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本物のSTAY GOLD

こないだ京都へ行ってかかった費用を、元旦那に買ってもらった指輪を売りっぱらってチャラにした。
すごい。思い出が思い出に変わっていく。
嫌な思い出も、悲しい過去も、全部血となり肉となり、私の大切な「今」になれ。
アーメン。

すごくに気に入ってた指輪だった。
初めて相手の両親に会わせてもらった帰りに、酔っ払って気分良くなったのか、新宿の伊勢丹で買ってくれたものだ。「高すぎる」「何で俺が買わなきゃいけないの」「マーちゃん(マーガリン、私)も俺に同じようなの買ってよ〜」と言われたが、一生に一度くらい、私の欲しいって言ったもを買って欲しいと頼み込んだ。婚約指輪にしては安いけど「私が選んで、これが欲しい」と言ったもので、買ってもらえたのは、後にも先にもこの一品だけだった。

(基本的に全部、彼のセンスで彼の買いたいものが私にプレゼントされる方式になっていたから。それでも十分嬉しかったけど、一回くらい、自分の欲しいものをもらってみたかったんだ。ワガママを聞いてもらいたかったんだよ)

飾られた石は宇宙みたいにキラキラしたオパールで、月の砂みたいな白の中に、緑色に反射する光がとっても綺麗だった。
当時の私は嬉しくて、電車のつり革を持つたびキラキラさせて、手を洗うたびキラキラさせて、1日の中で何回も何回も眺めた。スマホを持つたび、タイピングするたびに、その石を見て笑顔になった。石がキラキラ光るたびに、たとえ今不安でもきっと全てが良くなるって信じたし、信じようと思えた。全ては悪い勘違いで、こんなの全部嘘だよって、わかる日が来ることを願った。
当然、そんなものは来なかったけど。
(まやかし〜〜〜)



石にはそうやって人の気を紛らわす効果があるので、世の中のクソな男性ほど、高くて美しい石を女性に贈るべきだと思う。「信用」は、少しだけ金で買えちゃうものなのだ。誤魔化したいことがある人ほど、警察への賄賂、口止め料として納めることをおすすめする。現に純粋で素直で心優しい私は、たった数万円の指輪で、何個もの彼の罪を見て見ぬ振りをした。金輪際、誰に対しても、一度たりとも、してやらないけど。

そして、売っても金になることも非常に価値がある。お前のせいで大嫌いになった京都も、お前のくれた指輪を売ったお金で 1人で行ったら大好きになれた。オパールの宝石言葉は「心変わり」。この指輪が今、こうして私の元を去ることに強い意味を感じる。

人生っておもしれー。
心からそう思う。


ちなみに、結婚指輪はまだちゃんと持っている。
正直デザインがめちゃくちゃ気に入っていたし、オーダーして半年しか付けていない幻の傑作なので、腹が立って捨てようかと思っていた時期もあったが、なんだかんだ言って心のやらけ〜〜部分がギッッッチギチに軋む音がして、そんな蛮行は出来なかった。

『有事の際こそ金』と人は言う。
そうだよね。まだしばらく大切にとっておこうと思う。

きっと、またいつか意味のあるタイミングで私の手元を離れるかもしれないし、
タイタニックのローズみたいに、おばあちゃんになってから、ふふふって、えい、ポイって、笑顔で思い出の場所に捨てる日が来るかもしれないや。

わかんないけど。

あーいうのを環境汚染だとかいうのは
『ロマンがないぜ』って、私は思う。

愛は、お金に換金できる部分もある。
全部じゃないけど。
換金率、かなり低いけど。

自分にとって、何が金ピカの純金なのかは、その時々みんな違うし、それでいいんだと思う。
私はその感情の全てを肯定したい。




買値が付いて、指輪をそっと箱にしまった。
もらった時と全く同じピンク色のリボンをかけた時、
うまく言えないけど、
とってもとっても不思議なんだけど、素直に、
うーん、愛してる!と思った。





こういう表現に「何を?」とかマジレスしちゃうのは、
『ロマンがないぜ』って、私は思う。

キラキラの婚約指輪は、今日、私の元を去っていくけど
もっとキラキラしたものが確かに、今の私の胸の中にある。

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