悲しみの入口はふさぎきれない
例えば、とても悲しい思い出があったとして、その悲しみがよみがえってくる入口になりそうな物や事柄は、遠ざけるのがふつうだと思います。
悲しいことが起きた日に着ていた服は捨ててしまう、みたいなことです。
でも、どれだけ入口をふさいだつもりでも、出会いがしらの事故みたいに、扉を開けられてしまうこともありますよね。
誰かの何気ない言葉や行動で、悲しみが一気によみがえってくることもあります。
そして、知らぬうちに自分が誰かの悲しみをよみがえらせてしまうことだってあるはずです。
悪気なんてちっともなくても、誰かを傷つけることもあれば、傷つけられることもある。
でも、逆のことだってあるはずですよね。
誰かの何気ない言葉や行動が、私の目の前の霧をパッと晴らしてくれることもあれば、知らないうちに私が誰かの霧を晴らしているかもしれない。
そうやって、悪意も善意もなく、ときどき誰かを傷つけたり傷つけられたり、助けたり助けられたりして、毎日が過ぎていくんだよなあ……と、深夜にぼんやり考えています。
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