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ご質問にお答えします!『テレビドラマと映画の脚本の違いは?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問、ありがとうございます!
テレビドラマと映画の脚本の違いは、細かく挙げていくと多々ありますが、私が一番強く意識しているのは、「観る人の離脱のハードルの高さ」です。
この投稿では、その点に絞ってご説明したいと思います。

一か月ほど前に、私はこんなツイートをしました。

テレビドラマは、簡単に途中で視聴を止めることができます。
それに対して映画は「一旦観始めた人は、よほどのことがない限り、最後まで中断なしで観続ける」という前提があります。
脚本を書く側の視点で言うと、
「テレビドラマは、『冗長すぎる』『難解すぎる』『精神的な負荷が大きすぎる』等の理由で離脱されることを避ける必要がある」
ということになりますね。

ですので私は、ドラマの場合には、
「淡々とした描写が続きすぎないよう工夫する」
「観ていてつらくなるような描写がある程度続いたら、ホッと息を付けるシーンを入れる」
といったことをより強く心がけています。

逆に映画の場合は、「テレビだったら離脱するかも…」というレベルまで主人公にとってつらい描写を重ねた後、終盤で一気に回復させ、観客に大きなカタルシスを味わってもらう、といったことも可能です。
冗長さに関しても、映画の場合には「あえて一定時間、のんびりとした空気を作った後、一気にボルテージを上げて観客の興奮度を高める」という手が使えます。

質問者さんは昨年大ヒットした映画『カメラを止めるな!』をご覧になっているでしょうか?
この映画を劇場で観た人の多くは、序盤で、
「イタい自主映画観に来ちゃった……」
と感じたはずです。
ところがこれは、作り手の狙い通りの反応であり、「イタい自主映画だと勘違いさせること」が、その後の面白さへの導入になっています。
仮にテレビドラマでこの手法を使うと途中離脱の確率が高いです。
『カメラを止めるな!』の構成は、「映画ならではのもの」と言えるわけです。


これからもお互いがんばりましょう!

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