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メーカーで海外営業として勤務しながら、隙間時間や休日に文化芸術に触れることを生きる楽し…

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メーカーで海外営業として勤務しながら、隙間時間や休日に文化芸術に触れることを生きる楽しみとしています。 博物館学芸員資格の取得まであと少し。

最近の記事

展覧会「村上隆 もののけ 京都」感想

京都市京セラ美術館で開催中の村上隆さんの特別展に行ってきました。 160点を超える新作がお目見え なんと展示されている作品のうち約160点が新作とのことでした。この展覧会のために用意された新作はキャプションでも明記されています。 確かに展示されているものの多くは、この展覧会のために作られたということを感じられる、京都の文化芸術と村上ワールドが融合したような作品たちです。洛中洛外図や風神雷神さえも村上隆さんの手にかかるとポップでちょっと毒のある作品になります。個人的には風

    • 『掃除婦のための手引き書』感想

      ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳の『掃除婦のための手引き書』を読みました。 著者の人生の中の日常を切り取ったような短編集です。 作品中で起こる出来事は、性暴力やアルコール依存症、刑務所での体験など、衝撃的な内容が多く、とても1人の女性が生涯で経験したこととは思えません。あまりにも壮絶な人生で、これがもし自分だったら心がもたないと思ってしまいます。 なのに彼女の紡ぐ言葉はやさしくて、陽だまりのような安心感があるのが不思議な感覚でした。世界の見え方も独特で、どの作品もすっと

      • All anyone needs is to be sensitive to others. Kindness. 『マエストロ』のキャリーマリガンの台詞。

        • 映画『夜明けのすべて』 感想

          先日(2/19)映画『夜明けのすべて』を観ました。 (まだ2月ですが)今年の映画の中で記憶に残る好きな作品になりそうな予感です。 原作と映画 瀬尾まいこさんの原作も読んでいましたが、原作に忠実というよりもストーリーラインにかなりアレンジが加えられています。 加えて光の映し方といった、映像作品としての映画の特性も生かされているのが印象的で、個人的な意見ですがとても良い意味でオリジナルから変化が加えられていたなと思いました。作品のメッセージという点では本も映画も一貫しているの

        展覧会「村上隆 もののけ 京都」感想

          ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』 感想

          昨日2/3、フェスティバルホールで『チャーリーとチョコレート工場』のミュージカルを観てきました。2024年の観劇2作目です。 上演が決まった時からずっと楽しみにしていた舞台でした!今思えば高校生の頃英語で劇をする"English Day"というイベントがあったのですが、高2の時の題材が『チャーリーとチョコレート工場』でした。光一くんがどんなウォンカを演じるのか、またあのちょっと毒のあるカラフルな世界観をどう舞台で表現するのか、わくわくしながら観劇しました。 華やかなミュー

          ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』 感想

          『月と六ペンス』感想

          20世紀のイギリス文学の名作、サマセット・モームの『月と六ペンス』を読みました。積読の中に埋もれていた作品です。ようやく! あらすじ 物語の語り手は作家である「わたし」です。彼がこのストリックランドの生涯をまとめた内容がこの本に収められています。 ストリックランドはロンドンで株式仲買人をしていました。親しみやすく朗らかな奥さんと子供2人と暮らしていて、はたから見ると絵に描いたような家庭を持つごく普通の男でした。年は40ぐらいだったと思います。 しかし突然彼は家族を捨てて消

          『月と六ペンス』感想

          はじめに

          初投稿です。 学生時代は文章を書く機会が多く、学習したこと(英文学科だったので基本的に戯曲や小説、詩などの文学作品です)について自分の考えを言葉としてアウトプットすることを当たり前のように行っていましたが、社会人になるとExcelで数字をいじったり定型文のメールを書いたりすることばかりで、思ったことや感じたことを表現する機会が本当になくなってしまったなと思っています。 社会人になってもう5年が経とうとしています。 職場には恵まれている方だとは思うし(大変な時もありますが)、

          はじめに