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貴方にできることなら私にもできる。


「貴方にできることなら私にもできる。」


 突然、隣に座る友達がそんなことを言い出すのだから、私は面食らっていた。

いや、今の一言で友達という言葉が正しいのか分からなくなったところではある。

今思えば彼女は私が褒められ、周りから頼りにされている様子をとても嫌っていた。
(今回も私が先生から頼まれごとをされた時のことだ。)
私自身は彼女の気持ちには気づいていたし、あまりいい関係ではないとも感じていた。
それと同時ではあったが少なからず彼女に対して、部活に対する努力や自分磨きは認めていたし、尊敬もしていた。
ただ、当時の私は彼女の気持ちに知らないふりした。

私は「そうかもね。」と笑った。

彼女も「はは。」と笑った。


 それから数か月後に見たテレビで専門家の先生が話していた。

「人が嫉妬をする時は、嫉妬対象人物が自分と同じ土俵に立っていると認識し、認めていていることで無意識にライバル視して起こる。」

 私はこの言葉を聞いて、彼女が私に対する嫉妬はこれだ。と思った。

 彼女は私に言った。「何の努力もしていないくせに。」と。
 彼女は私に言った。「私だってやれば出来るし、別にすごくない。」と。

そんな彼女の言葉とその言葉になんの反抗もしなかった私の気持ちも、今ならわかる。



 そんな彼女も高校を卒業後、とある夢のために東京へ行った。
全く繋がりはなくなったので、今何をしているのか分からないが、
きっと彼女は強く生きているのではないかと思う。


実は彼女の夢に対する思いきりや自分の気持ちを言葉にできる力に羨ましさを感じていたことは、ここだけの秘密にしておこうかな。

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