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€100m移籍が多発する欧州サッカー界。移籍金が高騰する理由とは?

ここ数年間で爆発的な成長を見せる欧州サッカー界の移籍市場。それに伴い、以前よりも選手が選択肢を持てるようになったり、サッカー界がより流動的になったりなどの良い変化があった一方で、現在問題視されつつあるのは選手が移籍する際に発生する移籍金の高騰である。直近では22歳のアルゼンチン代表であるエンソ・フェルナンデスがベンフィカからチェルシーへと移籍する際に発生した€121mという莫大な移籍金は史上4番目に高い移籍金となった。また、2017年のネイマールのPSG移籍は史上最高額である€222mであった。この様な高額移籍がなぜ多発し始めているかを考察する。

プレミアリーグで見る移籍金推移

プレミアリーグ03/04シーズンからの年ごとの移籍金総額

このグラフを見ると、いかに移籍金が高騰しているかが分かるだろう。プレミアリーグはここ数年でリーグ自体の成長が急速に進んでいるため、このグラフで移籍金の変化が顕著だが、他の欧州リーグも同様の変化を見せている。では、この様な高騰の原因はなんなのだろうか。

1.インフレーション

一つ目に考えられるのは世界規模のインフレである。現在、世界経済はインフレ傾向にあり、当然ながら影響はサッカー界にも及んでいる。そのため、年々移籍金が高騰しているのだ。

2.専門性

現在のサッカー界はチームの戦術に合うかや、クラブ、監督の考え方に沿えるかなど、選手の様々な要素を考慮して選手を獲得するため、特定の役割を果たすことができる選手が求められるようになっており、専門性が増していると言える。そのため、移籍元のクラブはクラブが求めている役割とマッチした選手を移籍させる際に少しでも高額な移籍金を付けようとする。例えば、PSGのエンバペがASモナコから移籍する際に付けられた€145mは史上2番目に高額な移籍金だが、現在、彼はPSGの顔とも言える選手であり、当時PSGはスター性のある選手の獲得を熱望していた。彼がPSGに齎した利益などは当時の移籍金以上の価値があるという事は明確である。同年にネイマールを史上最高額の移籍金で獲得したのも、スター性を求めた結果であると言える。この様に、現在のサッカー界の移籍ではピッチ上での個人技術や戦術適合などは勿論、スター性、性格、年齢などの要素が以前よりも細かに精査される。そのため、一選手の専門性が価値となり移籍金が高騰しているのだ。

3.ネイマール効果

上でも言及しているが、ネイマールのPSG移籍は史上最高額であった。それ以前の移籍金は高くても€100m程度であった。しかし、中東のオイルマネーが流入し当時の移籍金最高額の2倍の金額で移籍が行われたことの波及効果によって、移籍取引をより高額にする流れが欧州サッカー界に生まれてしまったのだ。

4.中東資本などの流入

近年、中東資本が欧州サッカー界に集まりつつある。また、中東資本だけでなく米国の投資会社なども参入しつつある。2000年代以前は地元の富豪や会社がオーナーを務めるという事も多かったが、現在ではオーナーというポストはグローバルになりつつある。そのため、資金力のある中東資本や、MLBなどの米国メジャースポーツで莫大な利益を得ている投資会社が参入し、移籍金を底上げしているのだ。


今回は移籍金が高騰する理由について考察しました。いかがだったでしょうか。楽しんで頂けたなら幸いです。今後も様々なサッカーの話題について書いていくつもりです。ご支援など頂けると励みになります。今後ともよろしくお願いします。

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