論理で伝える事、感性でも伝わって欲しい事。

仕事を続けていくと段々と立場が上がり、人に教える事伝える事の割合が増えてきます。僕のような技術職は見て習えの文化があるので事細かに説明を受ける事は少なかったのですが、その中でも学ぶ姿勢から多くの事を知り、今日まで活かしてきました。

教えるという行為は絶対にすべき事だし、そこを手を抜くようでは組織は作れません。これは大前提ありつつも、そもそも教わる前に最低限身に付けるべき技術や知識がない状態で教えてもらおうとしても、理解できる素地がないので成長しにくい場合があります。

細かな技術は教えながら学ぶ事も可能なのですが、できる事ならば自分なりの疑問や解決したい課題がある状態で教わる方が圧倒的に成長できます。そして仕事の場合、どんな事をしていても賃金が発生している事を理解しないといけません。業務に必要な事だとしても、それを学ぶよりも先に自分の行動でお客様からお金を頂いているという意識が絶対的に必要なのです。

教わっていないのでできません。これは正論でもあるのですが、ではそれをお客様に言えるのか?という事です。どんな仕事でもお客様の前に出た瞬間に新人も玄人も関係ありません。同じお金を払って体験しているお客様に新人なので、とは言ってはいけないと思っています(プロとして)

お客様の前に立つまでに時間がかかる仕事の場合は、それまでの過程で成長しているので問題ないのかもしれませんが、実際にはお客様の前に出ない仕事や、最初から出るしかない仕事の場合、入った瞬間から成果を出す必要があるのです。少なくとも成果を出さなければいけないという姿勢でいるべきです。

これは最近南場さんの記事を読んで改めて思った事です。

今までどの業界でも見て習う文化があり、その反動で教えてもらうのが当たり前という空気がありますが、それはプロとして成長する意思があり、その過程で論理的に教わる、教える方が圧倒的に効率が良く成長確度も上がるから、という前提があると思っており、全く学ぶ姿勢もなく予備知識もない人(技術もない)人が教わらないとできない、というのはお門違いではないか?という事です。

例えば自分の仕事の幅を増やそうと思った時に英語を勉強するとします。この時のほとんどの人は業務時間外で英語の勉強を始めると思います。いきなり英語だけの職場に飛び込める人はそうそういないでしょう。この場合、仕事のために自らの時間を投資して学びを得ています。

しかし業務に関連性の高いものに関しては、その業務を直接やる事で(それのみで)学ぼうとする人が多い印象です。この場合は出来ないうちも給与は発生しており、会社で学ぶ事に重きをおかれてしまいます。

例えば料理人なら肉を焼けるようになるために肉を沢山焼ける職場に移る的な事ですね。本来であれば自分で時間を作り、肉の勉強をしておくべき(お客様のために)ところを、ある意味でお客様を実験台にして自分のスキルを高めるという形になります。

もちろん物理的に量をこなすためにはその環境にいく必要はあるのですが、自分で学べる範疇はプロとして自分の時間を投資して学ぶべきだと思います。出なければ、自分が成長する過程である意味犠牲になったお客様はお店に二度と来なくなる可能性があるからです。

業績が良い会社は守られている、と思うかもしれませんが、業績の良い会社こそ日々闘っています。一瞬一瞬を気を抜かずに闘っているからこそ業績が良いのです。会社も従業員も守られているという環境はほぼないはずです。

だからこそ、各人がプロとしての意識を持ちながら業務ができるか?というのが今までも、これからの時代も必要で、それを全社でどう培っていくのか?が大切です。


毎日が真剣勝負


僕がいたレストラン業界は本当に毎日が真剣勝負です。高価格帯だからこそお客様の目は厳しいし、料理だけではなく、サービスも、予約の段階から見定められています。

料理がどれだけ美味しくても、新人サービスマンがミスをしたらそのお客様は二度と来店されないかもしれない。届いた商品の最後のシール貼りが雑でブランドイメージが崩れるかもしれない。ほんの些細な出来事が自分たちの明日を変えていきます。

新人だから、今まで経験がないから、それらはその人の現状のステータスなだけでお客様には関係ない。それをどのように伝えていくかはとても難しい問題です。時間外での勉強はすべきですが、会社が強要するものではないし、しかし仕事を続ける上では必ず必要になってくる。

日々のルーティーンをこなすだけでは仕事は上達しないし、給与は上がらない。これは当たり前のことで、ストイックではないと思っているが、今の時代はそうではないのかもしれない。しかし少なくとも僕はその経験で今の自分があると思っっているので、少しでもこの感覚を自分のスタッフに伝えていきたいと思っています。

大きな何かを成し遂げ得るためではなく、日々の生活の質を上げるためにも、自分の仕事を充実させるためにも努力は絶対に必要なのです。その上で上司や仲間からいろいろなフィードバックを得ることで劇的に成長していける。

自分の技術や知識が増えることで非連続で成長できる。この楽しさを知ってもらいたい。そして自分が教える立場になった時にさらに見えるものが増えていく。その事を知ってもらいたいと思っています。

そして一定の技術知識が身についた上で、感情の部分を理解する姿勢になる。言葉では言い表しにくいその人独自のセンスや魅力を感じ取れるようになるのです。

人はそもそもコミニケーションが得意ではありません。察してもらえたり、感じ取ってもらえる事に喜びを感じているからです。だからこそ伝わっていると実感できる事が嬉しいのです。

どんな人と仕事をする場合でも、お客様と向き合う時も、伝わっている、全てを言わなくても理解されている、と感じてもらう事がとても大きな意味を持ちます。だからこそ、感じられるところまで自ら学び成長し、理解する事が必要だと思うのです。


将来の不安や、努力する事自体に意味を見出せなかったり、かっこ悪いと思われているとしたら、それは今まで働いてきた人がそう思わせる仕事をしていたからだと思います。それは今の若者が悪いのではなく、そのようにしか感じさせられなかった我々上の世代の責任なのかもしれません。

努力することの楽しさや、成長することでどんな風に人生が変わるのか?大変だとしても、努力することで自分たちの未来もこんな風に明るくなるんだ!と思えていない時点で、上の世代の責任だと思うます。(自分も含め)

仕事は楽しいことだと、成長することで未来が明るくなるんだ、もっと楽しくなるんだと、実感してもらうにはどうすれば良いのか?経営者という立場になったからこそもっと多くを考えねばならないと感じています。

頑張る人から搾取するための言葉ではなく、真に成長をのぞみ、今後の人生の糧となる努力の方向性や努力の仕方を伝えていく。そして自らが成長し、幸せだと、努力して良かったと笑顔で伝えられるようになる事が一番大切だと思うからこそ、先ずは僕自身が成長し、会社を成長させ、その素晴らしさを背中で語り、多くの苦労や葛藤も包み隠さず伝えていく。

見て習うだけではなく、伝えていく、伝わるように考え続ける努力をこれからもしていきたい。(現状できていないので、、、)


昭和の厳しい時代と平成の変化の両方を実感している85年世代(ゆとり実装初期)の僕たちなら、どちらの良さも分かっているからこそ、伝えていく義務があると思っています。

Mr. CHEESECAKEは更なる成長と世界進出を目指して突き進んでいます。まだまだ多くの仲間が必要です。一緒に努力していけるメンバーを募集していますのでぜひ!

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新しい料理人の働き方から、個人でどう生きていくか、どう価値を生みだしていくかを色々な視点で書き綴ります。月3~4回ほどの更新なので、定期購読がお勧めです。

曜日や時間、場所に捕らわれずに料理を自由に表現するためにレストランを辞めた料理人の働き方を変えていく奮闘記。 これから増えていくだろう料理…

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