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「山田流箏曲協会創立百周年記念 第九十三回定期演奏会」

山田流箏曲協会の定期演奏会。
今年は、協会創立百周年記念とのことで、盛大に開催されました。
開演は11時。そして20時終演。
いずれの曲も聴き逃しがたいとは思いながらも、さすがに全曲を集中して聴き続ける体力に自信が無く、途中から拝聴いたしました。
 
箏曲には大きく山田流と生田流があります。
学校の教科書等では、爪の形が違う、くらいしか習いません。
演奏される曲も、どちらの流派でも演奏される曲もあります。
山田流といえば、歌、というイメージが強いのですが、生田流でも歌いながら演奏します。
では、なにが違うのか?
今回は事前に、「山田流は常磐津や長唄に近いですよ」と教えていただいて、聴いてきました。
 
山田流は、流祖山田検校が、江戸の人々の好みに合う箏曲を、といって興された流派です。
当時、江戸で流行っていた音楽は何か?
それが、常磐津と長唄なのですね。
常磐津は語り物である浄瑠璃の一種で、長唄は歌舞伎の音楽として発展してきた三味線音楽です。
 
そう思って聴くと、特に山田検校が作曲した曲は、まさに、浄瑠璃であり、長唄なのです。
今回は大きな舞台でしたので、曲によっては、歌担当の方が、雛壇上段にずらりと並び、さらにお囃子(太鼓、大鼓、小鼓、笛)が入ります。
楽器が三味線ではなくお箏なだけで、いかにも、な曲の流れは、知っている「箏曲」とはテイストが全然違います。
 
雅なイメージの強い「お箏」で、軽やかで粋な江戸の音楽を。
これを実現させたのが山田検校なのだということが、とてもよく分かりました。
江戸時代に大ブレイクしたのも、さもありなん、と言ったところです。
 
お祝いの会でしたので、おめでたい曲も多く、心も軽やかになりました。
歌も素敵ですし、山田流いいなあ、と思いを新たにして、今日もまた、幸せな気分で家路につきました。
 
*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。

*参考:箏と箏曲を知る事典/宮崎まゆみ著,東京堂出版,2009
 
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会場 国立劇場大劇場
日時 2023年4月16日(日) 11:00
プログラム
都の春   東京藝術大学有志
鶴寿千歳  今井慶風会
四季の調  小島松寿会
奉祝合奏曲 玄箏社常磐会
春日詣   山登松和
高陽の四季 和声会
新潮    中能島弘子
八岐大蛇  真磨琴会
故山の月  箏楽会
七福神   藤井千代賀
花ばたけ・姫松/姫松変奏曲 協会こども有志
ひぐらし  協会こども有志
十返りの松 山勢松韻
千箱の玉章 萩岡松韻
漁村の朝  伊藤松超
壹越調祝賀 秀冽社紫線会
奥組 初音曲 鳥居名美野
歓喜の調  朝香会
桜狩    千代見会
三九年川  山木千賀
合の手づくし 高野和之
越後獅子  山川園松
隅田の流れ 協会員有志・新潮会
TOYOICHI  協会員有志
勧酒    協会員有志
雲井獅子  琴古流協会
松竹梅   生田流協会
江の島曲  協会員有志

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