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叶えたい事ひとつ、今年も追いかけたい。

今年も「旅する日本語展」の企画がやってきた。私はどうしても、この企画だけは喉から手が出るほど受賞したい。受賞して飾られたところを見て欲しい人がいるから。なので、今年は昨年よりも頑張りたい。


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昨年もちょこちょこと応募したのだけれど、まぁ難しかったのを覚えている。原稿用紙1枚分で綴るのは思ったより表現に限りがあり難しく、そして想像以上に面白かった。この企画がきっかけで書く事の楽しさに目覚めたと言っても過言ではないほど。

昨年は4つか5つしか書けなくて、かすりもしなかった。素直に悔しかった。


私はこの企画だけはちょっと思い入れが強い。

というのも、受賞して飾られたところを見て欲しい人がいるから。

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15歳の誕生日を迎える前に、父が我が家から突如いなくなった。いまどき珍しくもない、離婚だ。けれど、まさか自分の家にそんな事が起ころうとは思いもしなかった。喧嘩が多くなっていたとはいえ仲がいい時もあったから、まさか離婚するだなんて。

そこから、父とは一緒に暮らしていない。

一緒に暮らしていた間、父からは誕生日もクリスマスもプレゼントをもらう事はなかった。ところが、離れて暮らすようになってから誕生日もクリスマスもプレゼントをくれるようになった。会う口実のように。一番初めにもらったカシミヤのマフラーは、15年経った今も、東京のマンションで相変わらず柔らかい質感で冬を待っている。


そんな父が、すごく喜んでくれた事がある。

私が美容学生の頃、全国区のフォトコンテストで入賞した時だ。

作品が載ったポスターを拡大コピーして部屋に飾り、ご近所さんや職場の人にまで自慢していたらしい。入賞といってもグランプリとかじゃなく、載っているのも小さくだったのに。

祖母と同じ美容師の道に進み、順風満帆な娘を誇らしく思ってくれていたのだろう。

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父は大阪にいて、私は東京にいる。
私はもう美容師ではない。

今年還暦を迎える父は、私が思う以上に老いていた。
10分歩くだけで辛いらしく、体力がかなり落ちている。
病院嫌いの頑固者で、検診は断固拒否。
生きる事に執着がないようにすら思える。


私には目標がある。

離れていても、父に届く仕事がしたい。

「これ私がやったんよ」って言いたい。

そしたらきっと、またあの時みたいにパァッと晴れた顔をしてくれると思うから。すごいなぁ、すごいなぁ、さすが父さんの娘やなって褒めてくれると思うから。

私が東京に来てから何度となく「体力が回復したらスカイツリーを観に行くから案内してな」と言い続けている父に、羽田空港でドヤ顔でお迎えしたい。


そんな、かなり強めの欲を内に燃やしつつ、今年も言葉と向き合い、400字と奮闘しながら、楽しみつつ取り組みたい。


++応募作++


サポートとても嬉しいです。凹んだ時や、人の幸せを素直に喜べない”ひねくれ期”に、心を丸くしてくれるようなものにあてさせていただきます。先日、ティラミスと珈琲を頂きました。なんだか少し、心が優しくなれた気がします。