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ご質問にお答えします!『経験のないジャンルの仕事を始める方法』

劇作家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

ご質問ありがとうございます!
現在ゲームシナリオライターとして活動しているが、劇作家としての道も諦め切れないとのこと。
こちらの投稿に「脚本家という仕事には、定番のなり方はない」と書きました。
これは、「脚本家として、執筆経験のないジャンルの仕事を始める方法」にも通じることだと思います。
「こうすれば必ずできる」という道筋はなく、私の個人的な経験を基にお答えすることしかできないので、以下の回答は、その前提でお読みいただければと思います。

経験のないジャンルの仕事の始めるには、次の二つのステップが踏む必要がありますね。
ステップ1)脚本家起用の決定権を持つ人と出会う
ステップ2)決定権を持つ人に、「脚本の執筆を任せられる人物」として認めてもらう

各ステップについて、具体的にお答えしていきます。

ステップ1)脚本家起用の決定権を持つ人と出会う

私の経験を振り返ると、シナリオ教室の仲間からの紹介で、新人の脚本家を探している舞台の演出家さんと出会って戯曲を書く機会を得ました。
「これまでは主に翻訳モノの戯曲を演出してきたが、オリジナル作品を上演したい。大枠のアイデアはあるが、自分で脚本を書くことはできないので、新人でチャレンジしたい人を探している」
というお話だったと記憶しています。
(「新人」のなかで探していたのは、予算が潤沢にあるわけではないので、場合によっては無償でも、経験を積むために書きたいという人を求めていたからだと思います。)

このように、いわゆる”人脈”できっかけがつかめる場合もあります。
私に演出家さんを紹介してくれた友人は、いろんな形で演劇の制作に携わった経験のある人でした。
そういう人とのお付き合いが、出会いのきっかけになる場合もあるので、演劇に携わっている人たちのコミュニティに参加してみるのも良いかもしれませんね。
その上で、「戯曲を書くチャンスがあればぜひ」と周囲にアピールしてみてはどうでしょうか。

”人脈”以外でいえば、コンクールが思い浮かびます。
脚本を学んでいる人たちの間で「コンクール」というと、ドラマや映画の脚本コンクールを思い浮かべる人が多いと思いますが、ネットで調べれば、戯曲の公募の情報も得られるはずです。
入賞者は選考委員と会う機会が設けられる等、何らか演劇界とのつながりができるでしょう。
また、劇団が上演台本を募集するというケースもあるようなので、それらに積極的に応募するという方法もありますね。

ステップ2)決定権を持つ人に、「脚本の執筆を任せられる人物」として認めてもらう

脚本家の起用を決定する人物に出会えたら、次は、「この人に任せてみよう」と決断してもらう必要があります。
判断基準は選ぶ人次第ですが、おそらく以下のような点が重視されるのではないでしょうか。
執筆歴(過去に作品が上演されたことがあるかどうか? 上演経験はなくとも、習作としての戯曲の執筆経験はどの程度あるか?)
・いわゆる相性。「一緒に作品をつくっていけそうな相手」と感じられるかどうか。
・報酬やスケジュール等の条件が合うかどうか

執筆歴に関して言えば、最初はだれでも「上演実績ゼロ」なので、習作をできるだけ多く書いておき、「読ませてください」と言われたときに、その時点での自信作を提示できるようにしておくと良いと思います。

相性は、努力でどうこうできる領域ではないですが、漠然と「とにかく戯曲が書きたい」と伝えるのではなく、どんなジャンルのものが書きたいのか、得意なのかといったことまで、真摯に、具体的に伝えることで相手の印象は良くなるだろうと思います。

条件面については、戯曲上演経験ゼロの段階で質問者さんの要望を完全に通すのは難しいだろうと思います。
すでにゲームシナリオライターとして生計を立てていらっしゃるということなので、無償であったり、極端に安い原稿料で執筆することには抵抗があるかと思いますが、仮に、自主制作の小規模作品であれば、ゲーム案件とは予算が大きく違い、同等の原稿料を得ることは望めないだろうと思います。
「ならば商業ベースに乗った作品を…」と言いたいところですが、戯曲上演経験ゼロのまま、いきなり商業ベースに乗った舞台の仕事を得るというのも、望みは薄いはずです。

ゲームシナリオライターとしての収入が既にあるならば、戯曲の方では当初は収入は度外視し、経験を積むことからスタートするというのが現実的ではないでしょうか。
もちろん、いつまでも収入度外視ではプロの劇作家にはなれないので、報酬面でのステップアップも考えていかなければなりませんが、当初から報酬面にこだわり過ぎて、いつまでもスタートを切れないというのも考えものだと思います。
原則として私は、新人クリエイターであっても報酬の交渉はきちんとすべきだと考えていますし、その考えに基づいてこのような投稿もしています。
ですが、どんな作品にも企画の規模に比例した予算が存在し、予算枠を超えた額を求めて交渉をしても、先方からすれば「無い袖は振れない」というのが現実です。
劇作家としてのスタート地点では、それを認識しておくことも重要だと思います。

自分にあったチャンスのつかみ方を模索することが重要

ここまで私の経験や知識を基にお答えしてきました。
ですが、一番重要なことは、質問者さん自身にあったチャンスのつかみ方を模索することだと思います。

質問者さんは、ゲームシナリオの世界においては上記の二つのステップをクリアされているはずです。
その経験もふまえて、舞台の世界で同じステップをクリアする方法を考えてみると、私がお伝えした方法以外にも、自分にあった手立てが見つかる可能性があります。
「どのような場でチャンスを頂けるのか全く分かりません」と決めつけるのはまだ早いです。
ぜひ「自分なりの劇作家のなり方」を模索し、思いついたことはどんどん実践していってください。

……ということで参考になりましたでしょうか?
またご質問がありましたら、どうぞお気軽に。
これからもお互いがんばりましょう!
尚、これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。


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#脚本 #シナリオ #エンタメ #質問 #マシュマロ
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あんやと~!(地元の金沢弁で「ありがとう!」)
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中川千英子(脚本家)

脚本家。石川県金沢市出身/清泉女子大学文学部卒。芦沢俊郎シナリオ研究塾にて作劇を学ぶ。【主な作品】映画「きょうのキラ君」、ドラマ「ホテルコンシェルジュ」 、NHK朝ドラノベライズ「マッサン」「べっぴんさん」。2019年以降、映画「10万分の1」公開!新作落語も書いています。

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現役脚本家の中川千英子が、脚本家志望の皆さんからのご質問にお答えした投稿をまとめていきます

コメント1件

内容面白かったです。それとアイコン可愛いですね✨
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