて、ここをバンって」職員がまた優しく声かけするが、
「?」またテーブル自体を押そうとする。
次第に他の利用者さんがイライラし始める。
認知症のある方は認知症の方への理解ができない方が多い。
「よし!一緒にやろうか。わたしバンって押すからから一緒に押してね」
「せーの!」
バン。

ぴょんっ!

その認知症の方は、ぴょんっ!とその場で飛び跳ねた。


いや、ダチョウ倶楽部か!
上島竜兵かっ!

声に出していないツッコミだったが、
ぼくは、可愛くて面白くて。

ぼくはその方お手玉を、高得点のところへ投げておいた。

介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。