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「エルピス」観ている人はいないのっ?

だって!
朝ドラ「カーネーション」の脚本家、
渡辺あや氏による
民放初のドラマなんだよっ?!

どうしてっ?!

ねえ、どうして
「まだ観てない人」が存在するのっ?!
ンもうっ!そんなのつまんないっっ!!


――と、
大沸騰している私の頭の中では既に話題騒然
(どういう状態?笑)の
新ドラマ「エルピスー希望、あるいは災い-」である。


以前の「初恋の悪魔」話に続き
ここのところ、このnote上において
民放の連続ドラマ話が
(これまでに比べると)多い私であるが、
実はそんなに普段は観ていない。

前クールの坂元裕二作品と、
今回のこの渡辺あや作品は、
「特別枠」という感じではある。

――だから
「最近はそこまで
連ドラ大好き人間ってわけでも実はない私」
が、
それにもかかわらず、
そんな私から見ても、
まだ第一話を観終えた段階でしかないが、
それでも
このドラマは相当面白いと思うわけである。

――私がここまで推しているのだから、
そろそろあなたも、
初回の見逃し配信(無料)を見る気になってほしい。
(微弱すぎる私の影響力よ!笑)


第一話の再放送も
(一部地域で)されるようだ。

※ちなみに、第二回は
10月31日月曜22時から、
である。


「冤罪」がテーマということで
「難しそう」「重そう」と
先入観を持つ方もいるかもしれないが、
まったくそれはないと思う。
(やはり脚本と、あと演出も
そこのところも含めて
とてもよく練られているのだと思う。)

軽妙で小気味よい台詞のやりとり、
そしてテンポ感満載の展開。

でも、「厚み」はある。
「満足感」「見ごたえ」
と言い換えてもいい。

一言で言えば、
「丁寧に作られている作品」
だと思う。

「いや、そういうのいらない」
という方でも、
主演の長澤まさみがまた
とても良いので、
その「女優姿」を眺めるだけでも損はない。

「虚無」「無気力」「(アナウンサーという職業柄の)満面の作り笑顔」「困惑」
そして「激怒」と、
第一話の中で様々な表情を替わるがわる
「思い切り振り切って」見せているがそれでも、
そのどれもが「美しい」のがすごい。



このドラマの脚本家である
渡辺あや氏は、
実に寡作な人で、
(きっと執筆オファー自体は
たくさん来ているだろうに、)
その作品を見る機会は、
(意識的に追いかけていても)
少ないのであるが。

ここ5年程で私が観たものだと、
NHKドラマである
「今ここにある危機とぼくの好感度について」
「ワンダー・ウォール」、
あとは映画
「逆光」
となるが、
どれもハズレなし!
信頼の高品質、
いずれも最高の出来映えであった。
(ホント、もっと渡辺あや氏の脚本作品が見たい!!)

そんな渡辺あや氏の
この作品についてのインタビュー記事が
こちらです。

渡辺あや「実は佐野さん(プロデューサーの佐野亜裕美氏)がTBSで最初に企画を出したときは、案の定、却下されたんですよ。こんなにハレーションを起こす、つまり波風を立てるリスクの高い脚本はできない、と。(中略)そこで、8話くらいまでの脚本(当時)を先に書き上げて、佐野さんがいろんなところに掛け合ってくれたんです。ただ、それもことごとく断られてしまって。」

上記インタビュー記事から一部抜書

なっ、なぬぅ~?
ぅぅおーーーいッ!渡辺あやの脚本を?!
ホント、これだから最近のテレビ局って!
――しょーもなっ!!
(私の総力を結集してツッコミを入れております。笑)
もの作っている人間が「事なかれ無気力」だから、「フライデーボンボン」みたいなつまんないオール予定調和番組が多くなったんだよ!
(「フライデーボンボン」とは、ドラマを参照いただければ。――「そういう番組」がよく描けていると思います。笑)

そういえば脚本家の一色信幸氏も、こんなツイートをしていた。

引き続き渡辺あや氏のインタビューに戻るが。

「テレビ局の方とドラマの企画開発をしていても、どうやら表現にいろいろな規制がかかっていて、現場が萎縮しているようだ……そんな空気をヒシヒシと感じたんです。」

と、いうようなことを渡辺氏もおっしゃっている。

加えて、

(メディアについて)当時、政権与党の批判が言えなくなっている萎縮した空気を感じていました。昔は、総理大臣や政治家の悪口なんてみんな平気で言っていたし、新聞にもそういう風刺漫画が普通に載っていたじゃないですか。それがこの10年くらいで、誰も言わないというか言っちゃいけないような風潮になって、それがものすごく怖かったんです。

という、これは私も、テレビや新聞の報道を見ていて、この10年程でムズムズと感じていたことだ。(そのうちの一部の番組や新聞は除いて。)

「メディアとしての気骨」みたいなものがなく、「長い物には自ら進んで積極的に巻かれに行く」みたいな姿勢で。
――そこまでの「ニュースウォッチャー」でもない一視聴者としてですら、
「ん~?!このところのコレは一体何なのだ?何だかこれでは、自ら進んでどっかの独裁国の報道機関みたく成り下がろうとしているみたいではないか?……気味悪っ!!」
と感じていた。

しかし、今回は、このドラマ制作を決めた「カンテレ」の中に、インタビュー中の渡辺氏の言葉を借りれば『なんとかしなきゃいけないと危機感を抱いた人たち』がいたのかな、と。

この渡辺あや氏のインタビュー、まだまだ他にも興味深い記述もあるので、ぜひお読みいただけたら、と思います。
(あんまりたくさんの箇所を抜き出すのもよくないですしね。笑)

で、このインタビューも必読!
このドラマが制作されるまでの経緯が、とても面白いです!
プロデューサーの佐野亜裕美氏(「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」等々をプロデュース)の、人生掛けた作品といっても過言ではないのでは?これは!

佐野亜裕美「私はこの作品を絶対に成立させたいと思っていたところ、カンテレ(関西テレビ)が「これはやるべき作品だ」と背中を押してくれたのも、転職の大きなきっかけです。」

上記インタビュー記事から一部抜書


そして、それほど御存知ない方のために。
渡辺あや氏脚本ドラマって、こんな感じです。

・重要人物はもちろん、脇役に至るまで、人物描写に非常に長けている。だからどの役にもいつの間にか愛着が湧いてくる。

・随所にメッセージ性はあるが、説教のような押しつけがましさがない。なのに、説得力がある。

・シンプルに話が面白く引き込まれる。解りやすく疲れないが、見ごたえはしっかりある。深く観ても、軽く観ても、楽しめる。

・笑える部分も存分に盛り込みながら、ずしんと心に響く場面もあり、そのバランスが絶妙。

・すべてを、説明的ではなく、無理なく自然と流れるようにストーリーの中に組み込んで、視聴者にいつの間にかわからせている。

渡辺あや、毎度毎度、本当にすごいなあ、と思います。

今回の「エルピス」も、期待大です!


そうそう、ドラマのこのイメージビジュアル。

だそうです!




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