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ご質問にお答えします!『脚本の構成を学ぶ方法は?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問、ありがとうございます!
「脚本の構成を学ぶ方法」ということで、私がよく実践している方法と、ふだんの生活のなかで行えるトレーニングの二つをご紹介したいと思います。


【中川が実践している方法】

私が実践しているのは、「構成がうまいと思う映画やドラマを自分でハコ書きにする」という方法です。
(以前の投稿「ご質問にお答えします!『筆力をつける方法は?』」のなかでもご紹介しています)
脚本家の斉藤ひろしさんの著作『1週間でマスター 斉藤ひろしのシナリオ教室』で知って以来、現在も続けています。

人がある作品を見て「面白い」と感じるときには、「セリフの面白さ」「キャラクターの面白さ」「視覚的な面白さ」「演技から感じる面白さ」等々、さまざまな要素が組み合わさっていますが、これらのなかで「構成が生み出す面白さ」だけを抜き出して分析できるため、とても効果的な学習法だと私は思います。

【日常のトレーニング方法】

次に「日常のトレーニング方法」をご紹介する前に、ここで改めて質問者さんに考え直してみていただきたいことがあります。
脚本における「構成」とは、具体的に何を指しているのでしょうか?
「構成とは何なのか?」という理解を深め、頭のなかの解像度があがると、おのずと「それをどう学べばよいか?」もわかりやすくなるはずです。
(同じことを「ご質問にお答えします!『葛藤を描くコツ』」という投稿にも書いています。葛藤の描き方がわからないときは、まず「葛藤とは何なのか?」という理解を深めると良いです。)

私自身はどう考えているかといえば、脚本における「構成」とは、
「もっとも効果的な情報提示の順番を見つけること」
だと考えています。

具体的にご説明していきましょう。

仮に、質問者さんの前で、会社の同じ部署で働く20代前半のOL、A子さんとB子さんが話をしているとします。
B子さんは現在カレシ募集中。
A子さんは度々、B子さんの「カレシほしいな~。いい人いないかな~」という話を聞かされています。

A子「来月うちの部に異動してくる人、めっちゃカッコいいらしいよ。吉沢亮に似てるって」
B子「マジで!? 吉沢亮、超スキなんだけど! 歳は?」
A子「26。めっちゃ仕事できて、性格もいいんだって」
B子「何それ、ヤバイ! ……っていうか、絶対カノジョいるでしょ」
A子「いや、カノジョはいない。誠実で、女に尽くすタイプらしい」
B子「え~! 異動してくんの来月頭だっけ? あたし、エステ行こうかな~。っていうか、ホントにカノジョいないの?」
A子「いない。三児のパパで、超愛妻家なんだって」

……という会話があった場合、B子はA子に怒るに違いありません。
「妻子がいるなら先に言え!!」
ということですね。
言うなれば、これが「構成」だと私は考えます。
A子が「三児のパパで超愛妻家」という情報をどのタイミングでB子に提示するかによって、B子のリアクションは違ったものになるからです。
A子は単なる”天然ちゃん”という可能性もありますが、仮に「B子をガッカリさせてやろう」という意図を持っているならば、「三児のパパ」という情報はなるべく後まで引っ張ってから提示した方が良いですよね?
最初に「吉沢亮に似てて、三児のパパの愛妻家」と言ってしまったのでは、おそらくその時点でA子はこの話への興味を失います。

こんな具合に、私たちは日常生活のなかでも自然と「話の組み立て」をしているわけです。
そして、この組み立てがうまい人は、周囲の人から「話が面白い」と思われているはずです。

私は友人から、「自分が経験した面白いことを人に話すと、全然面白さが伝わらなくて、場がしらける」と相談されたことがあるのですが、おそらくこの友人も「情報提示の順番決め」がうまくないのです。

繰り返しになりますが、情報を出す順序によって、話は面白くもなれば、つまらなくもなります。
ですので質問者さんも、ふだんの会話のなかで時々「情報提示の順番」を意識するといいと思います。
「笑わせたい」「驚かせたい」「感心させたい」等、「相手から、どんな感情を引き出したいか」を決めた上で、どの順番で話をするかを頭のなかで組み立てみる、ということです。
そして、それを実際に試しましょう。
想定通りに行くのか? 思ったほどのリアクションが得られないのか?
その結果をサンプルとしてメモしておくのもいいと思います。
サンプルが集まると、うまく行ったとき、行かなかったときの傾向が見えてくるはずです。

「ドラマや映画の構成を組み立てる」というと、なにかとても難しいことのように思えてしまうかもしれませんが、実はふだんの会話で誰もがしていることの延長線上にあること、とも言えるわけです。

これからもお互いがんばりましょう!

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