声を上げることすら知らない「ケアラー」問題<後編>

昨日に続きケアラーについて。

この問題について1番厄介なのが、家族の介護などを経験したことない人からの「そんなにしんどいなら福祉制度に任せたらいい」と言うご意見。
全振り出来るならとっくにやってるわ!
と叫び出したくなる時ですね。
出来ないから大変なのです。
うちは介護なので介護のケースで例を書きます。

寝たきりというほどにはまだまだ弱っていないし意思疎通もなんとか出来る。
でも、食事・着替え・排泄・入浴と、誰かが見守りしてなければ危ない、くらいに弱ってる。失語症患ってるので家族以外だと話してても時々わかりづらい。
自主的な家事や事務手続きは全く期待出来ない。

で、「外で働いて別々の時間を設けたら」と思いますよね?
家の外で仕事に精力傾けて頑張った後、急いで買い物して帰宅して待ってるのは排泄介助や、かなり体力のいる入浴介助。無理です。腰やられます(←ギックリ腰何度かやってる)
しかも深夜に起こされたり漏らしてて深夜に寝具洗ってコインランドリー走ったり、時には体調が急変して救急車呼んだり。
予定は未定。それがワンオペ同居介護。

更に、馬鹿にならないのが、介護費用。
手取りが15万行けばラッキーな奄美の経済で、就業中、週5から6日のデイケア・デイサービス利用、介護補助具利用、ヘルパーさんなどを依頼したらそれだけで7、8万円毎月かかる。更にそこにリハビリパンツやオムツなどの消耗品費用も。

それだけかかっても、ケアラーの将来のためには残らない。
ただただ、毎月お金と時間とがサラサラと砂つぶのように手のひらから落ちていくし、鏡の中に見るのはどんどん疲れて不機嫌な表情で老いていく自分の顔という(書いてるだけでも寒気します)

そういう状態で前回書いたような通り魔的「あなたがしっかりしないと」のクソバイスを頂いたら「おっしゃる通りですね」ってなれるんでしょうか。
お釈迦様並みに悟り開いてないと結構難しいですし、そこまで達観してたら新興宗教の教祖にでもなってあくどい儲け方をした方が良さそうです。

とはいえ「経済的不安」の要素がちょっとでも小さくなれば、だいぶ穏やかに、家族も介護可能にはなります。

だからと言って「金持ちから税をガンガン取ってその分を回せ!」などとまるでどこかの共産党のように言うつもりはないです。問答無用で強制的に収奪されることへの拒否感は、黒糖地獄でシマッチュがよく知っているはずです。

どうしても最初は行政の支援に頼らざるを得ないと思うのですが、介護者支援制度の一環として投資信託やNISAなどの低リスク金融商品を活用し、ケアラー自身の「世話したあと」の人生のための準備づくりをする、という方法はないものか?と考えます。

例えば、生活保護世帯で親の世話をしているヤングケアラー。
毎月の児童手当は、おそらく親の判断であっという間に日々の食事代か消耗品購入費用として消えていきます。
ひどい場合、片方の親は貯金しておきたくてももう片方の親が飲み代やパチンコに充てて消える、ということもあり得るのではないでしょうか。
その児童手当のうち一部分を毎月、支給前に天引きでNISAの積立金として充当する、といった制度(もちろん強制じゃなくて応じた世帯のみ)は出来ないものでしょうか。それで中学や高校卒業までに進学準備金が積立可能で、更にお金に関する知識もあればだいぶ道が開けると思いますし、それこそ「どんな子供にもチャレンジする機会を作る」ことだと思うのですが。

現在の所得格差は、労働賃金によるものというより金融商品や節税対策、どのような補助があるか、といった知識の有無で大きく差が開いていると思いますし、格差を放置していたらますますその差が膨れ上がり、やがては地域の治安悪化へと繋がっていきます。
「金持ちから奪って何が悪い」という人が増えていきます。
そうした治安の悪い地域になると、今度は不動産価格も下がっていきます。
そうなると固定資産は負債にしかならぬ、という考えに至り、どんどん売却して過疎化が進行していく。負の連鎖が止まるところを知らなくなっていく。
最終的には有人離島から無人島になるか、底値で叩き売りされて外国資本に買われ全く異なった風景の島になっていくか。

そうなる前に、離島の自治体でこそ「人材育成のために投資商品の活用を」と思うのです。
かつて昭和の高齢者はやたらに「貯金しなさい」と言い続けましたがバブルまでの銀行預金の利回りの良さ、あれも結局は銀行が土地などに「投資」していたから高利回りだったのです。
銀行に預けてさえいれば、お金が勝手に働いてくれるシステムが存在したからです。
ですがもう時代は違います。金融機関がもはや普通預金で0.001%、定期預金の利息を利用者に0.002%しか還元できないのであれば(しかも利息分から課税される)、インデックスファンドなどを活用しながら行政が支援していく・支援を受ける住民は将来の不安要素を小さくしながらお金についての知識を学ぶ、方がよほど将来的に価値が生まれると思うのですが。
更に、奄美のような島嶼部の住民に対してそういった金融所得に対する非課税枠を設ける制度などがあれば、移住を考える人(そして財テクに関心高い人)にも魅力があるのではないかな、と思ったりもします。
即税収にはならなくても、島内で消費したり人を引っ張ってきたりすることでまた交流人口が増えてその分、経済が回りますから。

そういったことをざっくり考えていたらひふみ投信さんの「お金のまなびば!」チャンネルが、かなりドンピシャな動画を配信されていて昨日から何度も見返しています。
かなり分かりやすく説明されてると思うので、是非ご覧になってみてください。



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