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「やってみてから考えよう」ではない!


昔、「やってみてから考えよう」という言葉があって、そこには、
「行動しないより、まずはやってみることが大事」という肯定的な意見、と
「目的を見据えずにやるのは、生産性が低い」という否定的な意見、がありました。

そこで私は、
やってみてから考えようの前に、1つ“考えて”を入れて、
「考えて、やってみてから、考えよう」
なら良いじゃん!と思ったことがあるのです。
ちょっと馬鹿馬鹿しく聞こえますがw

そのことをブリコラージュとデザインということから考えてみたというお話。

私は木工をやっているので、ものづくりを題材にこのことを考えてみると、方法は2つあると思うのです。

・しっかり計画することと
・とりあえずやってみること

これは、
・図面をしっかり描くか?
に対して
・とりあえず作り出すか?
みたいなこと。

しっかり計画することが大切だと言われるのは、段取り八部という言葉や、備えあれば憂いなしという言葉からも分かるように思います。準備するのは大事。
でも一方で、頭でっかちという言葉もあります。考えて考えて作り出したら、あれも難しいし、これも難しいし、実際に出来ることは少なくて、道具や材料が予想していたことと全然違った。なんてことがある。
そうなるととりあえずやってみることも大事になる。やってみると、道具や材料の中でできることや、考えるだけでは分かっていなかった新しい使い方や発想が生まれてくるかもしれない。でも、とりあえずやってみて気づきはあったかもしれないけど、その時にはもう材料を使ってしまっていたり、長さを切ったり削ったりしていたら元に戻せない。やってみたはいいけれど後には戻れないのです。

ここでは単純に「どっちも大事!」ということを書きたいのですが、そこでブリコラージュとデザインという考え方が使えるのでは?と思ったのです。

「ブリコラージュ(bricolage)」とは文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロースが1962年に発表した『野生の思考』で取り上げた概念で、フランス語で「ありあわせの道具、材料を用いて自分の手でモノをつくること」を意味するようなのです。言ってしまえば、やってみて直してやってみて直すを繰り返す“修繕”の思考のようなものらしい。そして、“修繕”という言葉からイメージ出来ることは、“発生してしまった後に対処する”という後手の思考。言ってしまえば、当たって砕けろの思考とも言えるかもしれません。

一方でデザイン(design)は今日とても広い意味を持っていますが、基本的には、ある目的や機能を持ったものを“計画”“構想”することです。これは、“修繕”という思考に対して、“発生する前に対処する”という先手の思考。言ってしまえば、石橋を叩いて渡る思考とも言えるかもしれません。

これを木工の世界で考えてみると
◯ブリコラージュ→今持っている木材からどんなものが作れるか?持っている木材ならこんなものが作れるんじゃないか?
と、既にある素材や道具から考える。

◯デザイン→どんなものが作りたいか?どんなものが必要か?
と、図面を描きながら、何が必要でどんな作業が必要になるか?と、これから必要になる素材や道具から考えること。

つまりブリコラージュとデザインという思考で、
ものづくりの手法を
デザイン→先手の思考“計画”
ブリコラージュ→後手の思考“修繕”
を分けて考えてみるのです。

まずは計画としての図面をしっかり描いてみる。素材や道具に縛られずに出来るだけ自由に考える。その次に、今持っている素材に照らし合わせ素材や道具からのフィードバックをもらうように手を動かしてみる。そして、それを反映し図面を書き直す。みたいなイメージです。

つまり
計画→修繕→計画→修繕→計画・・・
を繰り返すということです。
どちらか一方ではなく、両方を繰り返すこと!
それによって、それぞれのメリットを活かしデメリットを少なくする。

そしてそこにはもう一つの効果もあると思うのです。
それは、
デザイン→思考の内側 作者の意図 
ブリコラージュ→思考の外側 材料の意図 

という、自分の意図という“内面”の思考と、素材や道具という内面の想像を超えてくる“外側”の思考とを往復運動することもできるので、幅広い思考が出来るんじゃないか?ということ。図面という計画をしっかり立てるという行為は、ある種考え方が凝り固まってしまうという側面もあります。なので“計画の外側に出る”という意味で、一度その計画から離れて考えるということです。

言ってしまえば当たり前のことなのですが、仕事場でも「考えてからやります!」と言いつつ、なかなか動き出そうとしない人や、「とりあえずやってみます!」と言って、後戻り出来ない作業を無神経で雑にする人がいる。なんてことは日常茶飯事、、、私個人の経験ですがw

なので、当たり前だけど大事なことを
デザインとブリコラージュ
という考え方から両方を重視することが出来ないか?と考えてみたのです。

考えすぎてしまう人には、
「一度手を動かしてみて?」
と言い
すぐに手を動かしてしまう人には
「一度考えてみて?」
とこのブリコラージュとデザインの思考を伝えてみる。
もし
「時間がないんで、失敗することは許されないから、ちゃんと考えるんです!」
とか
「時間がないんで、考えている余裕がないから手を動かしてるんです!」
みたいな反論があるとしたら、

「時間がないなら“考える→手を動かす”という両方のプロセスを高速で何度も往復させるんだよ」
と、時間がないからどちらかにするのではなく、時間がないなら両方を“ちょっとずつ何度も”行ったり来たりしながら進めるんだ!と伝えたいのです。


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