蒼歌表紙版

蒼空の歌謳 -9-

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俺の必死な説得のかいあって、白夜は森の入り口付近、俺の家の前のあたりですぐに地上へ着地。
同時に、俺もようやく地面に足を着けることが出来た。ふぅ、やっぱり地上が一番だな・・・・・・。

「ここからは、歩きでも大丈夫だよねぇ・・・・・・多分」

お、白夜の顔がやや引きつっている。まあ、当たり前だろうな・・・・・・あの先生を待たせているんだから。
白夜は急いでいるらしいが、普通の人が歩く速さよりはかなり遅くゆっくりと歩き出す。
俺は再び、白夜のスピードに合わせて歩き始めた。
周囲の景色が、ゆったりと流れていく。
少しでもいいから、この景色が速く流れて欲しいけどなぁ・・・・・・。
俺は白夜の方を見ながら、しばらく歩き続けた。
すると、ふと思い出したことが一つ。

「なあ・・・・・・白夜」
「ん、どうかしたぁ?」

聞くのなら、今しかないな・・・・・・俺は、言葉を続けた。

「お前、あの『切り札』と戦った後に変な光に包まれた時のこと、覚えてるか?」
「あ、うーん。何となくだけど・・・・・・どうかしたの?」
「いや、お前さ。あの時、自分の母親のことを『母さま』って呼んでたんだけど・・・・・・」

前と俺を交互に見ながら、白夜は小さく首を傾げた。

「え? 僕はいつも自分の母親のことは『母さん』って呼んでるけど・・・・・・あぁ、あの時見た光景のせいかなぁ」

あの時見た光景って・・・・・・もしかして、白夜もあの変な大理石の空間を見たのか?
でも、あの光景の中には男の人が一人いただけで、女の人はいなかったはずじゃ・・・・・・。
とりあえず、白夜の記憶と俺の見た光景を比べてみるか。

「どんな感じだった?」

白夜は少し俯きながら消えかかっていた記憶を少しずつ引き出し、言葉として説明してくれた。

「うーんとねぇ・・・・・・僕、ボロボロの服を着て、鉄格子・・・・・・かな? うん、そうだ。
なんだか大きな鉄格子の中に入ってたんだ。そこで、僕誰かに呼ばれたの」

え・・・・・・? 俺と見た光景と全然違うじゃないか!!
一体、どういうことだ? 一応、全部聞いてみるか。
似たような光景があるかもしれないしな・・・・・・。

「それが、お前の母親だったのか?」
「多分、ね・・・・・・僕、震えながら『母さま』って叫んでたから。
でも、確かその隣には男の人がいたんだよねぇ・・・・・・顔は、良く見えなかったけど」

白夜は、良く思い出そうと必死に頭を抱え、険しい表情を見せる。
険しいと言うよりも、奮闘している感じだな・・・・・・うん。

「その男の人、ひょっとしたらお前の父親かもな」
「うん、そうだといいなぁ」

白夜は小さく微笑み、前方の見慣れた景色を見る。
今は丁度フォノの家の前にある橋の前まで来た。
よーし、ここまで来れば、学校まではあと少しだな。
きっと、先生やフォノ、他の学校のみんなも白夜の到着を待っているだろうなぁ・・・・・・。
やや表情が緩んだ白夜は、今度は俺の方をジィと見る。

「ところで、リーンもあの時何か不思議な光景を見たのぉ?」
「あ、まあな・・・・・・結構変な光景だったけど」

うーん・・・・・・あれ、変だな・・・・・・どうして俺、戸惑っているんだ?
まるで、あの時の光景が俺の記憶じゃなくて、他人の見た光景を語るような・・・・・・そんな複雑なかつ奇妙な感情が、俺の心を支配しているみたいだ。
頭のどこかで、止めろと警告が響く。だけど、俺はそれに反して記憶を言葉に表した。

「広い、かなり長い大理石の廊下があってさ・・・・・・その先に、誰かが座っていたんだ。
誰も寄せ付けないような、だけどどこか懐かしい雰囲気を持った・・・・・・人かな?」
「へぇ・・・・・・不思議な光景だねぇ」

俺の説明に、白夜は興味を示したみたいだな。
うーん、その光景を想像しているのか、白夜は再び奮闘している。
少し足が進んだ頃、ようやく口を開いた。

「その人、もしかしてリーンのお父さんかなぁ?」
「だといいけどなぁ・・・・・・」

俺は大きく息を吐く。正直、俺の父やってそんなに偉い人じゃないから・・・・・・違うかもしれないしな。
そんな俺の様子を見て、白夜は俺を何とか励まそうと口を開こうとした。
まさに、その瞬間。

「リーン!! 白夜!!」

会話に夢中になってた俺達二人は、学校前の水車小屋を越えたことに気付かなかった。
そして、更に学校の玄関でフォノが俺達二人を待っていたことにも気付かなかった。
フォノが、急いで白夜の方へ駆け寄る。
お? やっぱり、白夜の顔が若干赤くなってるな。
そんな白夜の顔に、フォノは未だに気付いていない。
まあ、気付かれなくて良かったとは思うけどな・・・・・・フォノ、そろそろ気付いてやれよ。

「フォノ、ごめんねぇ。母さんの所に行ってたら、遅くなっちゃって・・・・・・」
「そうだと思った。先生も、多分そうだろうってずっと待っててくれてるわ。
さ、急ぎましょ」

二歩先を先導するフォノに、白夜は急いで後を追う。俺も、その後を歩く。
フォノの歩く方向からすると、学校の裏側にある小さな校庭へ向かっているみたいだ。
まあ、この辺りで大きな術を使えるのは、今日の模擬戦闘訓練で使った牧場跡か学校の校庭ぐらいだからな。
お、色々と考えているうちに、目的地へ到着。
この学校は、村の中でも少し離れた場所にあるせいか、校庭と校舎は周囲を大きな柵で囲まれている。
それに、校庭とは言っても周りはほとんど森。隅の方はあちこち草が好き放題伸びているんだ。
おまけに手入れされている運動する場所は地面は硬いし、叩きつけられたりするとかなり痛い。
何で叩きつけられるかって? それは・・・・・・この場所は俺とフォノが『宿題賭け』をする会場なんだ。
しかも、たまに先生はこの場所で俺とフォノの訓練をする。
先生って手加減ってヤツを知らないから、思いっ切り叩きつけられるんだよ。
・・・・・・俺とフォノは、何度気絶したことか。思い出しただけでも、血の気が引くぜ。
その校庭の中心で、ヴィア先生は俺達を待ち続けていた。お決まりの腕組みポーズ。
先生の周りには、シャレン、ダン、フリアをはじめとする、フィンラの村の子供達が集まってきていた。

「お、ようやく主役が登場だな」
「すみません・・・・・・遅くなりました」

白夜は、急いで先生の方へ駆け寄る。
先生は、いいやと言いながら首を横へ振った。

「気にするな。自分の母親の墓参りぐらい、ゆっくりしたいだろう。
俺はお前を咎める理由なんて無いさ」

その様子を、いつの間にか俺の側にいたフォノは小さく微笑みながら見ていた。
ちなみに、フォノが笑っている様子は、他の誰にも見えていない。
まあ、見たら見たで後々恐ろしい目に・・・・・・遭うだろうしな。

「先生と白夜・・・・・・たまに思うんだけど、何だか兄弟みたいよね」
「そうか? あんな凶暴な兄貴は勘弁だぜ」

白夜は淡い緑色の長髪と鈍い金色の瞳。
先生は深緑の長髪に白夜より更に濃い金色、というよりも銀色に近い瞳だ。
まあ、言われてみれば確かにそうかもしれないけどな・・・・・・白夜って確か兄弟がいた記憶は無いって言ってたぞ。
そのことは俺もフォノも知っている。だけど・・・・・・うーん。
でもな・・・・・・俺は、誰よりも他人に尽くす白夜と、弟子に対して手加減をしない非道な先生が同じ血を引いてるなんて、信じないからな!!
俺達二人の会話は、先生の掛け声で一旦終わることになった。

「さて、準備はもう済んでいるんだが、白夜の方はもういいのか?」
「えーっと・・・・・・ちょっと待ってくれませんか?」

白夜は、周囲をきょろきょろと見る。
周りの連中は口々に彼に挨拶をしているんだ。
「元気でな」とか、「また帰ったときはよろしく」などなど。
俺とフォノは、白夜の側へ歩み寄る。

「しばらくは会えないけど、学園での勉強頑張ってね。
それと、あのお土産凄く美味しかったわ。また今度会ったらよろしくね」
「うん、ありがと。フォノ。また次も持って来るねぇ」

フォノに微笑んだ後、今度は俺が口を開く。

「今度帰って来たときは、平和な休みを過ごそうぜ。くれぐれも、体には気を付けろよ」
「うんっ、ありがと」

大きく頷いた後、白夜は先生の後ろにある大きな円の中へと入る。
地面に直接描かれてある円の周りは、いくつか解読不能な文字。同じように地面に直接書かれている。
その円の外に先生が立っているんだ。
さっきまで気付かなかったけど、準備が出来たって言うのはそういうことだったんだな。
白夜が入った円は、転送術を使う時に使う特殊な陣みたいなものらしい。
うーん、今回もこの陣についての説明を聞き逃したな・・・・・・。
まあ、今度来たときにでも聞いてみるか。
さてと、俺の思考も一旦停止しようかな。
白夜が先生の方へ向き直った。

「先生、お願いします」
「分かった。お前ら、危ないから離れてろよ!!」

俺達は、先生から約五メートル程距離を置く。
そして・・・・・・

「―――――――――」

小さく口を開き、先生は何かを呟き始めた。相変わらず、言葉が読み取れない・・・・・・。
先生って、白夜よりも口を小さく開いて呟くから、全然分からないんだよなぁ。
しばらくすると、先生は持っていたロングソードの鞘を思いっ切り陣の外の線に叩きつける。

ガツンッ・・・・・・バチッ!!

何かが発動したような音が、周囲に響き渡る。
すると、単なる地面に描いていただけの円が眩い光を放ち始めた。
光は徐々に地面を離れ、白夜の周囲を取り囲むように渦を巻き始める。
相変わらず、この光景には驚くぜ・・・・・・この術、父さんも使えるんだっけ。
その中で、白夜は俺とフォノに左手を上げて小さくヒラヒラと手を振る。
俺とフォノは、お互い手を振り返す。その瞬間だった。

バチンッ!!

何かが弾けるような音が響き渡り、光は一瞬で白夜を包み込んだ。
白夜を包み込んだ光は、そのまま一気に空中に飛び散り、その中には白夜の姿は無かった。
先程まで眩く輝いていた陣は、単なる校庭の地面の落書きに戻っていた。
ほんの一瞬の出来事みたいだったな・・・・・・。
白夜の姿が消えたのを確認した先生は、ロングソードを持ち上げる。
そのまま、地面にめり込んだ鞘の先についている土をはたき落とした。
そして、俺達の方へ向き直った。

「よし、それじゃあ白夜も帰ったことだし、解散だ。帰っていいぞー」

俺達を含む子供達の返事が、赤く染まった空へ高らかに響き渡った。


「Oyema soowet ebusowiakes・・・・・・」
「あら、その歌って・・・・・・」

白夜の見送りを済ませた俺とフォノは、一緒に家路についていた。
俺が無意識に口ずさんでいた歌に、フォノは反応する。
一旦歌うの止めて、俺はああ、と言いながら言葉を続ける。

「白夜がいつも母親の前で歌ってる歌だ。いつも聞いてたせいか、覚えたんだよ」
「・・・・・・リーンって不思議。一度聞いた歌とか曲を、そっくりそのまま歌えるから」

フォノは、不思議そうに俺を眺める。
まあ、それもそうだろうな・・・・・・。
俺は生まれつき、音感がいい方らしい。
しかも、一度聴いた音楽を完全に覚えるってのは、なかなか難しいらしいんだ。
白夜から話を聞く前は、全然分からなかったんだけどなぁ・・・・・・。
最初に気付いたのは、白夜が練習用に歌っていた歌をそっくりそのままその場で遊び半分で歌ってみたのがきっかけだったんだ。
その時の白夜の驚いた表情は、本当に凄かったな・・・・・・当の本人は音程を取るのに必死だったし。

「別に・・・・・・こんな才能があっても、俺には全然使えないけどなぁ」

俺は小さく苦笑いをする。
すると、俺の背後から淡い黄色い光が。

「だよねぇ~。リーンは才能をとことん無駄にするから」

・・・・・・俺はすかさず右腕を後ろへ回す。後ろを振り向かないままだ。
そして、何かを握り締めた感触が右手に伝わる。
そのまま腕を前へ戻すと・・・・・・

「通信機と転送術まがいのものしか使えないお前に言われたくないぞ!!」

ブニーンッ!!
俺は両手でルミネの体らしき丸い部分の両端をしっかりと掴み、思いっ切り引き伸ばした。
ルミネは、尻尾みたいに長く垂れ下がった部分をジタバタ上下に振り回しながらもがく。
フッフッフ・・・・・・そう簡単に、俺が負けるかよ!!
が、その刹那・・・・・・
ガツーン!! うぅ・・・・・・後頭部に衝撃が!!
痛みに思わずしっかりと握り締めていた両手が緩み、その隙にルミネは俺の手から逃れる。

「ルミネの方が、十分役立つわよ」

気が付くと隣のフォノは仕事用の小さい方のハンマーを握り締め、ぽんぽんと左の手のひらを叩いていた。
俺の周りを、ルミネが得意げに回る。
グググ・・・・・・俺は頭を押さえながらルミネとフォノを交互に睨んだ。
だが、フォノは相変わらず涼しい表情を保ったままだ。くぅ。

「それじゃあ、私はここで」

お、いつの間にか俺達はフォノの家の前まで来ていたようだな。
フォノは、そのまま家の扉の方へ近付く。一旦こっちを振り返った。

「また明日ね」
「ああ」

短い言葉を交わした後、フォノは扉を開いて中へ入っていった。
バタンと扉が閉まったのを確認して、俺は自分の家へ足を進めた。

「ただいまー」

家の扉を空けて中へ入ったけど、じいちゃんやばあちゃんの姿が見当たらない。
とりあえず、誰かいないか部屋中歩き回ってみるか・・・・・・。
今は右側にある大きな窓から夕日が差し込んでいるせいか、部屋中が赤く染まっている。
少し歩いた先に、食事をする大きなテーブル。
まあ、家族は俺と白夜とじいちゃんとばあちゃん、そして父さんの五人だしな。
ん? その上に、俺の両手で何とか持ち上げられるぐらいの大きさの籠がある。
その中には、洗濯を済ませたかなりの量の服が入っていた。

「あら、リーン。もう戻ったのかい?」

部屋の奥の方から聞こえてきた声に、俺は顔を上げた。
そこには、同じような籠を持っているばあちゃんの姿。
だけど、ばあちゃんの籠の中には何も入っていない。
とすると・・・・・・これは今から運ぶ予定の服だってことだな。

「うん、白夜が無事にフィンリヴィアに帰ったのを見届けてさ」
「そうかい」

この知らせを聞いたばあちゃんは、やや表情が緩んだ。
まあ、白夜は実の孫同然に育てられてきたんだし、俺にとっても兄弟みたいな存在。
家族の一人が無事に戻れたってことは、十分嬉しいよな。
ばあちゃんの表情を見た後、俺は目の前の籠を指差す。

「これ、俺の服なの?」
「ああ、それは白夜のだよ。一週間だけだったけど、大分溜まっちゃってね。
悪いんだけど、リーン。この服を白夜の部屋のクローゼットに入れておいてくれないかい?」

なるほど・・・・・・俺と白夜は体格がほぼ同じだから、大半の服は同じデザインなんだ。
まあ、そのせいでたまに洗濯物が混じるんだよなぁ。

「分かったよ」

俺は短く返事を返すと、目の前の籠を持ち上げた。
そして、ゆっくりと歩き出す。
その後ろを、ルミネは俺の歩みの合わせてフワフワと宙を漂っていた。
ばあちゃんが俺が通る道を空けてくれたので、俺はその後ろにある階段をゆっくりと上る。
ギシッギシッ
軋む階段を一歩一歩ゆっくりを踏み出す。
この階段は十七段あるんだ・・・・・・気をつけないとな。
しばらくその動作を続けた後、ようやく二階へ到着。
俺と白夜の部屋は二階にある。そして、お互い隣同士。
昔は二人で一つの部屋を使ってたけど・・・・・・やっぱり大きくなると、一人部屋が欲しくなるんだよな。
白夜は一人で静かに勉強したいという要望、俺は単に一人で部屋を使いたいっていう要望からだ。
・・・・・・身勝手だったかな? あの時、白夜は普通に笑顔で承諾してくれたけど。
元々使っていた部屋は、今俺が使っている手前の部屋なんだ。
白夜の部屋の方は元々倉庫だったんだけど、急遽改装して一人部屋になったんだ。
俺は、奥にある白夜の部屋の扉を開く。
部屋は窓から差し込む夕日の影で赤く染まっていた。
うーん、ちょっと見えにくいな・・・・・・。

「ルミネ、悪いけど前に出てくれないか?」
「了解ぃ。光が欲しいんでしょ~?」

扉を閉めた後、ルミネは俺を先導するように前の方に漂い始めた。
クローゼットは、窓の反対側にある。俺はクローゼットへ近付き、扉を開く。
持ってきた服を形を整えてかけたり、たたんで下の方にある引き出しに直す。
しばらく同じような動作を続けていたけど、すぐに籠の中は空っぽに。

「ふぅ、ようやく終わった。
さっさと降りてばあちゃんの手伝いでもしようかな・・・・・・」

俺は立ち上がり、部屋を見渡した。
相変わらず、綺麗に整理整頓されている部屋だよなぁ。
・・・・・・自分の部屋と比べてはいけない気がするぐらいだ。うん。
ん・・・・・・何だ? やけに目にチカチカする。夕日に照らされ、輝いている小さな光。
俺は、ふと部屋の隅にある机の方へ歩み寄る。
そこに、光の発生源があるみたいだ。
一週間前白夜に宿題を手伝ってもらうために使っていたものだ。
だけど、そこには一週間前には無かったものがあった。
机のど真ん中に、ぽつんと佇む何かが入っている片手に収まるほどの大きさのガラス瓶。
どうやら、これが反射していたみたいだな。
俺はそのガラス瓶を手に取る。中には、錠剤のようなものがびっしりと詰まっている。
あれ、これって・・・・・・俺には、見覚えがある。いや、見覚えが無いとおかしいんだよ。
ふと机の上を見てみると、ガラス瓶の下には小さな紙切れ。
その上にはさらに見覚えのある筆跡の文字があった。
そして、その上の文字にはこう書かれてあった。

『新しい補充用の薬 絶対に持って帰ること!!』

ドタドタドタドタドタ・・・・・・・・・

「じいちゃーん!! ばあちゃーん!! 白夜がやらかしたー!!」

気付けば俺は籠を持って降りるのを忘れ、階段を駆け下り、丁度戻ってきたじいちゃんと、それを出迎えたばあちゃんに薬瓶と紙切れを握り締めて叫んでいた。

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