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美味しさを拡張していく。

レストランで料理を作る日々の中で、多くのことを学び多くのことを感じました。料理人という料理の経験値が一般とは違うことを理解した上で、どのような料理を作るのか?いわゆるガストロノミーと呼ばれる料理は文脈の理解をお客様に求める部分が少なからずあります。

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(牡蠣、法蓮草、春菊)


文脈を求められると窮屈な感じがしますが、一定の理解があると世界が広がるのもまた事実で、ただそれを強要するような料理は作りたくない。(当時はそういう料理を作ることがプロだと思ってました)

多くのレストランは文脈を求める割には味が追いついてません(個人の感覚です)ストーリーや見せ方で『美味しいでしょ?』と半ば強制的に求めてきます。しかし本来美味しいものは直感的で本能的で反射的なものです。考えながら食べることで美味しくなっていくことはほとんどなく、理解することで、反射的に感じた美味しさが身体と心に馴染んでいく感覚はあると思います。記憶に定着していくイメージです。


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(烏賊、烏賊墨、蘇)


どの分野でもストーリーテリングの重要性やコンテキスト(文脈)の大切さが語られますが、どれもこれもその物やサービスが本質的に良くなければ意味がありません。物語だけでものは売れないからです。求められたものに物語があっただけで、後付けで良いわけがないのです。

だからこそ美味しさだけで突き抜けられる強さが必要で、その美味しさがマイナスにならない全体のバランスが必要なのです。間違っても周りだけ固めればどうにかなると思ってはいけません。

もちろんそう見えてしまうことや、そこしかない薄っぺらいものがあるのも事実なので、判断はとても難しいかもしれません。しかし本質を見極めていけばわかっていくことではないか?と思います。


美味しさを拡張するとは?


これには物理的な拡張と経験から来る拡張の二種類があります(と定義します)物理的な拡張は後ほど話ますが、経験の拡張とはなんなのか?

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新しい料理人の働き方から、個人でどう生きていくか、どう価値を生みだしていくかを色々な視点で書き綴ります。月3~4回ほどの更新なので、定期購読がお勧めです。

曜日や時間、場所に捕らわれずに料理を自由に表現するためにレストランを辞めた料理人の働き方を変えていく奮闘記。 これから増えていくだろう料理…

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