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「日本音楽集団第240回定期演奏会 長澤勝俊生誕100年~長沢勝俊の軌跡~」

長澤勝俊作曲「まゆだまのうた(尺八と箏のためのまゆだまのうた)」。
箏の波の活動を始める前に、箏とフルートの演奏で聴きました。
美しい旋律と演奏に魅了されて、いまでも忘れられない1曲です。
 
その後いろんな曲を聴いて、この曲素敵だな、と思うと長澤勝俊さんの曲ということが何度もありました。
日本音楽集団は、長沢勝俊さんが創設にも参加されたプロの和楽器オーケストラです。
その定期演奏会で、オール長澤プログラムと聞けば、行かずにはおれません。
 
プログラムは4曲
1. 組曲「人形風土記」1966年
ニポポ、こけし、のろま人形、流しびな、きじうま、木うそ
2. 大津絵幻想 1981年
3. 颯踏 1975年
4. 竹取物語 1976年
 
曲のこと
どの曲も、テーマのイメージが分かりやすく表現されています。
そして、表面的なイメージの奥から、どこか懐かしい里山の空気が立ち上ぼります。
ちょっと昔の、ちょっと田舎の日本。
草木のにおいや湿った土のにおい。
人々が、その身体と心に、静かに宿しているマグマのようなの圧縮されたエネルギー。
主題(メロディー)が繰り返し登場します。
その繰り返しは、それでも人は歩いていく、生きていく、と言われているかのようでした。
 
楽器のこと
ジャンル的には「現代音楽」です。といっても60~40年前の曲。
「現代音楽」というと、楽器にその楽器らしからぬ音を出させたり、無理をさせているなあと感じる時もあります。
年代のせいなのか、長澤さんの曲だからなのかは分かりませんが、箏に限らず、どの楽器も、その楽器が持っている音をそのまま出しているだけだなあ、と思いました。
音の出し方に無理がないので、それぞれの楽器がとても気持ちよさそうに鳴り響いているように感じました。
まるで楽器自身がおしゃべりして、歌っているようです。
しかしこれは、演奏者の力かもしれませんね。

演奏者のこと
皆さま一流の演奏家さん達です。
合奏もあり、各楽器のソロパートもあり、一音一音、すべてが美しく、そしておしゃべり。
素晴らしい音色が鳴り響き続ける中に身を沈めることの、なんという幸せ。
事前に、ご出演者お一人お一人のお名前を確認していませんでしたので、聴きたかったあの方!この方!が舞台に現れ、静かに大興奮して拝聴いたしました。
 
素晴らしい演奏で長澤ワールドを大満喫。
今日もまた、幸せな気分で家路につきました。
 
*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。
https://gainful-butter-9171.glideapp.io/
 
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会場 第一生命ホール
日時 2023年9月16日(土) 14:00
 
組曲「人形風土記」1966年
笛:新保有生
尺八Ⅰ:阪口夕山・川俣夜山 尺八Ⅱ:田野村聡・饗庭凱山
太棹三味線:杵屋七三 琵琶:久保田晶子
箏Ⅰ:熊沢栄利子・喜羽美帆 箏Ⅱ:桜井智永・佐藤里美
十七絃:久本桂子・石井香奈
打楽器:尾崎太一・冨田慎平
指揮:稲田康
 
大津絵幻想 1981年
笛:あかる潤
尺八Ⅰ:元永拓・饗庭凱山 尺八Ⅱ:阪口夕山・田野村聡 尺八Ⅲ:原郷隆・川俣夜山
胡弓:木場大輔(助演)
細棹三味線:簑田司郎 太棹三味線:山崎千鶴子
琵琶:藤髙りえ子
箏:桜井智永・石井香奈 二十絃:久東寿子・丸岡映美
十七絃:城ヶ崎美保・森真理子
打楽器:多田恵子・山内利一
指揮:苫米地英一
 
颯踏 1975年
笛:新保有生
打楽器:多田恵子・冨田慎平
 
竹取物語~竜女の玉~ 1976年 海津勝一郎作
語り:朴璐美
二十絃solo:山田明美
笛:芝有維 笙:東田はる奈
尺八Ⅰ:元永拓・阪口夕山 尺八Ⅱ:田野村聡・川俣夜山 尺八Ⅲ:原郷隆・饗庭凱山
細棹三味線:杵屋七三 太棹三味線:山崎千鶴子 琵琶:久保田晶子・藤髙りえ子
箏:熊沢栄利子・久東寿子 二十絃:佐藤里美 十七絃:丸岡映美・久本桂子
打楽器:多田恵子・冨田慎平・山内利一
指揮:苫米地英一

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